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#9違う基準

※理解できない相手と、離れられない話です。


朝。


起きて、外で鍛錬をこなす。




一通り終えて部屋へ戻ると、ハルモンはもう起きていた。


ベッドに腰掛けて、靴を履きながら顔を上げる。


「おはよう。今日も素振りしてたの?」


「ああ。……日課だからな」


「へー」


少し間を置いて、ハルモンは立ち上がった。


「僕、ちょっと着替えてくるね」


そう言うと、ハルモンは部屋を出て行こうとした。


「……着替えるのに、どこへ行くんだ?」


「衣装部屋。……ライ君も来る?」


……そのまま、ついていく。








通されたのは、二階にある小さな部屋だった。


壁一面に服が並んでいる。


(……多いな)


そう思った次の瞬間。


ハルモンが、何の躊躇もなくズボンに手をかけた。


「——おい」


止める間もなく、布が滑り落ちる。


「待て」


「え?」


こちらを振り返ったハルモンは、本気で不思議そうな顔をしていた。


「着替えるけど」


「見れば分かる」


シャツのボタンに手がかかる。


「やめろ」


一歩で距離を詰めて、手首を掴む。


ハルモンはこちらを見上げると、首を傾げた。


「……外にいる」


そのまま手を離し、踵を返す。


扉を閉めた。


(……何なんだあいつは)


深い吐息をつく。


(……いや……あれは、気にしなさすぎだろ)














しばらくして、扉が開いた。


開いた瞬間、目に入ってくる。


見慣れた黒いローブではない。


白いシャツに、ベスト。


整えられた襟元。


(……なんだ、それは)


「お待たせ。食堂行こっか」


そう言うと、そのまま階段の方へ颯爽と歩いていく。


(……似合っている)






階段を降りながら。


「……他でもやってるのか」


ぼそっと。


「何が?」


「……着替え。人前で、やるのか」


「え? やらないよ」


即答だった。


「なんで?」


ハルモンは、本気で不思議そうな顔をしていた。


険しい眉が、少し解けた。


(……そうか)
























ここまで読んでいただきありがとうございます。


この関係がどう転ぶのか、見守っていただけると嬉しいです。


次回、『気づいているのは周りだけ』。

ミア視点の話になります。


今回が少し短めの話だったので、今日の午後に投稿する予定です。


よければブクマや評価、コメントなどいただけると励みになります。

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