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【1巻発売中】生徒の保護者が元カノだった  作者: ネコクロ


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第63話「一緒に寝る流れ…?」

「あまり無理しないようにね」


 気を取り直した俺は、上条さんに笑顔を向けた。

 上条さんは賢い子なので、体調管理もしっかりした上で無理なく勉強しているのかもしれないが、念のため言っておいた感じだ。


「……えぇ、大丈夫です」


 また『教師みたいなことを言ってこないでください』とでも言って反発してくるかな、と思ったのだけど、意外にも上条さんは少しだけ目を丸くした後、『ふっ……』と優しい息を漏らして笑みを浮かべた。


 まさか素直に受け止めると思わず、俺も目を丸くしてしまう。

 すると、『なんですか?』と顔をほんのり赤くしてジト目を向けてきたので、笑顔で誤魔化しておいた。


「…………」

「あっ、はい。大丈夫です、手は出しません」


 そして、上条さんが階段を上っていく間、美鈴ちゃんが笑顔で黒いオーラを纏いながら俺の顔を見てきたので、俺は即座に首を縦に振っておいた。


 美鈴ちゃん、ほんと圧が強くなったというか……母親として、強くなったなぁ……と思ってしまう。

 昔の彼女からは考えられなかった。


 その後は、リビングで佐奈ちゃんの遊び相手をし――やがて、佐奈ちゃんを眠気が襲ってくる。


「んっ……」


 俺の膝の上に座りながら、コックンコックンとゆっくり首を上下させる佐奈ちゃん。

 眠気に負けそうな姿もかわいらしい。


「お昼寝する?」

「んっ……」


 俺の質問に対し、佐奈ちゃんは首を縦に振って、寝る体勢に入る――それが、いつもの流れだった。


 でも、今回は違うみたいで、佐奈ちゃんは俺の服を掴んでくる。


「佐奈ちゃん……?」

「おにいちゃんも……おひるね……する……」


 どうやら佐奈ちゃんは、俺と一緒に寝たいようだ。

 さすがに、これは……。


 ――と、まずい気がした俺は、チラッと美鈴ちゃんを見てみる。


「お布団、取ってきますね」


 しかし美鈴ちゃんは、佐奈ちゃんを止めるどころか、むしろ積極的に動いていた。


 嘘だろ……!?


「布団を取ってくるの……?」


 大切な娘と元カレが一緒に寝ることになるんだけど、大丈夫なの……?

 という意味を込めて尋ねると、美鈴ちゃんは一瞬のうちに顔を赤くしてしまう。


「だ、駄目ですよ……!? さすがに、寝室には入れられません……! ま、まだ、早いと思いますので……!」


 どうやら、俺の質問の意図は勘違いされ、美鈴ちゃんは『リビングで寝るつもり?』と捉えたようだ。

 彼女の中では、俺も既に寝る気でいるように思われているらしい。


 まぁ……俺が、佐奈ちゃんのおねだりを断われないからだろうけど。


 それよりも――。


「まだ……?」


 美鈴ちゃんの言葉で気になった部分があり、俺は思わず(つつ)いてしまう。


「あっ……! た、他意はありません……!」


 それに対し、美鈴ちゃんはグッと息を呑みこんだ後、一生懸命首を横に振った。


 いや、他意はありませんって……むしろこの場合、他意がないほうが……?


 そう思う俺だが、ツッコみを入れる前に美鈴ちゃんがリビングを出ていってしまった。


 よほど慌てていたけど……まぁ、無理もないか。

 元カレ相手に先程のは、失言の中でもまずかったと思うし。


「んっ……ねんね……まだ……」


 美鈴ちゃんに気を取られていると、腕の中でまだ佐奈ちゃんが睡魔と闘っていた。

 いつもならとっくに寝ているだろうに、お布団が到着するのを頑張って待っているようだ。


 それだけ、俺と一緒に寝たいということなんだろう。

 凄いな……。


 ――すぐに、美鈴ちゃんは敷布団を持って下りてきた。


「私だと、一度で運べず……」


 ということのようだが、これはもしかしなくても、美鈴ちゃんの寝室から持ってきたものだろうか……?


「い、言っておきますけど、お客様が来た時用のですからね? ほら、朱莉ちゃんとかが普段使っているものです……!」


 布団を見つめながら考え事をして固まる俺に対し、美鈴ちゃんはすぐさま説明をしてくれた。


 さすがに、彼女が普段使っているものは持ってこなかったらしい。


 というか、朱莉泊まりに来たりしてるんだ……。

 それってつまり、上条さんや佐奈ちゃんとも顔見知りということだよな……?


 ……変なことを上条さんに吹き込まないよう、口止めしておかないと……。


 朱莉はいたずらっ子なところもあるので、俺はこれ以上教え子からの評価が下がらないよう、今度機会がある時に先手を打つことにした。


 ――まぁ最近まったく会ってないんだけど。


 俺が彼女たちの家に来るようになってからも、朱莉はこの家に顔を出していないし。


「ママも、ねんね……」


 敷布団が来たことで俺の膝から下りた佐奈ちゃんは、ヨチヨチと歩いて美鈴ちゃんの足にくっついた。

 美鈴ちゃんは掛け布団や枕を取りに行こうとしていたのだけど、佐奈ちゃんからしたら美鈴ちゃんがいなくなるように感じたのかもしれない。


 ――てか、ちょっと待って。


 これって、俺は佐奈ちゃんだけではなく、美鈴ちゃんとも一緒に寝る流れ……?


 佐奈ちゃんの発言からそうとしか思えず、俺は嫌な汗が出てきた。


 やっぱりそれはまずいんじゃ……?

佐奈ちゃんがかわいいと思って頂けましたら、

書籍版『生徒の保護者が元カノだった 』

もよろしくお願いします!


人気作になって、

コミカライズやアニメ化したいです(*´▽`*)


これからも是非、楽しんで頂けますと幸いです♪

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