第65話:ニーニャの舞と秘密の女子会
ドワーフの広場は、かつてない熱気に包まれていた。ニーニャが軽やかに舞うたびに、広場にはキラキラと輝く癒しの雨が降り注ぐ。
「ニーニャちゃん、可愛いぞぉぉ!」
「最高だ! 疲れが吹き飛ぶぜ!」
ドワーフたちは特製のイモジョウチュウを呷りながら、彼女の踊りに大興奮。ニーニャの弾けるような笑顔と際どい衣装が、職人たちの心を鷲掴みにしていた。
そんな喧騒を少し離れた場所で、ツトムと技師長は真剣な面持ちで図面を囲んでいた。
「技師長、太陽の石をこの中央ユニットにセットして、そこから各ハウスへ繋がるパイプに熱気を送り込む仕組みはどうでしょう。これなら効率よく全体を温められるはずです」
「なるほどな。パイプの上にビニールを被せて、パッカーで固定する……。だがそうなると、熱気を逃がさないための気密性も必要だし、石を安定させるための制御機もいるな。……こりゃあ、もう少し調整に時間がかかりそうだぜ」
酒を片手に、二人はビニールハウスという未知の建造物の完成に向けて熱く議論を戦わせていた。
一方、宿の一室では、別の意味で熱い女子会が開催されていた。
「……大体、勝手についてきて抱きつくなんて!洞窟でもずっとツトムにベッタリだったじゃない。あの子、かなりの確信犯よ。要注意なんだから!」
ルカが拳を握りしめて鼻息荒く訴えるが、他の面々の反応はバラバラだ。
「あぁ……事故。事故って、本当に……本当にいいものだよな……」
一人だけふわんとした感触を思い出し、恍惚の表情で空を仰ぐアイリス。
「アイリス! 今はその話じゃねーよ!」
グライザが呆れ顔で突っ込むが、アイリスの耳には届いていない。
「わっちは、ニーニャがいてもツトムが一番好きでいてくれると信じてるでありんす。わっちの魅力は負けないでありんすよ」
余裕を見せるハルに対し、シンシアは静かに、けれど力強く宣言した。
「私もぉ、ニーニャさんがいても自分がやるべきことぉ~ツトム様をあらゆる外敵から守りぃ、そして最終的に手に入れることを遂行するだけですぅ」
結局、目的も方向性もバラバラな女子会は、一度もまとまることなく夜が更けていくのだった。
「勇者殿……これを……ッ!」 フラフラの状態で『石の制御ユニット』をツトムに託すと、技師長はやり遂げた満足感とともにパタリと倒れ伏した。
「技師長の頑張り、無駄にはしません……!」
ツトムはその熱い想いを受け取り、ユニットを大切にアイテムボックスへ収めた。




