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あなたと巡る、愛しい雨旅  作者: 七賀ごふん
アウトプット

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30/45

#10



食事を終えて、お店が建ち並ぶ通りを散策する。お土産も探しながら、景さんと買い物を楽しんだ。

「さすが、龍をモチーフにしたグッズがたくさんありますね」

「だな」

そのとき、雑貨屋で可愛い龍を刺繍した小銭入れを見つけた。

「景さん、俺このお菓子買ってきますね」

彼が頷いたので、お菓子と、その下にこっそり小銭入れを持ってレジへ向かう。会計して戻ると、景さんは二枚貝の小物入れを手に取っていた。

「あ、綺麗ですね。中がきらきらだ」

「欲しいか?」

「いやいや、景さんが使うなら俺が買いますよ!」

と、何故か目の前で買う買う問題に発展した。

「……俺も、お前のブレスレットを入れられるものを用意してやりたくて」

「景さん……」

うは、どうしよう。

不意打ち過ぎて嬉しい。「いや~……でも悪いですし……」と言ってる間に、彼はレジへ向かっていた。

行動早いな。内心感心しながら、外のベンチに腰を下ろす。


「ほら」

「わぁ……! ほ、ほんとに良いんですか?」

「使って、時々今日のことを思い出してくれたら嬉しいよ」


景さん……。

やばい。時々そういう可愛いことを言うから、ほんと反則だ。


「ありがとうございます! 大事にします!」


家に帰ったらすぐ、ブレスレットを入れよう。

「景さんにプレゼントもらったの、初めてです。嬉しい……」

「確かに全然用意してなかった。ごめんな」

「何言ってるんですか! いつもご馳走してもらってますし、この旅行がプレゼントですよ!」

慌てて隣に身を乗り出し、頭を下げる。

割れないよう、元の梱包に入れてサコッシュに仕舞った。


「景さん、そういえば俺もお渡ししたいものが」

「お前はプレゼント用意し過ぎじゃ……」

「でも、可愛かったんでつい」


お菓子を入れた袋から、先程の龍の刺繍の小銭入れを取り出した。

「主様みたいじゃないですか?」

「……姿を見たことはないけどな」

景さんは眉を下げながら笑った。


彼の言う通りで、俺達は主様の御姿を直に見たことはない。常に滝の裏、もしくは表から、滝面に映り、うごめく大きな龍の影を見ていた。

声を聞くことはできるが、主様は不可視の存在。俺や景さんのような人間には、触れることはおろか視ることもできなかった。


「主様がいたら、きっとこれぐらい綺麗で可愛いです」

「……そういうことにしとくか」


景さんは龍の刺繍を指でなぞり、くくっと笑った。


「じゃあ俺は、これを主とお前だと思って持ち歩くよ」


ありがとう、と言って彼は微笑んだ。


これもある種、御守りなのかもしれない。彼の手を取り、立ち上がって笑った。

「本当、面白いものがいっぱいありますよね」

「あぁ」

「これ何だろう?」

カラフルで可愛いパッケージの箱が並んでいた為、つい手に取る。俺は裏を見るまでそれがなにか分からなかったが、景さんは気まずそうに囁いた。


「……おい、それコンドーム」

「すみません」


すぐに商品を戻し、何事もなかったように歩き出す。

景さんも軽く咳払いして隣に並んだ。


ひえぇ……店先に堂々と置いてあるから油断してしまった。


でも、そういえば。俺達はもう恋人同士なんだし、“そういう”ことをしてもおかしくない。

景さんはどう思ってるんだろう。

一歩後について、彼の横顔を盗み見た。


俺と、そういうことをしたいって思ってくれてるのかな。


一度浮かんだ疑問は中々払拭されず、ホテルに戻っても顔は熱いままだった。


「景さん、ビール冷蔵庫に入れておきますね」

「あぁ」


部屋で飲む用のお酒とおつまみを片付けながら、お土産も整理する。

「俺荷物まとめてるので、お風呂お先にどうぞ」

「分かった」

今日のホテルは大浴場はないので、部屋のシャワールームで済ます予定だ。彼は頷き、タオルとガウンを持って行った。


「……」


ここでまた、あの一件を思い出してしまう。

旅先でシャワー。って、そういう流れに入るにはピッタリなのでは?




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