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39歳の平凡な中小企業(さつまいも生産・販売)の社長!農業スキルで異世界無双!  作者: 一年目の平凡な中小企業の社長


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第60話:砂漠に降る雪

 しかし、街の様子は凄惨だった。人々は熱気にやられてぐったりと倒れ込み、広場の噴水もひび割れて水一滴出ていない。


「よし、まずは水を確保しよう。アイラ様を呼んでみるよ」


 ツトムが左手の薬指の指輪に手をかけると、5人の顔が一斉に引きつった。


(((((えぇぇぇぇ……やっぱり呼んじゃうのね。また仲間ライバルが増えるじゃない、絶対!)))))


「アイラ様!」


 ツトムが呼ぶと、冷ややかな風と共に氷の女王アイラが姿を現した。


「どうしたのだ、勇者よ。こんなに早く私を呼ぶとは」


「アイラ様、この街は水が枯渇しています。なんとか雪を降らせることはできませんか?」


「勇者よ……私も魔力が枯渇寸前なのだ。広大な砂漠を潤すほどの大雪は無理だが、この広場に少量降らす程度なら可能だ」


 アイラが杖を振ると、砂漠の空に奇跡のような淡い雪が舞い落ちた。それが熱で溶け、噴水の水盤に少しずつ、けれど確かな水が溜まっていく。


「水だ!水が出たぞ!」


 砂漠の民が歓喜の声を上げて集まってくる。ツトムは「アイラ様、少しですがこれを」と、アイテムボックスから少し冷たいベニ・ハルーカの焼き芋を差し出した。


「な、ななっ、なんだこれは……!? ほどよく冷えていて、砂漠の熱気に火照った体に染み渡るではないか!しかもこの甘さ……おおお、わしの魔力が、ここまで回復するとは!!」


 ひんやりとした芋の魔力回復効果に驚愕したアイラが、さらに勢いよく雪を降らせ、街は一気に涼やかな空気に包まれた。

 騒ぎを聞きつけた族長が、目を丸くして駆け寄ってきた。


「どなたですか、これほどの奇跡を起こされたのは……」


「王様の命で参りました、勇者のツトムです」


「ま、まさか……各地を救っていると噂の勇者様が、こんな辺境の地へ!?」


 族長は腰を抜かさんばかりに驚いた。


「では、この雪も勇者様が?」


「氷の大地の女王、アイラ様が降らせてくれました」


「あのアイラ様と懇意になさっているのですか!? 彼女は気難しくて有名なのですが……」


「気難しくて悪かったな!」


 アイラがジロリと睨むと、族長は「ひぇっ、アイラ様ご本人でしたか! 失礼いたしました!」と平伏した。


「して、勇者様。この街にどのような御用で?」


「砂漠の街を飢餓から救うこと、そして砂漠の洞窟に封印されている太陽の石を取りに来ました」


「なんと……。それならば、道案内に私の娘である雨を呼ぶ踊り子、ニーニャを連れて行くと良いでしょう」


 族長は少し表情を曇らせて続けた。


「娘なら戦闘もなんでもこなせますが、今は飢えで魔力が底をつき、動くこともままならぬのです。勇者様、何とかなりませんか?」


「ニーニャ様の魔力回復ですね、任せてください。僕らのベニ・ハルーカの焼き芋を食べれば、すぐに元気になりますよ」


 ツトムが力強く請け負うと、背後に控える6人の視線がさらに険しくなった。


(アイラ様までいるのに、また仲間が増えちゃうじゃない!大体なんで仲間が女の子ばかりなのよ……変よ! 絶対おかしいわよ!!)


 ルカが心の中で激しく毒突いていることなど露知らず、ツトムは誠実な顔で族長に向き合っている。


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