第45話:デート反省会と不穏な足音
ツトムにとって、この一日を締めくくる賑やかな夕食は、孤独な望郷の念を温かく溶かしてくれる、最高のご褒美となった。
レストランで温かい晩餐を囲んでいる最中、ツトムが改めて噛みしめるように言った。
「僕は……魔王を倒し、この異世界のみんなの未来を守りたい。貧困と飢餓から、この世界を救うんだ」
「私も、同じ気持ちよ……」
ルカは頷きつつも、胸のざわつきを抑えられずにいた。
「しかしまだ、我らの戦力は整っていない。無理をしては返り討ちに遭うのが関の山だぞ」
アイリスが冷静に諭し、グライザもそれに続く。
「地道に街や村を飢餓から救っていく方が、結果的に魔王の力を削ぐことに繋がるんじゃねぇか?支配下の魔物を各個撃破していけば、戦力差も埋まる」
「わっちを含め五人では、正面突破するにはまだ力が足りないでありんす」
ハルも静かに認め、ツトムは腕を組んだ。
「うーん……確かに、僕は少し急ぎすぎているのかもしれないな」
「ツトムは経営者だもの。結果を早く出したいのよね」
ルカがフォローし、グライザが「焦っても良い結果は生まれねぇぞ」と釘を刺す。ハルも「焦らずじっくりにしておくんなんし」と微笑んだ。
「魔物の討伐なら、この私に任せておくがいい」
アイリスが力強く胸を叩く。
頼もしい仲間たち。だが、彼女たちの内心は一致していた。
((((これ以上、これ以上は仲間が増えるのは御免だわ!!))))
「……ふふ。僕はそろそろ寝ようと思う。みんなはゆっくり楽しんでくれ」
ツトムが席を立つと、ハルがすかさず立ち上がった。
「じゃあ、わっちもついていくでありんす」
「ハル! ダメに決まってるでしょ!!」
ルカの鋭いツッコミが入り、ツトムは苦笑いしながら部屋へと戻っていった。
そこから、残された四人による「今日のデート反省会」が始まった。
「私はね、ツトムとたくさん甘いものを食べて、甘~い時間を過ごしたわ」
ルカが勝ち誇ったように言えば、アイリスが宝物のように首元を押さえる。
「ふん、私はツトム殿にこれをプレゼントしてもらったぞ!」
青い宝玉が輝くペンダントを見せびらかすと、ルカの顔が引き攣った。
「俺は、現代の知識についてたくさん話したぜ。たいむましーん!があれば現代に戻れるのか?ルカ」
「……たいむましーん? さあね、もしそんな魔法具があれば戻れるのかもしれないけど、今の技術じゃあ絶対に無理よ」
「わっちは、一日中ツトムと手を繋いでいたでありんす」
「ハル、あんたはお触り禁止!!」
火花を散らす女子会。しかし、その喧騒を切り裂くように、王宮の兵士が息を切らして駆け込んできた。




