10. 亀の日常
こんにちは、亀です。
今日はほどよく温かく、気持ちのよい日にございます。こわっぱも、騒ぐこと無く集中して、大変快適といえましょう。
「あかいろが、はみだしちゃったよぉ!」
ああ、みなさま。残念ながら、良き時間は終わりました。ロケットを描いていたこわっぱが、けたたましく泣きだしました。
絵のロケットなどつまらぬもの。優しい私は慰めるように水槽の壁にはりつきます。
よう見ろ、こわっぱ。ロケットよりも素晴らしかろう!
「クリュー、ごはんたべたいの?」
食事係のこわっぱは、なぜか食事を差し出します。ものの分からぬこわっぱです。
ぽちゃん
「あ、落としちゃった。」
落ちた食事が水を含んでしまえば、水に溶けてしまいます。
このままでは水が汚れる!
急ぎ水に入って口に含めば、水の清潔さは保たれて。こわっぱめは、私に感謝していることでしょう。
ダンッダンッダンッ
地面が揺れる!
「みてみて、つきのうさぎ!」
こわっぱは、両手を頭に掲げて跳ね回り、うさぎと自称しており。
床が揺れれば視界も揺れ、脳に響く地鳴りは私から冷静さを奪うようでございます。
いい加減にせぬか!
転ばぬよう透明な壁に近づいて、抗議の声をあげましょう。おお。こわっぱと目が合うと、地震がおさまりました。
ふふっ。やっと静かになった。
ほぅと肺から空気を出して、食後のひと眠りに興じましょう。さぁ、みなさん、瞳を閉じて。
ドスンッ!
「近くで見たかったんだね!ぴょんぴょんぴょん!」
なぜかこわっぱは水槽前で。先より強い地震が襲います。
ああ、波にのまれてしまう!
私は強く目を閉じ思います。
我が宿敵はこわっぱなり!




