表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師なのはヒミツで薬師になりました  作者: すみ 小桜
第八章 惑わす声

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/88

第四十話

5/2、4、6日は更新をお休みします。次の更新は、8日なります。

 暫くするとランフレッド達は、トンマーゾを連れて戻って来た。彼は、ブラッドリーとダグの間に座らされる。ティモシーは、ダグとザイダの間に移った。

 「さて、約束通り呼んだ。話してくれるな。ザイダ」

 ザイダは、グスターファスの問いに頷いて答えた。

 「私は、ティモシーに追われて、隠し扉の向こう側に身を隠したわ。扉の存在は前に発見していたの。使ったのは初めてだったけど」

 やっぱり存在を知っていたとティモシーは一人頷く。

 「その時、下に続いていたので下りたのよ。一階に続いていると思ったら地下牢に続いていたわ。壁にのぞき穴があって覗いたらトンマーゾさんが居て、隣にエイブさんもいるみたいだって言うから覗いたの……」

 ザイダは辛そうな顔をする。

 「ベットに寝かされ、大怪我をしたエイブさんが居たわ。驚いた私に、トンマーゾさんは、そうしたのはブラッドリーだって教えてくれたのよ!」

 ザイダは、最後の方をブラッドリーを睨んで叫ぶように言った。

 「トンマーゾよ。あなたは、経緯を知らないのに彼女にそのような事を言って惑わせたのか?」

 「惑わせるねぇ。確かにエイブがどういう状況かは見ていない。だが、彼女に状況を聞いた。後は簡単だろう? あの魔術師の王子の仕業ではないのであれば、彼しかいまい。それとも外れていたか?」

 トンマーゾも最後は、ブラッドリーに問いかけるように言った。彼は、ザイダにエイブの状況を聞いて、そんな怪我を負わせられるのは魔術師しかいないと思った。そう言ったのである。

 「で、今日はあの王子が仕切っているんじゃないんだな? 王子も暇ではないか」

 「王子……?」

 誰の事だとザイダは呟く。

 「なるほど。推測を聞かせた訳だな」

 グスターファスがそういうと、トンマーゾは首を横に振る。

 「推測ではなく結論ですよ。陛下。まあ、それが合っているかは、ティモシーに聞けばわかるでしょう。なあ、ティモシー」

 ティモシーは、トンマーゾの問いに俯く。あの場面を思い出す。よく考えれば残酷だ。一歩間違えば死んでいただろう。

 「もしかして、殺すつもりだった?」

 つい、ボソッとティモシーはブラッドリーに聞いた。

 彼は、少し間を置いてから、口を開く。

 「そういう訳ではない。私は攻撃が苦手で結界が得意。だからあの方法を取った。彼の攻撃の威力が思ったより凄かっただけだ。殺すつもりなどなかった」

 ブラッドリーの答えにランフレッドは驚いた。エイブに攻撃したのではなく、攻撃を反射したという答えだったからだ。何が起こったかは、レオナールには話してあるかもしれないが、実は語られていなかった。ここで真実を知っているのは、ティモシーとブラッドリーの二人だけである。

 「でも、封印っていう……」

 「残念ながら無理だな。彼に勝っているのは、結界だけだっただろう」

 ティモシーの言葉に重なるように、ブラッドリーは答えた。ティモシーは信じられなかった。そうは見えなかったからである。堂々としていたし、エイブもそう思っていただろう。

 「ブラッドリーさんは、とんだ策士だねぇ」

 トンマーゾは、大袈裟なリアクションでニヤリと笑いながら言った。

 「ねえ、いったいエイブさんが何をしたというの? 今の話からすると、攻撃を仕掛けてくるように仕向けたって事よね?」

 そう……攻撃をするように仕向けた。そして、逃げられないようにして攻撃をした……。確実にダメージを与える為に。本当にあそこまで必要だったのだろうか? ティモシーは、売り飛ばそうとした相手だが、何故かそんなに悪い人ではないと思っていた。いや、この数日間でそう刷り込まれていたのかもしれない。

 「彼が何をしたのかは、あなたには話せない。これは君を守る為でもある」

 ザイダは、グスターファスの言葉に彼を睨みつけ俯いた。

 「だったらもう何も話さないわ!」

 「じゃ俺もそうするかな」

 ザイダの言葉に合わせるようにトンマーゾは言う。彼は最初から話す気などないだろう。

 「そうか。ならば仕方がない、今日はここまでとしよう」

 グスターファスは、ティモシーも話さないだろうと思い、今日は終了する事にした。何とも後味が悪い終わり方になったと、彼は心の中でため息をついた。



 部屋に戻って来たティモシーは、ボフンとベットに横になる。

 「なあ、お前、誰かに何か言われたか?」

 ランフレッドの言葉に、ティモシーはチラッと彼を見て、そして背を向ける。

 「俺に誰が何を言うっていうんだ」

 ティモシーの返事に、ランフレッドは何も返せない。彼に何かをいう者などいない。では一体ティモシーに何があったのか。ずっとこの頃すれ違いでまともに話していない。ティモシーに何が起きたかランフレッドは気づけなかった。

 そして、夜も更けて行った――。



     ☆~~~~~☆~~~~~☆~~~~~☆



 「おう。エイブ」

 光が彼に話しかけた。

 「おや? トンマーゾさん? やってみる気になったんだ。どう? 楽しい?」

 「お前はホント、呑気だな」

 これまた光のトンマーゾがそう返す。

 「俺はこれから助けを呼びに行ってくる」

 「え? ここから逃げ出すの?」

 「あぁ。今、あの魔術師の王子はここにいないみたいだからな。チャンスだ」

 エイブは、ため息をつく。

 「じゃ、俺の命もここまでか……」

 「お前も連れて行くって」

 「またまた、こんなお荷物殺して行くに決まってるでしょう?」

 何故か間が空く。

 「何とかしてやるって、ザイダを使えば……」

 「彼女を? 協力者に仕立てる気? 難しいと思うけどなぁ。そうなれば、可能性はあるけど……」

 トンマーゾの策にエイブは、うーんと唸る。

 「お前のその能力、捨てるにはおしい」

 「トンマーゾさんも出来てるみたいだけど?」

 「なんとかな。死ぬ気でやってる」

 その返事に、エイブはクスッと笑う。

 「まあ、頑張って。期待しないでいるよ」

 エイブは見えないがひらひらと手を振ると、トンマーゾは、スッとどこかへ飛んで行った。



     ☆~~~~~☆~~~~~☆~~~~~☆



 翌日、ティモシーが目を覚ますと、ランフレッドはぐっすりと眠っていた。昨日はあれから色々と打ち合わせなどがあり、ティモシーを部屋に送った後戻っていた。帰って来たのは遅いのだろう。ティモシーは、いつも通り先に寝ていた。

 (起こさなくてもいいのか?)

 今日の仕事の時間を聞いていないティモシーは、そう思うもほっておく事にする。遅刻しても王宮内だ。そこまで問題ないという結論になった。

 ダグが迎えに来る前に部屋を出た。そして、逆に迎えに行く。

 「おはようございます」

 「おはよう。どうした?」

 いきなり向かに来たので何かあったのかと思ったのである。

 「うん? 別に。早く用意できたから……」

 「そうか。じゃ行くか」

 ティモシーが頷くと、二人は調合室に向かった。



 午前中は数種類の調合をし、今日は午後も調合だった。

 「何かまったりだね」

 アリックがボソッと言った。

 「……うん」

 「だな」

 二人が返事を返す。ベネットは休みだ。午前と午後の指示は、オーギュストが口頭で伝えるのみで、後は三人でまったりとやっていた。

 そこに、ドアがノックされる。

 「はい」

 アリックが返事をし三人が振り向くと、オーギュストが顔を覗かせる。

 「ティモシーにお客さんだ」

 「え?」

 ティモシーは、目をぱちくりとする。

 (誰だろう?)

 誰も思い当たらないが、正面入り口に向かう。そこには思いがけない人物がいた。両親だ。

 一か月半ぐらい会っていなかっただけだが、色々あったせいか、すごっく久しぶりに感じた。

 「元気にしていた?」

 ティモシーの母親がそう声を掛ける。

 彼女は、ティモシーと同じく銀の髪を一本に縛り、ティモシーに似て……いや逆か。整った顔で美人である。どう見ても二人は親子である。

 「遅くなったがおめでとう。本当に薬師になってしまうなんてな」

 残念そうにオズマンドは言う。

 「ご無沙汰してます!」

 三人に後ろから声を掛けて来た。ランフレッドだ。彼にも連絡がいっていた。

 「いやぁ。すまないね」

 「いえ。ちゃんとお勤めしてますよ」

 オズマンドにランフレッドはそう返す。

 「初めましてかしら? 母親のミュアンです」

 ミュアンが頭を下げると、ランフレッドも頭を下げた。

 「今日、二人共夜、ご飯一緒にどうだ? 時間取れそうか?」

 オズマンドの誘いに、ランフレッドは二つ返事で返す。

 「では、お二人の宿の方にお迎えに行きます」

 ランフレッドがそう言うと、二人は頷き、また後でと去って行った。

 「ティモシー……。その、色々あった事ないしょな」

 すまなそうに言うランフレッドに、ティモシーは頷いた。



 仕事を終えたティモシーとランフレッドは、ティモシーの両親と合流し食事処でディナーを食べていた。

 ランフレッドが選んだにしては、小洒落た落ち着きのあるところだった。食べに行くと決まってから予約を入れていた。

 「素敵なところね」

 「ここ、酒も料理も美味しいですよ」

 ランフレッドはそう言って、酒も勧める。

 ティモシーは、どんな仕事か二人に話す。勿論、襲われた件は内緒にして。

 「ティモシー、大丈夫そうだったら、このまま王宮で働いてもかまわないからね」

 ミュアンは、そう言った。それは魔術師だとばれなさそうならばと言う意味だろう。ティモシーは、神妙な顔つきで頷く。もう色々な目に合い、一人の人にバレているとは言えない。

 二人を宿に送り、ティモシーは名残惜しそうにランフレッドと王宮に向かう。

 「大丈夫か?」

 元気がなさそうなティモシーにランフレッドは声を掛ける。

 「うん……」

 そう答えながらもため息が漏れた。会えたのは嬉しいが、本当の事が言えず後ろめたい。ティモシーは、そう思いながら歩いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ