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39歳の平凡な中小企業(さつまいも生産・販売)の社長!農業スキルで異世界無双!  作者: 一年目の平凡な中小企業の社長


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第51話:聖水でリレーと秘密の魔力供給

 その言葉に、四人は心底安堵し、崩れ落ちるように息を吐いた。しかし、一刻の猶予もない。


「シンシア、その聖水はどうやって使うの!?」


 ルカの問いに、シンシアは禁断図書の一節を指差し、真剣な(そしてどこか期待に満ちた)顔で告げた。


「図書によればぁ、この聖水は直接摂取するよりもぉ、口移しで流し込むのが最も魔力伝達効率が高くぅ、効果的だと記されていますぅ……」


 その瞬間、室内に静かな火花が散った。


(ハルさんはぁ、ぐったりしているしぃ、ここは私がぁ……)とシンシアが目論むが、他の面々が黙っているはずがない。


「それは、やっぱり一番長く一緒にいる私が行うべきじゃないかしら……っ!」


 ルカが顔を真っ赤にして主張すれば、アイリスも負けじと胸を張る。


「いや、ツトム殿が愛するアイリスと呼ぶ私こそが、その役目にふさわしいはずだ!」


「お、俺は……ただ助けたいだけだ。またあいつと色んな話をしたいから、その、仕方なくやってやってもいいぞ!」


 グライザまでが顔を林檎のように赤くして名乗りを上げる中、虫の息だったハルまでが「わっちも……混ぜておくんなんし……」と手を挙げた。


「……揉めている時間はありません!腐敗が止まらないわぁ!」


 シンシアの鋭い指摘に、ルカが苦渋の決断を下す。


「……分かったわよ!こうなったら、みんなで少しずつ飲ませましょう!」


 五人は顔を見合わせ、深く頷いた。ツトムの体は、すでに死の香りが漂い始めるほど腐敗が進んでいた。五人は代わる代わる、聖なる雫を口に含み、慈しむように、そして祈るようにツトムへとその命の水を注ぎ込んでいった。

 すると、ツトムの体が柔らかな黄金色の光に包まれた。 どす黒い紋様が消え、腐りかけていた肌が瑞々しく再生していく。毒が完全に浄化されたのだ。


「「「「「ツトムーーー!!!」」」」」


 意識を取り戻したツトムに、五人は泣きながらしがみついた。


「よかった……本当によかったわ、ツトム……っ!」


 ルカが泣きじゃくり、仲間たちが安堵の涙を流す中――。


「……役目は、果たせきんした……」


 満足げに呟いたハルが、糸が切れたようにパタリと倒れ込んだ。


「ハル!?」


「魔力の使いすぎでありんす……」


 今度はツトムの隣にハルが寝かされた。一難去ってまた一難。だが、五人の絆は、この死線を越えたことでより一層強固なものへと変わっていた。

 ツトムがゆっくりと目を覚ますと、隣のベッドには深い眠りについたハルの姿があった。意識が混濁していた間、ずっとハルの温かな魔力に守られていたような、そんな穏やかな夢を見ていた。


「ハル……、随分と魔力を使い果たしてしまったんだな」


 ツトムはアイテムボックスから、魔力回復効果の高いベニ・ハルーカの焼き芋を取り出して齧った。


「……よし、僕の魔力量は十分だ」


 ツトムは、まだ眠りの中にいるハルの顔にゆっくりと顔を近づけた。そして、躊躇うことなくその唇を重ねる。それは解毒のために彼女たちがしてくれたことへの、ツトムなりのお返しだった。

 焼き芋によって増幅されたツトムの純粋な魔力が、ダイレクトにハルの中へと流れ込んでいく。衰弱していた彼女の魔力が、見る間に自立できるほどまで回復した。

 ツトムは唇を離すと、満足げに微笑んだ。


「魔力供給って、手を繋ぐよりこっちの方がずっと効率がいいんだろ?ハル」


 そう言い残し、彼は颯爽と部屋を後にした。

 残されたハルは、驚きで目をぱちくりとさせた。


「……ツトム、大胆でありんすね」


  数秒後、自身の耳まで真っ赤になっていることに気づくと、ハルは慌てて布団を頭まで被り、もぞもぞと顔を覆って身悶えた。

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