第49話「予想外の方向へ」
「過去もしくは前世の行為の善悪に応じて、現在の幸、不幸の果報があり、現在の行為に応じて、未来の果報が生ずることだね。まさか、村雲さんをいじめているのは、仕返しだとでも言うつもりかい?」
「さすが、先生。察しがいいことですね。その通りですよ」
美堂さんは頬を緩め、小首を傾げる。
だけど、目だけは笑っていなかった。
どこまで本気かわからない……。
ただ、上条さんの腕の中で村雲さんが申し訳なさそうな表情をしたので、戯言と断言するわけにもいかなかった。
「どういうことか、詳しく教えてくれるかな? そこの二人、逃げても無駄だよ?」
俺はコソ~ッとこの場を去ろうとした取り巻き二人を呼び止め、美堂さんに説明をしてもらう。
「先生、今更その子の言うことに耳を貸さなくても――」
「部外者は、黙っていてください」
「――っ!」
俺が美堂さんに同情する可能性を危険視したのか、上条さんが止めようとしたが、そんな彼女を美堂さんが止めた。
加害者なのに、上からものを言っているようにも見え、上条さんの怒りの琴線に触れたのがわかる。
「上条さん、抑えて」
「ですが……!」
「わかってるよ、俺だってここまで村雲さんを傷つけられたことに、凄く腹が立っている。でも、まずは冷静でいないと、物事は好転しないよ?」
「…………」
少し叱るように諭すと、上条さんはおとなしく引き下がってくれた。
上条さんが怒っている気持ちは十分にわかっているんだ。
それでも、俺はあくまで教師としての役目を全うしないといけない。
この場にいる大人は俺一人なのだし、感情に流されるわけにはいかないのだ。
「とりあえず、話を聞かせてくれるかな?」
俺が優しめに尋ねると、美堂さんは『ふっ……』と力なき笑みを浮かべた。
「先生もご存じの通り、私と瑠美ちゃんは幼馴染で、とても仲良しでした」
ゆっくりと口を開いた彼女は、そう前置きをする。
実際、そこに嘘はないのだろう。
高校までは本当に仲がよかったようで――逆に言えば、高校に入ってから二人が仲違いをする何かがあったということになる。
「でも、私の気持ちは、仲良しという言葉だけで収まるものではありませんでした。そう――友情を超えた……愛、だったのです……」
「「「「――っ!?」」」」
突然始まった、美堂さんの告白。
おそらく、この場にいた村雲さん以外の全員が驚き、顔を見合わせた。
おいおい、待ってくれ……。
これ、予想外の方向に話がいくぞ……?








