すごーく大きいおじいちゃん!
16日目、
ソラ「……。」
ソラです。今夢の中にいる気がする。
ベッドの中で寝ている間、朝起きる時間までふわふわと浮いている体験をしてるの。
ソラ「(真っ暗で何も見えない、音も聞こえない。けど…)」
ソラ「(温かい。なんだか温いお水の中に浮かんでいるみたい。)」
本当に不思議体験。こんな場所でも僕は不安はまったく感じない。
ただー…
ソラ「(この温かい何か、一体どこからだろう?)」
ソラ「(ずっと誰かが僕を見守っているような気がして。)」
夢の中で浮かぶように寝ている僕へとむけている何かの視線。
これは一体誰だろう?お父さん?お母さん?それとも…
と、
「ーーー!ーーーーーる!?」
ソラ「?誰?」
「ーーーー!ーーーーー!!」
「ーーーよ。ーーーーー。」
「ーーーーーー!!」
ソラ「?」
夢の中まで響いてくるいくつかの声。
僕はその声が聞こえる方へと浮かんだまま上に上がって、やがて差し込んでくる赤いキラキラした光の下へと入った。
ソラ「あ。もう朝…」
ソラ「え?なんで此処に僕のスケッチブックー…いや、そうだそうだ。そのまま持ってきて描いていたっけ。」
ソラ「ニジおじさんとリクトお兄さんのお礼でー…。ああもう忘れてたー。あはは。」
パシャリと水と一緒に出る音と一緒に僕は本来の現実へと戻って、昨日寝ちゃう寸前までニジおじさんとリクトお兄さんの似顔絵が描かれたスケッチブックをベッド上で目にした。
しかしベッド上に置いていた時計を見ると、
ソラ「え!12時!?どうしよう!?寝過ぎちゃったーー!!」
もうお昼の時間になっていて完全に寝坊してしまった僕は急いでベッドから降りて、もう来ているかもしれないとつい焦ってスケッチブックを素早く手に持って一階に降りて早くごはんとお薬をすませる!
ソラ「ング!ンン!!次!お薬!」
ソラ「ゴクゴク!…ぷは。はぁ。」
つい多めに味が変わった生ハムをかじってパンもひと口多めに食べちゃったけど、僕は急いでお薬を赤くなったお水と一緒に飲んで、お顔とお手洗いをするべく洗面台へと駆け足で向かった。
が、しかし!
ソラ「わ。タオルが赤いキラキラになっちゃってる!?洗面台周りもなんか細いキラキラがいっぱい出てるー!?」
ソラ「んむー。せっかくきれいな赤いキラキラなのにもう洗面台のお水使えないよー。お水はキッチンから出さないといけないやー。」
昨日赤いまま拭いていたタオルが少し動いている赤いキラキラへと変わってしまっていて、ほかに洗面台とその周りも細くて赤いキラキラがいくつか絡んだ何かに変わって使えなくなってしまったんだ。
ソラ「仕方ない。キッチンでお顔と手を洗おう。」
ソラ「ごしごし。ごしごしっと。」
僕は代わりにキッチンのお水でお顔と手を洗って、今度はタオルじゃなくて紙のティッシュでふき取る。
紙のティッシュならたくさんあるし、仮にキラキラになってもふいたティッシュの紙一枚変わるだけですむ。と、思う!
ソラ「よーし。急いでー」
僕は急ぎスケッチブックを手に持ってニジおじさんとリクトお兄さんがもう来ていると思うようお礼をするべく、ババーっとべっそう外へ飛び出した。
だがこれが行けなかったー!僕はとても焦っていたから周りを見ず足下の赤いキラキラに靴先が引っかかって、勢いよく前に向けて僕の身体が宙に飛ぶ。
ソラ「わわわわわ!?」
キラキラにつまずいて宙に投げ出された僕は、このまま地面へと前のめりになる形で転…
そうなる寸前に!
「ぬははははは!そう慌てるな小僧!まだ時間はいっぱいあるじょぉぉぉー?ぬははははははは!!」
ソラ「あ。ありがとう。」
スゴい笑い声と一緒に僕の小さな身体を大きな手だけで受け止めてくれて、僕はそのまま支え止めてくれた大きなお手手に前に倒れたまま上へ持ち上げられちゃった。
ソラ「(あ。もしかしてこのおじいちゃんが、ニジおじさんが言ってたとても大きい人?)」
白髪で顎下の白いお髭、ニジおじさんよりもとても大きい背に、青いシャツと白いスラックスような長ーいパンツを着たとってもマッチョなおじいちゃんが、助けた僕へいい笑顔を浮かべていた。
ーーーーーーーー
「間一髪じゃったのぉ。此処で怪我されたらたまったもんじゃないわい。」
ソラ「ううん。ごめんなさい。あと転ばないように受け止めてくれてありがとうございます。…ね、寝坊しちゃって。それで今慌てて起きてごはんもお薬も急いで食べて飲んで、お顔も手も洗ってー。」
「大丈夫じゃ。孫のリクトと愛弟子のニジから事情を聞いちょる。なんとうかまぁ、こんな場所でお一人兼キッズスローライフをソロエンジョイしちょるとはのぉー…。」
ソラ「え。リクトお兄さんとニジおじさん、知っているの?おじいちゃん?」
「もちろんじゃ。つか二人ともワシらが住むコミュニティで共にしているでのぉ。若い二人にゃたくさん働いて貰っているからなぁ、ぶわっはっはっはっはっは!!」
おじいちゃんは高笑いしながら僕を手の上一つで見渡せるべっそう離れの丘へと移動して、ゆっくりと僕を下ろしてくれたおじいちゃんはとっても逞しい両腕をカッコよく胸へ交互に組む。
すると少し遅れて、
ニジ「ったく、早いってレベルじゃねぇよ。【カイド爺さん】。」
カイド「馬鹿者ぉ!ならもっと脚力をつけんかい!モジャモジャ愛弟子!!ワシがはよ来なかったら、ソラ君転んで怪我しちょったかもしれんぞ!?」
カイド「この世界にとって【ほんの少しの怪我が重症】、最悪【即死亡】になる。ニジぃ、それは実際に身に持って知っちょるハズじゃがのぉ?」
ニジ「…ぁあー。はい。承知です。すんません。」
リクト「つか想定外のアクシデントの予測は流石に掴め「なんじゃぁぁぁ?言い訳かぁぁぁぁ?」すみません。100%俺ら鍛錬不足です。すみませんでした。」
カイド「よろしい。」
ソラ「(わわ。二人しておじいちゃんに土下座してるー。)」
ソラ「(カイドおじいちゃんは、ニジおじさんとリクトお兄さんにとってお師匠さまなんだ。スゴい。)」
おじいちゃんの名前を聞いた僕は、ほんのちょっとの間土下座で説教を受けているニジおじさんとリクトお兄さんの姿をぼーっと見続けた。
数分後、
リクト「はい。これが昨日言ったお礼のごはんだよ。」
リクト「キラキラを使った【ステーキ】だ。六枚分入っているからどうぞ召し上がれ。」
ソラ「わああい!やったー!!ありがとーーー!!美味しそう!!」
僕は昨日のお礼として作ってくれた透明のトレー内のステーキ肉を目にして、思わず美味しそうな焼き色加減に思わず目を輝かせよだれもボワッと出ちゃった!
ソラ「あそことあそこのキラキラが食べれるごはん!しっかりと調理すれば…あん!!」
リクト「ちょ。六枚分吸い込み消えたー!?」
僕は大きく口を開けて、どこかのピンク丸のキャラクターみたいなバキューム法で、六枚入っていたステーキをもぐもぐごっくんした!
ニジ「ははは、なんの手品だよ。んでどうだい?」
カイド「んで味はどうじゃ?」
聞いてくるニジおじさんとカイドおじいちゃんへ、僕は正直に応えたよー!
それはもう!
ソラ「うん!でりしゃす!!でりしゃすだったーー!!」
カイド「おお!でりしゃすか!!それはよかったよかったぁ!!ぐはははははは!!」
ニジ「お粗末様だな。」
ソラ「美味しかったーー!!また作ってーーー!!リクトお兄さん!!!」
リクト「よかったよかった。じゃぁまた作るよ。今度はより多めにするかね。」
とてもおいしかった!いつも食べる生ハムとパン、食べ足りない分のアメ以外のごはんは久々!!もっと食べたい!生ハムとパン以外もっと他のごはんを食べたい!!だから、
ソラ「今日もあそこのキラキラ採っていいからねー!」
カイド「おおおおお。ええか?それはとても助かるのぉー。」
ソラ「うん!僕は今書かれた通りの約束でお湯を沸かすことしかできないもん。基本お母さんがごはんを作ってくれたから。それに…」
ニジ「?」
リクト「?」
カイド「?」
僕はニジおじさん達へ再びキラキラのごはんを採ってもいい事を伝えて、僕は昨日干した洗濯物が赤いキラキラへと変わっている姿に少し目を下げてぼっそりと…
ソラ「僕。キッチンに少しでも入ったら、お母さんに怒られるんだもん。入ってこれないように柵もつけられちゃった事があったから。後…」
ニジ&リクト&カイド「「「…。」」」
べっそうに来るまでのおうちの生活のことも、ニジおじさん達に話しちゃった…。
本当は他の人に話しちゃダメってお母さんとお父さんに何度も言われてきたけど…。
ソラ「どうしてもお腹がすきすぎて、夜中に起きて冷蔵庫の中のごはんをほんのちょっと食べようとしたら…」
僕、言っちゃった。紙に書かれていない約束事、それを破っちゃった…。
ソラ「僕。お母さんにほっぺた叩かれちゃった。聞いてたお父さんも怒って僕へお顔パンチされちゃったんだ。」
ソラ「それを何度も繰り返して……えへへ。えへへへへへ。」
ニジ「ソラ君…。」
リクト「…。」
カイド「…。」
知らない内に僕は、笑ったまま涙が出ちゃった…。持っているスケッチブックの表紙に僕の涙がポタポタと落ちちゃった。
泣き止まなきゃ。いけない。お礼の似顔絵が描かれているのに…。ぬれちゃう。にじんじゃう。そうしないとまたお母さんとお父さんに怒られちゃう。
『またこんなことでグズグズと泣いて!気持ち悪い!どっか行って!!』
『男がメソメソとするな!さっさと顔を洗って来い!』
ソラ「…。」
泣いてるとお母さんに叩かれちゃう。蹴られちゃう。お父さんに怒られちゃう。丸まった手が僕の身体に刺さっちゃう。
から…
ニジ「…ソラ。」
ソラ「!」
すると僕へと大きな腕が囲むように背を掴んで、近くまでしゃがみ込むように採る作業を一旦止めて来てくれたニジおじさんがそっと僕の頭をなでてくれた。
泣いている僕へ向けるニジおじさんの優しい眼差しが、
ニジ「我慢するな。泣いてもいい。俺とリクトとカイドしか見ていない。」
ニジ「泣きたい時は思いっきり泣け。今のこの世界でソラを咎める心無い者がいたら、俺は容赦なくその輩をブッ●してやる。例えソラの両親だとしても、だ。」
ソラ「う、うううう。ニジ…おじちゃ……ぁ、あああ。うわあああああああああん!!!」
リクト「…。」
カイド「…。」
僕を抱き寄せてくれたニジおじさんの温かい言葉が、ずっと我慢してきた僕を優しく受け止めてくれた…。
ーーーーーーー
夕方になって、よりキラキラを大量に採ったニジおじさん達は
ニジ「落ち着いた?」
ソラ「うん。」
ニジ「よし。今日も大量のごはんを採らせてくれてありがとな。」
リクト「あと、俺とニジの似顔絵を描いてくれてありがとな。大事にするぜ。」
ソラ「うん!!いいよー!また人助けできてなによりだよーー!!」
昨日よりたくさんキラキラを採ったニジおじさん達へお礼の似顔絵をプレゼントして、受け取ったニジおじさんと側に来たリクトお兄さんは僕へ笑顔を向けてくれた!うれしい!!
リクト「うんうん。さっきよりもいい顔付きになったな。ソラ君。」
カイド「うぅぅんむ!今度はワシの絵も頼む!!…しかし小僧の両親、食料の買い出しにしちゃ遅すぎじゃぁ。」
カイド「向かう最中に何かがあったか、はたまた面倒ごとに巻き込まれたか、あるいは…」
ニジ「ソラ。両親が乗った車の特徴を教えてくれ。俺たちもソラ親探しに協力するよ。」
ソラ「本当!?ありがとう!!ニジおじさん!リクトお兄さん!カイドおじいちゃん!」
そしてお父さんとお母さんを探す協力を聞いた僕は直ぐにお願いをして、僕が見せたスケッチブックにそのまま描いたお父さんとお母さんが乗る黄色い車の絵を見たニジおじさん達は「また明日来るよ。今度はゆっくりでいいから。」と言ってべっそうから離れていった。
再び一人になった僕は、
ソラ「…よーし。気を取り直してっと。」
僕はべっそう内に戻ってキッチンの赤い水でお湯を沸かして、ティッシュで身体をふきふき、はみがきをシャカシャカとしながら、
ソラ「べっそう生活、しっかりやるぞー!」
ソラ「お父さんとお母さんが帰ってくるまで、此処を守らなくちゃ!!えいえいおー!!」
僕は拳を上に上げて鼓舞し、明日いつも通りに朝起きてやる事をするべくベッドへ滑り込んだ。
続く。
べっそう生活16日目!
今日はとっても大きいおじいちゃんがべっそうにやって来た!
ニジおじさんよりもとてもでかーい!リクトのお兄さんが言うに614センチだって。歳も88…スゴ。
それとニジおじさんのお師匠さまなんだ!一体なんのお師匠なんだろう?気になるー。




