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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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異変-1


冬のない土地。雨がしとしと降り続ける国。南にあるフィルディアの国ロバルト公国。

降り注ぐ雨と一定した温暖な気候は木々を成長させ、森で覆い尽くされている。


「アッツ…」


列車を乗り継ぎようやくこの地にコロッツィオの足が踏み入れられた。それに続いてフウゼツが降り立つ。


「う…」


その暑さと多湿に息が詰まりそうになる。

まるで水槽に入れられているような感覚だ。

耐えきれなくなったフウゼツは羽織りものを脱ぐ。すると現れたたくましい両腕に少しドキリとするコロッツィオ。


− ヒョロイと思いきやマッチョ!


「どうかしましたか?」

「!なんでもない!」

「あ…はい。」

「それよりもここから恵の森までどうやって行くかよね…」

「ミンキュさんとミリョウさん?がくるんですよね??」

「えぇ。通信ではそう言ってたわね…」


2日前出発しようとした時突然入ったミンキュからの通信。なぜかザルアの管理する鍵が手に入り今からこっちに向かうという。しかもマリーもジョージも居ない。その代わりにミリョウという医者が同行するというわけのわからない通信だった。

通信が入ったのがまだ出発前だったので、コロッツィオ達は村で滞在したあとにロバルトに向かった。だからミンキュもそろそろつくはずなだった。


通信機器に手を当て念じる。


− ミンキュ。ミンキュ!


少ししてから返事があった。


− はい!

− 今はどこらへん??

− 今ロバルトへ向かう列車に乗ってます。あと少しでつくと思います!

− わかったわ。私たち駅のカフェテリアで待ってるわね。

− わかりました。またついたら連絡入れますね。


そして通信がきれる。コロッツィオとフウゼツはミンキュを待つため、近くのカフェテリアへ入った。手渡されたメニューに目がついついきらめく。


「コロッツィオは決めましたか?」

「あ。ごめん。えー。どれにしよう…」


メニューにあるのはフルーツとクリームをふんだんに使ったパフェにアイス…どれもこれも華やかで、目移りしてしまう。


「お待たせいたしました。」


店員から手渡されるアイスコーヒーとフルーツがふんだんに使われた大きなパフェ。


「コロッツィオ…これ食べれるんですか?」

「わ…わかんない…。最悪手伝って…」


覚悟をしてパフェを口に運ぶ。

その甘美に心も体もとろけそうだ。

けれどもすぐに限界は訪れ、フウゼツのスプーンも用意してもらうこととなる。


「さて…恵の森までどういけばいいんだろ。」

「コロッツィオの父上は鍵が導いてくれると言ってましたよね…。」

「うん。けど、今は何にも反応を示さない…」


手のひらの鍵はうんともすんとも言わない。

コロッツィオはカバンから一冊の本を取り出した。レルエナの駅で購入したロバルトの観光ブックをパラパラとめくり、最終ページにある地図を広げた。ロバルト国の全体図。

現在はロバルト公国の首都と呼ばれるヘンナにいる。ヘンナはロバルト公国の東北に位置しており、レルエナとの国境に位置するため栄えている。

この国はボランオ山を中心とした国で、木々が茂り、獣や魔物の楽園とされている。降水量の多いロバルトの中でもボランオ山の降水量は格別だ。けれども不思議なことに昼間の数時間は必ず太陽の光が差し込むらしい。その摩訶不思議な気候の解明はできていないが、そのおかげで土壌は豊かで生態系が多様化している。その恩恵をボランオ山の麓は受けており、耕作が盛んだ。


「ここが絶対怪しいと思うわ。」


コロッツィオは地図の横に書いているメモを読んで確証した。


「えぇ…なんで言い切れるんですか…?」

「だっておかしいでしょ?必ず昼間に晴れるとか!それに見てよこの山の麓!」


コロッツィオの指の先をフウゼツが覗き込む。そこにはたくさんの星マークと数字。

全く意味がわからない。

そんなフウゼツにコロッツィオは本のページをめくるめくる。


「ここよ!ここ!」


バンバンと本を叩くその先をフウゼツはまた覗き込み、今度はコロッツィオの興奮を理解することができた。

そのページにはたくさんのお菓子の写真が載っていた。どれもこれもキラキラしている。

けれどもそれが恵の森とどう影響しているのかフウゼツには理解できない。


「…コロッツィオ。美味しそうですけど、これ関係なくないですか?」

「…あんた…言うようになったじゃない…」


え?え?っと戸惑うフウゼツ。


「そうよ…行きたいのよ…ここ…ちょっとくらい息抜きしたいじゃない…」

「それは…ダメです。」


そんな中自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、コロッツィオは声のする方へ視線をやると、ミンキュとミリョウの姿があった。

勢いよくお店へ入ってくるミンキュにウェイターがすかさず注文をとりにくると、ミンキュは水。ミリョウはアイスコーヒーを頼んだ。そしてコロッツィオはスプーンの追加。


「お待たせしました!」

「ううん!思ってたより早過ぎなくらいだよ!一ヶ月とかかかってもおかしくないのに。」

「ありがとうございます!というか、今回はラッキーすぎました。」


ミンキュがマリーとジョージについて説明をしてくれた。まさかマリーがポリアンの王女様という事実に驚きを隠せないでいたコロッツィオだったがあながちありえるかもと納得していた。ジョージに関してはそらそうよね。と言う感じだ。


「ところで…この人は?」

「ミリョウよ。元気になってよかった。」


コロッツィオはミリョウについてよくわかっていなかった。なんせ手当てをしてもらっているときは意識がなかったのだから。

一通り自己紹介を終わらせ、本題へと話が流れる。


「恵の森はどこなのかな…?」

「父さんは鍵が指し示してくれるって言ってるんだけど…。」

「鍵が?」

「けど何も起こっていないんです…。…コロッツィオはこの山が怪しいって言ってるんだけど…」


みんながフウゼツの指し示すボランオ山を覗き込む。コロッツィオの本当の狙いを知らないミンキュとミリョウもボランオ山が恵の森に違いないだろうと言ったので、ひとまずはボランオ山の麓の都市まで行くこととなった。


「あの…」

「どうしたの?ドクター??」

「悪いんだけどあたしここから別行動とってもいいかしら?」

「どうしたの?」

「ロバルトにいる生物学者に会いたいの。」


ミリョウの目的は帝国の悪行を止めること。

たしかに止める理由はない。


「わかった。それじゃあたしの通信機を渡しておくよ?」


そう言ってミンキュは耳から通信機器を外してミリョウに渡した。ミリョウは受け取ると、サイドポケットに入っている消毒スプレーで通信機器を消毒して耳につけた。


「これはどう使うのかしら?」

「通信をしたい相手を念じるとソーサー側がその相手に繋げてくれるの。」

「…わかったわ。」

「ミリョウさんはどんなかんじでロバルトを回るの?」

「ロバルトの学者はボランオ山の麓に点在してるからそこを巡る感じね。ただ、貴方達の行き先とは逆になりそう。もし帰るタイミングが合うなら一緒に入れるんだけど…」


コロッツィオ達が向かう町はココアンノ。

ココアンノはボランオ山の北側中央に位置する町。そしてミリョウが向かうのはドウドアというボランオ山の南西に位置する町。

今自分たちはボランオ山から見ると南東側にいるので、本当にここで別れることとなる。


「何かあったらすぐに連絡を入れるわ。」

「頼むよ!ドクター。」

「あ。あとこれ」


そう言ってコロッツィオの手のひらに何かの包みを渡す。


「なにこれ?」

「胃腸薬と虫除けよ何かあったら使いなさい。」


コロッツィオは笑って体は丈夫!と言っていた。ミリョウは少し呆れて出番がなければいいけどと言ってコロッツィオたちに背を向ける。



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