表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたと巡る、愛しい雨旅  作者: 七賀ごふん
輪転

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/45

#8



「え! 告白したわけじゃないの!?」

「わ。声大きいって、日々ひびの


平日、晴天。

都築はバイト先で、同僚の青年、日々野に慌てて振り返った。

昼は楽器屋、夜は居酒屋でバイトをしている都築は、両方とも親友がいる。楽器屋では、同い年で現役大学生の日々野と一番仲がいい。


プライベートで遊ぶには互いに時間がないのだが、仕事終わりに飲んだりはしている。今回は初の恋愛相談をしたのだが、想像以上に驚いていた。


「大体、“そういう”相手って何だよ。悪いけど、俺には下の話にしか聞こえないぜ」

「それは日々野の心がいやしいからじゃ……」

「いやいや、付き合うなら普通に付き合おう、って言えよ。そこ有耶無耶にしてると、後で自分だけ勘違いしてました~パターンで泣くことになるぞ」


床のモップがけを終え、日々野は片手をかざした。

お客さんがいない上、店長が留守なのを良いことに、掃除しながらだべってしまっている。

ちなみに、日々野には俺が好きな相手が男ということは隠している。だから男気見せろ!とお前がリードしろ!とめちゃくちゃ燃えている。


「仕切り直しだな、名田。今度デートに誘ってしっかりプロポーズしろ」

「え!? デート!?」

「お前も声でかっ……! にしても、反応がウブ過ぎんだよなぁ。お前の良いとこだけど」


日々野はけらけら笑い、それからスマホを弄り出した。

「彼女できたことないんだよな? 心配だから、俺がデートにぴったりなプランをいくつかピックアップしといてやるよ」

「ほんと? ありがとう……」

素直に礼を言ったものの、情報不足だったことに気付いて片手をかざす。

「そうだ……日比野、実は相手歳上なんだ。後、わりとローテンションで」

「へぇ。テーマパークとか思ったけど、そんじゃ無難なプランのが良さそうだな。映画観てぶらっと買い物して、夜景が綺麗なレストランがベターだ」

「……喜ぶかな?」

「喜ばなかったら、そもそもお前は相手にされてないってことだ。諦めろ」

日比野は淡々と答え、スマホの送信ボタンを押す。

それまで浮かべていた笑顔を消し、真剣な声音になった。

「でも当日上手くいくかは、お前のセンスにかかってる。頑張れよ」

上手くいったら今度奢ってくれ、と言って日々野は掃除用具を戻しに行った。

「センス……」

なんてプレッシャーのかかるワードだ。


急激に緊張してきて、夜のまかないはあまり喉を通らなかった。



「名田くん、今日あまり食べてないね。さては二日酔いだな?」

居酒屋の先輩で、年はひとつ上の梅野うめのという女性が心配そうに声を掛けてきた。ここでは彼女と一番親しく、気の置けない仲だ。かくかくしかじか事情を話すと、彼女は目を輝かせながら手を叩いた。


「え~! 名田くんが惚れた女の人とか気になる~! 写真ないの?」

「すみません、写真はないですね」


男で見せられないから。という前に、本当に写真がない。

遊びで旅してるわけじゃないから、景さんとツーショットしたことがなかった。

うう、写真一緒に撮ってみたいなぁ。

「思いきってデートに誘って、正式にカップルになれるよう頑張ります。友達からはちょっと良いレストラン予約するように言われたので、色々探さないと」

「ふんふん。良いね~。じゃあ最後に、先輩からもひとつアドバイスしよう」

「……?」

梅野さんのアドバイスを聞き、自分なりのデートプランを練る。

不安だったり恥ずかしかったり、まさかこんなことで頭を悩ませる日が来るとは思わなかった。


恋愛経験ゼロとはいえ、周りの恋愛相談はそれなりに聴いてきた。落ち着いてステップを踏めば、そこまで事故ることはないはずだ。


でも景さんも俺並に規格外なひとだからな。何で喜ぶかは、正直予想がつかない。


夜の静かなカフェに寄り、タブレットにデート当日のスケジュールを入力する。それを見てたら、改めて大変はプロジェクトを実行しようとしてる気がした。

主様の捜索スケジュールを立てる時は真剣に、無我夢中で作業できるんだけど……今は俺の男としてのセンスを問われてるようでドキドキする。


日々野が言ってたことは間違いない。俺は絶対、ひとりで浮かれてる。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ