大きなお友だち(35)ができた!
19日目、
ソラ「……?あれ?いつのまに…。」
おはようございます。ソラです。
昨日悪い大人達に僕が住むべっそうを襲ってきて、助けに来てくれたニジおじさんの大きな腕の中で泣いていた後の記憶がない…。
ソラ「どうして思い出せないんだろう?ずっとニジおじさんの大きな腕の中で泣いていたのに。」
ソラ「どうやって僕の部屋に来たんだっけ?…わかんないよぉ。」
思い出せない。頑張ってもニジおじさんの大きな腕の中で泣いていた後の記憶が無い。
一体どうやって僕の部屋に行ったのかまったく思い出せない。
まぁ結果的に安全なべっそうの中にいるから、
ソラ「ごはん食べて、お薬も飲まなきゃ。」
ソラ「…。」
僕はベッドから降りて一階へと降り、一階の全てが赤いキラキラと床の白いキラキラで満ちるよう変化し輝いていた。
僕は生ハムとパンが置いてあるテーブルへと向かって、いつもの椅子へと座って貴重なごはんを少しずつ食べる。
と、
『おはよう。ソラ。お腹すいたでしょう?』
ソラ「!お母さん??」
何処からか…うーん、僕の近くから聞こえてきて、僕以外誰もいないのにお母さんの声が僕へと優しい声で話しかけてきた。
どこにも見えないお母さんは声だけ僕に話しかけて、
『たくさん食べなさい。貴方は今食べ盛りなんだから。』
『大丈夫。絶対に貴方を飢えさせない。約束するわ。』
ソラ「お母さん。」
僕は生ハムとパンをもぐもぐと食べるたびに近くからお母さんの声が聞こえて、僕は姿が見えなくても何処かから見守ってくれているであろうのお母さんへ、僕は笑顔で静かにうなずき返した。
ソラ「お薬…。……。」
そしてお薬と一緒にお父さん手作りのとても美味しくて甘い虹色のアメを口にいれて、薬の苦味をアメの甘味でごまかしながら何度も噛み砕いていた時、
『美味しいだろう?ソラ?』
『そのアメは俺の自信作だ。たった一つだけでお腹いっぱいになる。』
ソラ「(うん。うん。うん。分かる。本当にありがとう、お父さん。)」
お母さんと同じように近くから声が聞こえて姿は見えないのに、僕は近くで見守ってくれている事を思いながら口の中全体が甘い内に噛み砕いたお薬を一気に飲み込む。
『もしお水が無くなっても、このアメなら全て解決する。』
『これも愛しい息子の為に作ったものだ。誇れ。作ったこの俺を。』
ソラ「もちろんだよ。お父さん。お母さん。」
ソラ「だから早く…帰ってきてね。またあの日の優しくて温かい家族の日常に。お母さん…。お父さん…。」
ごはんとお薬を済ませた僕は壁にかけているカレンダーへ今日の日付へと丸を書いた。
ソラ「べっそう生活、今日で19日目。」
ソラ「そろそろ帰ってきてよ。お父さん。お母さん。」
ソラ「僕一人だけじゃ…つらいよ。…。」
僕は俯いたまま、外に繋がっているべっそうの入り口扉を開けた。
ソラ「!」
すると目の前の石の階段の上に、とても大きい暗い青色のカッコいいコートとたくましい身体を背中にするよう座っていた…
ニジ「おはよう。少しは落ち着いたか?ソラ君?」
ソラ「ニジおじさん…。…。」
ニジおじさんが顔だけ僕へと振り向いて、その不敵な笑みに僕は思わずポカンとしちゃった。
ーーーーーー
ニジ「あらら。その顔じゃぁ、まだアレか?」
ソラ「!うぅん。昨日の事はなんとか落ち着いたの。けど…」
ソラ「…ありがとうニジおじさん。僕…ずっと……。」
僕は慌てて首を横に振って、背中を向けながらじっと僕を見つめているニジおじさんへと昨日の事のお礼をするよう何回か頭を下げる。
しかし襲われた時よりも僕は今…
ソラ「(会いたいなぁ…。お父さん、お母さん…。)」
ソラ「(あの日できなかった家族の時間…いつも忙しいお父さんとお母さん。今まで遊んでくれなかった時間を…特に僕はお母さんが作るオムライス、食べたいのに…。)」
家族。僕のお父さんとお母さんに会いたい。早く帰ってきてほしい。
せっかくのべっそうがキラキラで満たされて、中も綺麗なキラキラで満ちているのになぜ…
と、
ニジ「本来の家族に早く会いたいのか?」
ソラ「!う、うん。どうして分かるの?」
ニジおじさんが僕の思っている事を見抜いているような言葉を聞いて、僕は一瞬ハッとなったお顔を出すとニジおじさんは「やっぱりな。」と静かにうなずいた。
ニジ「その顔をしちゃ答えがわかるもんよ。」
ニジ「誰だってそうだ。こんな状況じゃぁ誰だって不安になる。」
ニジ「無事でいてほしい。早く日常に戻りたい。いつもの生活に帰りたいと。」
ソラ「…。」
ニジ「だがな。」
僕はニジおじさんの隣に座って、べっそう外のところどこ覆われた赤と黒のキラキラが微妙に動いている中庭を静かに見ながら続けて話しかけてきた。
ニジ「一度壊れてしまったら、いつもの日々は戻らない。」
ニジ「今できることは、前を向いて進むか、立ち止まって夢を見続けるかだ。」
ニジ「これが今の世だ。今あるたった一つの命をどのようにして生きていくか、いずれ迫る重要な選択を決して間違えちゃいけない。」
ソラ「選択…。」
ニジ「ソラ君。いやソラ、君はどう生きたい?まだ焦らなくてもいい。でも時間はあまり残されてはいない。」
ソラ「…。」
なんだかとても難しい話だ。うーん。でも、とても大切な事だと思う。
ただ今、僕が一番願う答えとして立ち上がったニジおじさんへと伝えた。
ソラ「お父さんとお母さん、早く会いたい。」
ソラ「僕が此処を守っている内に、早く買い出しから戻ってきてほしい。それだけだもん。」
ニジ「そうか。」
一瞬だけニジおじさんのお顔が寂しそうな表情をしたけど、すぐに元の優しい表情に戻って少し僕から歩いて離れ、ニジおじさんの着ているコート内の懐から通信機らしい機械を取り出した。
ニジ「…そうか。…ああ、わかった。…ん。ソラは今落ち着いた所だ。もう大丈夫だ。」
ニジ「もうちょいソラのとこにいるよ。ああ。またな。」
ソラ「(?誰だろう?なんのお話してたんだろう?)」
誰かとのやりとりを少し離れから聞いた僕は首を軽く傾けていた時、話が終わったニジおじさんは僕へと再び歩み寄った後、
ニジ「リクトから連絡がさっき入った。」
ソラ「リクトお兄さんから?」
ニジ「ああ。先程昨日ソラの別荘を襲っていた奴らの居所ごと壊滅させたって。もう襲われる事ないから安心していいと。」
ソラ「本当!?やった!!よかったぁ。これで安心だーーー!!」
ソラ「本当にありがとう!ニジおじさん、リクトお兄さん達にもありがとうって伝えてね!!」
ニジ「ああ。もちろん。」
昨日襲ってきた悪い大人達…その居場所ごと突き止めたリクトお兄さん達が退治したらしく、もう怖い目に遭わずにすむ事を聞いた僕はばんざーいととても喜ぶ声と一緒にジャンプしちゃった。
そして僕は昨日の悪い大人退治にかっこよく戦って、中にいた僕も守ってくれたニジおじさんへ、
ソラ「ニジおじさん。昨日、僕たちがすむこのべっそうに【友達の家】って言ったよね。」
ニジ「ああ。言ったよ。つまりは?」
ソラ「うん。実直に言うね。ニジおじさん、僕と…【お友だち】になってください。」
ニジ「…。」
ソラ「…だめ、かなぁ?」
お友だち。
ずっと言いたかったこと。
今までの僕は誰も友だちになってくれなかった。
ずっと避けられて、しぶしぶなってくれた先生とご機嫌しだいのお父さんとお母さん以外誰一人も僕に近付いてくれかった…。
ソラ「?(あれ?手が…いつのまに…)」
ソラ「…。」
僕はふといつのまにか手を前に伸ばしていて、僕はちょっとためらっちゃったけど直ぐに引こうとした。
が、
ニジ「駄目じゃないさ。寧ろ歓迎よ。俺。」
ソラ「え?」
引こうとしていた僕の小さな手へ大きな両手が掴んで、僕は近くまで来てしゃがみ込んでいたニジおじさんと真正面から向き合った。
ニジ「俺も30年友達一人もいなかったんでね。やっとお一人様時間が終わるとなりゃずっと待ち臨んだものだ。」
ソラ「ほ、ホント!?やった!!うれしい!!僕、うれしいよーーー!!」
ソラ「やっと友だちができたぁー…。あははははは。」
ニジ「あららぁー。また泣いてるぞー?ソラー?ほれー。」
ソラ「だってだってこんなにうれしくてー…あははは。」
ニカっと笑みを浮かべるニジおじさんのお顔を見るだけで自然に涙が出ちゃう…。
そして嬉し涙を流す僕をニジおじさんに抱き抱えられて、見晴らしのいいべっそう離れの丘へと連れて行かれ、一緒に陽が暮れるまでキラキラが広がる綺麗な世界を静かに見続けた。
続く。
べっそう生活19日目。
やった!さすがニジおじさん達!!悪い大人達はもう来ない!これでもう安心してべっそう生活が送れるー!
その途中ニジおじさんが意味深な事を言ってきたけど、今僕が願うことを先にやりたいなー。僕の家族を…。うん。
そして初めてのお友だち、一人目がやっとできた!!
優しくて、強い、大きな背をしたカッコいいニジおじさん、これからよろしくね!!




