それぞれの場所へ-3
「私の中にある王は父ではない。貴方のお父上のディバ様です。ディバ様のなさろうとしていたことは正しかった。」
「クュオ様はディバ様の考えを受け継いでいらっしゃいます。そして我等もまた同じ…」
「ってか、あたしらが反乱軍仕切ってるんだよね〜」
セーヘンドの言葉に一同は驚く。
「国の者が裏切ってるのか?」
「まぁ、そういうことになりますね。有難いことに王は未だに気がついていないようです。」
「あたし達これでもうまくやってるからね〜。それにマリー様の存在で、余計動きやすくなったしー。」
ジョージやミンキュには国と王を守る兵士に平然と裏切られる王と国の有様にポリアンという国がもう持たないことが理解できた。
「この絶好のチャンスは逃すことはできない。マリー様という存在を最大限に活かし、現国王を失脚させるのが私達の目的です。今国内では仲間が反乱の狼煙を上げてくれています。このタイミングで我らは一気に王を叩きます。」
歯に絹着せぬその単刀直入な言葉は少しキツく聞こえたけれども、マリーは臆することはなかった。
「かなり強気だけど、貴方達勝算はあるの??現国王のリィバンはかなりの魔術の使い手でしょ?」
ミンキュの心配は最もだ。ジョージも同じことを思った。
現在のポリアンを納めているのは歴代の中でも三本の指に入るほどの魔術者。新しい魔術開発にも力を入れているほどで、鎖国状態と言えど、その力の強さは各国で知らぬものはなかった。
「正直なところ五分五分といったところです…。けれどもマリー様の存在が明るみに出れば国王軍の体制は崩れると思っています。何せ、マリー様は失われた希望ですから…」
クュオの言葉がマリーの心を揺らす。
知らない祖国の危機
世界の危機
どちらを?どちらを選択すればいい??
沈黙だけが流れる
「ただで来てもらおうとは思っていません。もちろん父を失脚させた後のポリアン国王はマリー様…。そして…」
クュオがサルヴィに視線を送るとサルヴィは杖を一振りする。そしてそこに現れたのは小さな石。
「あなた方のお探しの品も今お渡しします。」
その場にいたもの達が皆驚きを隠せないでいた。その場に現れた石から発せられる魔力は圧倒的。鍵であることは明らかであった。
「なんでぇ…?あなたが…持ってるの〜?」
「国王の頭は何よりもあなたの存在を消すことでいっぱいのようです。手に入れることは容易いかった…どうします?」
マリーの強張った顔は一瞬にして溶けた。
「あたし行く〜。」
その言葉はみんなを驚かせる。
「マリーさん!!そん
「行ってこい。お前はお前の進む道がある。後は俺たちに任せておけ。」
ミンキュの言葉をジョージが遮る。
不安そうに見上げるミンキュ。
「ありがとうジョ〜ジ〜!あたし絶対戻ってくるからその間よろしくね〜!!」
その言葉はクュオ達を驚かす。
「大きな渦に巻き込まれているのは分かっています。けれどそこにまたお戻りなるというのですか?」
「うん!そうだよ〜。」
「何故ですか?貴方には関係のないことではないですか?!」
平然と答えるマリーに引き下がろうとしないクュオ。サルヴィとセーヘンドは驚いた。普段感情を表に出さず口数が少ないことから、イケメンなくせに宮中で怖がられてるクュオが悲しそうな顔で無理を言っている。まるで子供が子犬を拾ってきて親に飼いたいと懇願するようだった。
マリーはにっこりと笑って答えた。
「関係なくないよ〜。だって知っちゃったんだもんっ!」
クュオはマリーの言葉に驚き少しして笑った。
過去、マリーの父親に投げかけた疑問の返答と全く同じだった。
何も知らない幼い自分が、投げかけたシンプルな質問をマリーの父親はマリーと同じく屈託のない笑顔で同じ言葉を返したのだ。
- 同じだ…
その言葉は何を言っても覆らないことはすぐにわかる。
「…そうですね。すみません。バカなことを言った。」
「うーうん!いいの!」
マリーは後ろにいる3人に体を向ける。
「みんなごめんね!!あたしちょ〜っと抜ける!!けどけど!!ぜっっっったい戻ってくるからね!!!」
「わかりました…!絶対ですよ!!」
無茶なお願いをしているのに、みんな顔をしかめない。信じてくれてる。
マリーはにっこりと笑って大きく返事した。
「それではこちらを。」
サルヴィからジョージの手に鍵が渡される。
「マリー様は私達が何があっても守り通します。」
「頼んだぞ」
「それじゃ〜ね〜〜!頑張ってくる〜!」
セーヘンドの用意した魔法陣にマリー達は乗り込み、魔法が発動されいなくなってしまった。
部屋にはジョージ、ミンキュ、ミリョウ。3人になってしまった。
「さて…思いの外早く手に入れれたな。」
「コロッツィオさんたちと合流しましょう。」
「そうだな…。」
少し考えているジョージ。
「どうしました?」
「悪いがコロッツィオ達のところへはミンキュとドクター2人で向かってくれないか?」
「弟さん??」
「あぁ…。イザナは大丈夫だと言っていたがやはり早めに治したいんだ…」
その言葉にミリョウが反応した。
「弟さん何かあったの?」
「精神深部に傷をつけられ精神が戻らない状態だ。回復できるのはソーサーしかいない。」
「そういうこと…。それなら確かに早いほうがいいわね。」
「ドクターはソーサーの存在に驚かないのか?」
「驚くもクソもないわよ。この子の仲間にもソーサーはいたわ。」
「え?」
ミリョウの言葉に驚くミンキュ。自分たちの仲間にソーサーがいると言われ心底驚く。
「あなた…わかっていなかったの?如月がそうだったでしょ?」
いきなりの言葉に驚く。けれどもそう考えると合点が行く…。如月はどう考えてもおかしいほどに魔力が高かった…。自分の知る魔術師の中でも飛び抜けていた。それに本人はまだ全力を出しているようにも見えなかった…
思えば、種族について聴こうとするといつもはぐらかされていたように思えた。
「けれど…あなたそれで良いの?」
ミリョウの言葉にジョージもミンキュもあっけにとられる。そんな2人に呆れるミリョウは言葉を続けた。
「仮にも私と卯月はレルエナに関係があるのよ?こんな大切なものを任せてあなたいいの?」
「そんなことか。問題ない。」
ジョージが当たり前のように返答したのでミンキュもミリョウも驚いた。
「俺はミンキュを信頼している。軍人として、人としてお前は信頼するに値する。」
「ジョージさん…」
「えらく買ってるわね…どうなっても知らないわよ。」
「その時はその時だ。それも踏まえて俺はミンキュを信用している。」
ジョージの強い言葉と視線。
ミンキュは感謝とともに身を引き締める。
ミリョウは呆れている様子。
「本当に…あなた達ってよくわかんないわ。」
「逆にあんたはあまり信用していない。」
ジョージの強い眼差し。思わず笑ってしまうミリョウ。
「酷いこと言ってくれるじゃない!安心しなさい。私の目的は別よ。」
そう言って視線を兵士達の方へと落とす。




