29【魔法工学】魔法陣の刻印
拙作にお立ち寄りいただきまして、ありがとうございますm(_ _)m
……はい。こんにちは。お久しぶりです。
1学期は簡単な組立と封入の練習をしましたが、2学期では魔法陣の刻印……このルーペのような物が付いた器具で魔法紙に描いた魔法陣を刻みます。これは、魔法効果が消えると使用できなくなる封入のみの魔法具とは違い、魔素または魔力の補充や魔力石・魔力晶の取り換えで長く使える魔法具になります。貴方達の使っている杖に魔法式が、劣化抑制の薬瓶などには魔法図が描かれているのは馴染み深いでしょう。
この技法もまた、タクミ様によって確立された技法です。それ以前は 魔法を封入するだけで、使用する度に再度の封入が必要となったり、使い捨てになっていた魔法具ですが、この技法により再利用することが可能となりました。資源と労力を大幅に節約することとなったこの技法は、“モッタイナイ精神”という理念に基づいたものだと伝えられています。
では、本日はこの台座に魔力の出力を安定させる補助魔法陣を刻印してみましょう。この台座は、ペンダントやブローチその他へと加工できます。既に魔法補助をする装飾品持っている方には必要無いでしょうが、そうでない方はこれからの魔法を使う授業が格段に楽になるでしょう。
魔法陣が出来たら黒板の前に来て刻印作業をしてください。その台座に合う魔力石と魔力晶も用意してあります。そう質の高い物ではありませんが、色や石の種類は様々ですので 早い者勝ちです。……頑張ってください。
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そう言って先生は色とりどりの魔力石と魔力晶の入れられた箱を、工具で一杯の教卓の僅かな空白地帯に置いた。それを見た皆は一斉に作業をし始める。……あ、ウォルセンは話を聞きながら魔法陣を描いてたんだ! もう刻印の作業に向かおうとしている。
(こういうのを要領が良いって言うんだろうな)
私も急いで魔法陣を描きつつ……大きさは刻印をする時のイメージ力と魔力操作の腕次第らしいので 台座に合わせなくても良いみたいだけど、なるべく小さく描きつつウォルセンを横目で見やる。彼は色々な事をそつなくこなしてしまう。ちょっぴり悔しい。
こちらからのじっとりした視線へ いつものような笑顔を にこり と返して、ウォルセンは教卓の方へと向かった。なんとなく、ティタリアと目を合わせて頷き合う。
(むむ……私たちも頑張らなきゃ! って、ティタリアも早い!)
私はきっとこの魔法具にお世話になるから、少しでも良い魔力晶が欲しい。出来れば綺麗な色の。そんな下心を原動力に、カリカリと魔法陣を描くことに集中していたら……。
「はい、アーシャ」
コト……
「ん?」
目の前に置かれる 少しだけ銀の粒子が混じった淡い青色の魔力晶。ちょっとだけ鏡で見る私の瞳の青灰色に似ているかもしれない。
「あ、ずりぃ……!」
近くの席で小さく声を上げた庶民出身な騎士様の息子にウォルセンが振り向けば、急いで彼は口を噤んだ。流石、皇子様のご威光である。でも良いのだろうか?
「早い者勝ちだけど、一人で2個使う訳じゃないなら構わないってさ。なるべく良いのを選んできたよ」
なんと、先生にも確認済みだったらしい。それもそうか。というか、最近 表情を読まれている気がする。
そして、このやり取りで一部の子(特に男の子)たちの目の色が変わり、真剣味が増した。特定の方向にチラチラと視線を送る女の子もいる。
「でもさ、アーシャ。早くしないと授業が終わっちゃうよ?」
「あ!」
そして。私は要領が良くて魔法チートな殿下監修のもと 魔法陣を描き上げ、簡素な顕微鏡を思わせるステージに鏡筒や拡大レンズの代わりに魔法式を刻んだ金環に嵌め込まれた手のひらサイズのルーペを取り付けられた器具を使って なんとか授業中に魔法陣を台座へ刻むことができた。
(んふふ。いつもはスルーしてる購買部の装飾品コーナーでネックレス用のチェーンを探してみようかな。ウォルセンにも何かお礼になるものを考えた方が良いかなぁ)
なんだかんだと言って、いつもお世話になっている気がする。何かよいものはないだろうかと、出来立ての薄青く煌めくペンダントトップ(予定)を眺めながら考えた。
気になる女の子に良いとこ見せたい少年たちと、気になる男の子に特別扱いされてみたい少女たちの図(* ̄艸 ̄)
中には女の子から……という女傑もいるかもしれない?
[設定……というより裏事情]
《刻印の器具》
今話を予約に送り出した後に付け加えたもの。基礎魔法学でまだ下から2番目の9級を練習しているのに、魔法陣を金属に刻み込む魔法とか高度過ぎるかな? と、難易度の乖離が気になったもので。……その点で言うと基礎薬学も怪しいですが、予め効果の完成された魔法陣を基本的な魔力操作で作動させるだけという意識でした。説明&力不足で申し訳ありませんm(_ _)m
ちなみに。基礎魔法学は魔法陣の書き方から教えているので、進み方が緩やかです。




