第6話 仲直りの妖精
金曜、土曜、日曜、のいずれかで2つ投稿します。諸事情により遅れました。応援していくれている皆さん、ごめんなさい
「ハッ、何を言ってるの、でしょうか?」
突然の従者になります宣言、で僕は動揺していた。すると隣にいたアンチューサさんが、「こ、こらやめなさいローズ。ヨウロウ様はまだ従者を取っておられないんですよ」アンチューサさんが、ローズちゃん?を諌めた。
「嫌です、私はヨウロウ様の従者になると決めたんですから」僕は周りをキョロキョロ見回した。アンチューサさんは焦り、父と母はポカンとしている。ただ一人アネモネだけが爆笑していた。(アネモネ、こうなるの分かってたな)引きこもっていたときに読んだ本で読んだが、貴族にとって初めての従者とは将来家を継げば執事長に、たとえ継がなくても子供の乳母になるか、義兄弟的な存在になるか。どれをとっても血縁関係の人間と遜色ない地位につくものだ。)その為、初めての従者は基本親が決める。だが、アネモネに釘を差された後だからか、父も母も黙り込んでいた
気まずくなって、僕がローズちゃんから目を逸らすと、ローズちゃんは何かを察したかのような顔でアンチューサさんのところへ駆け寄り、「お母様、ヨウロウ様は女の子が苦手なようです」。そうひそひそ、ではないがそう言うと。アネモネが、「フフッ、フッ」必死に笑いをこらえているのが見ずにわかった。「僕は即座に訂正しようとした。(ちなみに否定じゃなくて、あくまで訂正ね)だが、そんな僕を、置き去りにするかのようにアネモネが、「まぁ立ち話もなんだし、中に入りなさい」と、皆を手招きしていた。(諸悪の根源のくせによくそんな風に笑顔でいられるな)僕が家に戻る時アネモネが、「16歳が幼女にバカにされるだなんて恥ずかしいですね」(こいつ)
僕たちはリビングに行き、椅子に座った。
そしてローズちゃんはなぜか僕の横に座っている。「こらローズ、こっちに来なさい」アンチューサさんがローズちゃんを手招きした。
たが、ローズちゃんは「嫌です、私はヨウロウ様の従者ですよ。隣にいて当然です」誇らしげに言っているローズちゃんを横目に、僕は父と母のほうを見た。二人共、僕に任せるという感じだった。
(ローズちゃんには悪いけど、今はまともな判断が下せる状態じゃない。いや、まともでも選択は一緒か)僕は席を立ち、リビングから去ろうとする。それをローズちゃんが止めに入った。「どこに行くんですか、従者の契りを結んでください」僕はローズちゃんの肩をポンと、叩いた「ローズちゃん、僕に仕えるのはやめときな。君が何を思って選んだのか知らないけど、僕に使えるのは君の人生にとってマイナスになる。それに僕も従者を取るつもりはないから」トントントン僕は自室へと戻った。
ローズが恐る恐るフェルに聞いた。「あの、何かあったんですか?お祖母様から頂いた手紙には元気いっぱいの男の子だと聞いていたのですが」そのひと言にフェルとヒルデガルドは下を向く、重苦しい空気とともに沈黙が続いた。「実はね、ローズ....」私はすべてを話した。「だから今、ヨウロウ様は精神が不安定な状態なの」私が言い終わるやいなや、フェルが声を上げた。「そんなことも分からないくせに従者になりたいですって、いい加減にしなさいよ!!」「落、落ち着けフェルエッテ
ローズちゃんに罪はない」ヒルデガルドの制止を振り切り、フェルは声を荒げる。「アネモネの孫だからって特別扱いなんてするわけないでしょう。主人の気持ちも分からないくせになりたいなんて軽々しく言わないで」私もヒルデガルドも驚いていた。あのフェルエッテがここまで怒るのは久しぶりだからだ。
そんな焦る私たちを置き去りにするかのようにローズば言った。「奥方様のおっしゃられるていることは最もです。申し訳ありません」
そう言う、ローズの目を見ると何か言いたげな目をしていた。(やめなさい、今のフェルには何を言っても無駄よ)そんな私の気持ちも知らずにローズはこう言った。「ですがもし、私がヨウロウ様の心をもとに戻せば私を従者と認めてくれますか?」(考えうる限り最悪だわ。今のフェルに麺面と向かって否定なんてしたら)私は恐る恐るフェルのほうを見た。だが、フェルの言葉は私の目論見を外れていた。「そこまで言うのならやってみなさい。
期限は今日一日やり方は好きにするといいわ」フェルはそう言うと、リビングを去って寝室に行ってしまった。するとヒルデガルドが、
「はぁ、びっくりした。あんなに怒ってるフェルエッテ久しぶりで、どうなだめたらいいか分かんなかったよ。なぁ」ヒルデガルドが私に声をかけてきたがそれに構わず私はロースに話しかけた。「ヨウロウ様の心をもとに戻すと言っていたけど、具体的には何をするの?」ローズは確信を持った目でこう言った
「ヨウロウ様を魔物と戦わせます」私たちは三人とも、ぽかんとしていた。あたりまえだ、ヨウロウ様は魔物との戦いでトラウマを抱えている、そんな人間に再び戦わせればフラッシュバックするのは火を見るより明らかだ。だがそんな私たちを置いて、ローズは説明し始める。「お祖母様や奥方様は、トラウマを魔物に受けた傷だと思っているでしょう」
「違うの?」娘もローズに聞く。「たとえケガをしても、直っている以上いつかはもとに戻るはずです。人は基本目にはいるものから思考をしていますから。なら、なぜヨウ様はトラウマが治らないのか。それは、成功体験の無さです。つまりヨウ様が、魔物にも勝てるという自信をつければ、ワイバーンとの記憶もマシになり落ち着くと考えました」(なかなかやるじゃない、ローズ。確かにそんなふうには考えなかったわ。けど、)「どうやってヨウロウ様をあの部屋から出すつもり?私でもフェルとヒルデガルドがいない時間じゃないと連れ出せないのよ。今日いたのはあなたとアンチューサを迎えるためにいただけ、私も2人も
実は驚いてたのよ」私がそう言うと、ローズは自信たっぷりに言った。「それについても策があるの」ローズは、私の横に来て耳打ちした。「あら、それいいじゃない。うまいことやりなさいよ」「え、何々教えてよ」ヒルデガルドがローズに言うが、「今から、やるから見ててください」
僕は自室のベッドに寝転がっていた。(僕はこれからどうすればいいんだろう。アネモネは後少しでいなくなる。そもそも、魔力鑑定の時はどうすればいいんだろう。また、一人になるのかな。嫌、もしかしたら魔力鑑定でかすみたいな結果がでて追放されて野垂れ死ぬかもしれないな。ハッ、やっぱ俺には順風満帆な人生なんか似合わねぇや)そんな事を考えていると、ドアの前からローズちゃんの声がした。
「ヨウ様、出てきてください」(いつの間にかヨウ様呼びになってるし)「従者になるならないの話なら終わりだよ。君は僕にはもったいないほどの人間だ」(ふぇ、お、落ち着きなさいローズ。さっき考えたとおりに)「そんな、
私のことを拒絶なさるのですね」「い、嫌拒絶というか...その」(良し、予想通り。私の考えた作戦は、ヨウ様としてではなく、別の人間として責任を追及する。あの会話でヨウ様の責任感が強いのはわかった。ただ今回は、その責任感の強さが仇になってる。だから、別の視点から責任を言及する。後は)
「奥方様にヨウ様をもとに戻してみせると啖呵を切ってしまったというのに、こうもはっきりと拒絶されれば弁明の余地はありませんわ。きっと、奥方様に罪を問われこの家には居られませんわ」私は床に崩れ落ちながら、「この家を去る前に、ヨウ様の顔を見ておきたいのです。ウゥ」「か、母さんには僕が掛け合って」(良し、動揺している。お婆ちゃんお願い)「ヨウロウ様、女の子を泣かせておいて顔も見せずに向こうへやるというのは貴族の子供として示しがつきませんよ」(良く、その年でそこまで演技できるわね。さすが私の孫だわ)「分かった。ドア、開けるから離れて」
(来た、お母さん頼むよ)私は左にいるお母さんに目配せをした。
ギィ、「あ、あのローズちゃん」僕がドアを空けた瞬間、「うわっ」僕は目隠しをされ誰かに抱えられ、何かに乗せられた。何も分からないだろう?僕もだ。「ヒヒーン」「う、馬」「さぁ、ヨウ様行きますよ」ローズちゃんの声と共に僕の目隠しが外れた。「ちょ、ローズちゃん。なにこれ、馬」ローズちゃんは僕を見て、「外れちゃいましたか、さっきのはお母さんが目隠しししたあと、おんぶで抱えてあらかじめヒルデガルドさんが用意していた馬に乗せたんですよ」「え、なんで。嫌そんなことよりもローズちゃんさっきまで泣いてたんじゃ」それを聞いたローズちゃんは、「女の涙は武器ですよ。さぁ、もっと速度上げますよ」
ダカラッダカラッ「ど、どこ行くのー」
〜10分後〜
「ハァハァ、怖かった」僕とローズちゃんは馬に乗って柵を越え、森に入っていた。僕がローズちゃんに「あの、こんなとこで何するの」馬から降りてきたローズちゃんは、何かを僕に投げてきた。それは山刀だった。武器を持った瞬間、僕の頭にあの時の記憶が蘇った。「ウゥ」僕は思わず山刀を手放す。「あぁぁ」ピトッ、僕の首にローズちゃんが手を当ててきた。「落ち着いてくださいヨウ様。ここにワイバーンはいません」「ワイ」再び叫びかけた時、「ヨウ様、敵が」そう言って、ロースさんが指を差した方を見るとゴブリンがいた。「ギィ、ギギ」体は小さい、と言っても1.5mくらいだ。それに棍棒を持っている。僕はその場から逃げ出そうと後ろを向いた。その瞬間見えたのは、おびえた目のローズとすでに走り去った馬だった。(どうする、このまま僕が逃げればローズは最悪死ぬかもしれない。でも、僕は弱いしそれにここに連れてきたのはローズだ。武器もあるし、ローズならゴブリンくらい倒せるだろ)走り出そうした僕の前に父が現れた。父と言っても、僕が俺の時の父親だ。「澄一郎、逃げることは悪いことじゃない。だが、後ろに女がいるときは絶対に逃げるな!そこで逃げればお前はもう人ではない。逃げるな!立ち向かえ!一度くらい全力で、倒す気で、立ち向かってみろ!」「とう、さん」
カチャ、ヨウ様が山刀を抜いた。「やってやる、やってやるさ。人生で1度くらい、たった一つの約束くらい守って全部やってやるさ」ヨウ様は山刀を構えると、ゴブリンが「ギャァァァ」という奇声とともに突っ込んできた。(賭けですよ。ヨウ様、お願いだから攻撃くらわないでくださいよ)ゴブリンがこん棒を振りかぶる。ドンッ、という音共にゴブリンはその場で崩れ落ちた。「嘘でしょ」(一切見えなかった。まだ、三才だよね。あんな速度で剣を振るなんて、やっぱり賭けた甲斐があったわ)「ローズ、君がこの世界にいてくれたおかげで、僕は別の道を進めるよ。多分、これからもいろいろあると思うけど、その時はまだ助けてくれたら嬉しいな」(ッッそのはにかんだ笑顔禁止でしょ。あれ?でもこれって)「従者?はちょっと違うから、友達ってことでいいかな?」(そのちょっと照れてる顔も好き)「ね、ねぇローズ?」「あ、うん。こちらこそよろしくお願いします」
こうして僕はトラウマを克服し、おまけに人生初の女友達ができたのであった。




