表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師なのはヒミツで薬師になりました  作者: すみ 小桜
第八章 惑わす声

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/88

第三十九話

 ティモシーは、目が覚めた時、心臓がバクバクいっていた。そして今日は、少し夢の最後を覚えている。『ブラッドリーさんには気を付けて!』そう耳に残っていた。

 (なんでそう言われたんだっけ?)

 ティモシーは、上半身を起こしボーっと考える。そう言えばこの頃、エイブさんの夢見ていた気がする。

 (そうだ。ザイダさんが、しつこいと教えてくれたのも夢の中のエイブさんだ。……本当に夢なんだろうか?)

 ティモシーは、ふと首に手を持っていく。包帯が巻かれていた。それをほどく。そして、傷口を直に触る。

 (覚えがある。俺、こうやって触った……)

 そう思い出すと、ある言葉も思い出す。『自分の事棚に上げるようだけど、君を魔術師だと知らない魔術師は、信用しない方がいいよ。基本、普通の人達に虐げられた事あるはずだから。何とも思わず利用すると思うよ』

 ティモシーは混乱していた。夢のはずなのに、現実味を帯びていて、本当に言われたような気がした。

 「どうかしてる。今、あの人は牢の中。話せない状態だし……」

 「おぉ、起きていたか」

 ティモシーは、ビクッと体を震わせる。

 ランフレッドが、部屋を覗きに来たのか、それとも帰って来たのか、そう声を掛け入って来た。

 「あ、ごめん。昨日寝ちゃった」

 心臓が飛び出るほど驚いたが、平然として言えた。

 「いや、いいけどって、どうした? 傷痛むのか?」

 ティモシーはドキリとする。

 包帯をほどいているに気が付き、ランフレッドは気になって聞いたのだろう。

 「え? あ、傷どうなってるかなって診てただけ」

 「そうか。あ、昼からは聴取になったからダグと一緒に来いよ」

 ティモシーは頷く。

 ランフレッドは、伝えると「じゃ後で」と部屋を出て行った。

 ティモシーは、何もやましい事などはずだが安堵する。

 「俺、何、ビクビクしてるんだ? ……聴取か。俺、ここに来てから何回目だ?」

 小さくため息をつくと身支度をし、迎えに来たダグと一緒に調合室に向かった。

 午前中は、昨日と同じく簡単な調合をこなし、昼食後ティモシーとダグは聴取の為、五階の応接室に向かった。



 グスターファスとルーファスが並んで座り、後ろにランフレッドが立ち、前には四人座っている。右から順に、ブラッドリー、ティモシー、ダグそしてザイダだ。

 今回、ブラッドリーも聴取される側なので、一緒に座っているのである。

 「さて今度は、昨日の事をお伺いしたい」

 四人を見渡しグスターファスが言った。

 (今度は? もしかして午前中も聴取していたとか?)

 予想通りミゲルとギルシュそしてザイダを呼び、道具アイテム倉庫の件を聞いていたのである。

 「ザイダ、あなたは、何故あのような事を起こしたのかお聞きしたい」

 「………」

 グスターファスがそう問うも、ザイダは口を開かない。そこで、彼はティモシーを見て問う。

 「ティモシー、あなたは彼女から話を聞いたというがどうかね? どんな話を聞いたか教えてほしいのだが」

 「……それは」

 ティモシーは、ためらう。出来れば、ザイダに話して欲しかった。そのほうが、彼女の思いがまだ、グスターファス達に届くのではないかと考えた。

 「ザイダさんから直接聞いて下さい」

 ティモシーの言葉に全員驚く。素直に話すと思っていたからだ。ザイダも驚いていた。

 「そうね。ここに、トンマーゾさんを連れて来て、彼からも証言を取るというのならいいわ」

 ザイダは、取引めいた事を言い出した。トンマーゾは魔術師だ。レオナールがいない今、ここに連れて来るのは危険なのではないか。皆、同じ考えである。

 「それはできない」

 「何故ですか?」

 グスターファスは言葉に詰まる。トンマーゾが魔術師だからとは言えないからである。彼女が、ブラッドリーの事を魔術師だと聞かされていたとしても今はまだ誤魔化せる。だが、トンマーゾが魔術師だと明かせば、ブラッドリーが魔術師だというの事は否定出来なくなる。

 それに、トンマーゾ達が、魔術師だと知ってしまえば被害が及ぶかもしれない。

 「オレ……私も、トンマーゾさんから話を聞きたいです」

 ティモシーの言葉に、また周りが驚く。

 何かおかしい。ランフレッドは、ティモシーの様子をそう捕らえる。ダグも一緒だ。

 ティモシーは、トンマーゾに聞きたかった。ザイダが魔術師ではなかったから利用したのか。それとも、ちょうどよく現れたからなのか……。

 「この人が魔術師だという事は確実よ! あの時否定しなかった! ティモシーも知っているわ! って言うか、皆知っているのよね? 脅されているの?」

 ザイダの言葉に困ったと、グスターファスとルーファスは顔を見合わせる。適当な事を言ってももう誤魔化せない。

 「あの、一ついいでしょうか?」

 ダグは控え目に、声を上げる。

 「なんだ?」

 「ザイダさんって、もしかしてティモシーに復讐しようとしたのではなく、ブラッドリーさんに復讐しようとしたのですか?」

 「そうよ!」

 ダグの質問にグスターファスではなく、ザイダが答えた。

 彼は、エイブからティモシーを助け出したのは、ブラッドリーだとは聞いていた。だが、エイブがどうなったかは聞いてはいない。しかし、彼女が復讐をしようと思う程の事が、エイブの身に起きていたという考えに至る。助けだしたぐらいでは、ここまで恨みは積もらないだろう。

 「あれ? 全部知っているんじゃ……」

 ランフレッドは、ダグも事の成り行きを知っていると思い込んでいた。だが、聞いたのは道具アイテム倉庫に閉じ込められた事までだった。

 「じゃ、あの噂の半分はあっていた?」

 ダグは、ボソッと呟いた。

 ランフレッドにではなく、ブラッドリーに半殺しの目に合っていた。そう気が付く。

 「そうだよ。……予定通りだったの? エイブさんが私をターゲットにする事も……あの倉庫にあてがわれるのも! ザイダさんが何かアクションを起こす事も!」

 立ち上がり、隣にるブラッドリーにティモシーは言った! それにはブラッドリーも面食らう。

 「な、何を。たまたまそうなっただけだ」

 「たまたま? 自分が抜ければ誰かがあてがわれる。それをわかっていてよく言うよ!」

 シーンと静まり返る。ティモシーの言いたい事が皆わかったからである。

 ジッとブラッドリーは、ティモシーを見据えた。一体誰が彼に口添えをしたのか。ブラッドリーに怯える様子は伺える事もあったが、今までそう思っている素振りはなかった。

 ブラッドリーだけではない。ザイダを除く全員がそう思った。

 「お前、何があった? 誰に言われたんだ? それ……」

 ダグはそう言いながら立ち上がる。

 「誰にも別に言われてない」

 自分が利用されたとしたら、そういう事だろうと思ったのだ。

 「そうみたいね。エイブさんを嵌める為にティモシーを利用したのね!」

 ザイダはそう言い放った。どうしてエイブを嵌めなくてはいけなかったか。などという事は、彼女には関係なかった。

 「二人共落ち着きなさい」

 グスターファスは、二人をなだめるように言う。

 「陛下は、平等ではないのですね。今お聞きしましたよね? トンマーゾさんをもブラッドリーが嵌めた! その可能性があるのに、彼の話は聞かないのですか!」

 「わかった。彼にも話を聞こう」

 「え! 父上!」

 ため息をしつつ、ルーファスに耳打ちをする。

 「真相をしる為には必要だ。それに、ダグもいる」

 「それはそうですが……」

 不安は残るが、トンマーゾは、マジックアイテムで魔術を封じている。滅多な事は起こらないだろう。それがグスターファスの考えだ。

 「悪いが、ダグとランフレッドは、ブラッドリーと一緒にトンマーゾをここに連れて来てほしい」

 グスターファスの命令に、三人は頷き部屋を出て行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ