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偽情報の王国で、仮面は割れる  作者: 梓水あずみ
北線の削除

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94/157

94.三枚目の札

空きが一つ残っている。


《受領拒否》と《受領代理》の間。

木の板の端に、まだ指一本ぶんの余白がある。


窓口の職員の目は、余白に吸われていた。

そこへ何かが置かれた瞬間に、順番が決まる。


ミラは宰相府の男の紙束を見た。

抱え方が変わらない。

紙束を抱える腕が疲れない抱え方。


慣れた抱え方は、机の側の抱え方だ。


男が紙束を台へ置く。


台の端に、黒い点が一つ見えた。


黒点。


門の印。


でも男はそれを隠さない。

隠さないのは、ここが内側の前室だからだ。


前室では、隠さなくていい。

隠すのは外側だけ。


外側に見せるための正しさは、今朝もう配られている。


配られた正しさは、狩りの予告になる。


予告があるから、窓口の目が余白へ吸われる。


ミラが職員の視線の先を見た。


余白に、紙片が置かれる。


《受領代理》


代理。


代理は責任を薄くする言葉だ。


責任が薄いと、人は狩りやすい。


ミラは息を止めた。


止めたのは緊張じゃない。

声を殺すため。


アークは一歩前へ出ない。


前へ出ると、主役がこちらになる。

主役にするべきは、余白に吸われる目だ。


ミラは職員の手の動きを覚える。


紙片を置く手。

置いたあとに指を引く速さ。

引く速さが、迷いの速さだ。


迷いがない。


迷いがないのは、順番が決まっているから。


順番が決まっているなら、崩せる。


崩すのは紙じゃない。


余白だ。


余白に置く紙片の順番を崩せば、狩りは遅れる。


遅れた隙に、門の札が落ちる。


落ちた札を拾えば、門は開く。


ミラは視線を戻し、アークへ小さく頷いた。


余白がある。


余白があるなら、こちらが入る余白もある。


その余白を、順番で取る。

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