28【学級活動】豊饒祭の話し合い
拙作にお立ち寄りいただきまして、ありがとうございます(=´ ω`=)
豊饒祭というものがある。読んで字の通り、国を挙げて その年の豊饒を祝う祭だ。そんな祭と同時期に、我が校でも【豊饒祭】と銘打つ お祭り騒ぎがある。
この学校の豊饒祭は4日にかけて行われるそうだ。
1日目は初等科の運ど……競技会
2日目は高等科の競技会
3日目は初等科のクラス別出し物(午前が演奏や演劇・午後が模擬店など)
4日目は高等科のクラス別出し物(初等科に同じ)
簡単に言っちゃうと、年少と年長の生徒総出 どころか、研究院で働く大人たちの一部も手伝いに駆り出して 運動会と文化祭を一緒に開催してしまうような大規模な催しものである。
民間に古くから伝わる もともとの豊饒祭は、人々から集められた農作物を神々に豊作の感謝と共に供物として捧げ、祭壇の前で武闘や舞踊などを競うように披露して神々を楽しませ、最後に神々が召し上がった供物の残り物を集まった人々に振る舞ったというものだったらしい。それが、つい先ほど授業に出てきた どっかの皇王によって どんどん豪華なお祭りになり、現在では学校の一大イベントにもなった。神々への感謝はどこに行ったのだろう?
まあ、そんな起源だから競技会からの出し物へという流れになったのだというのは良いとして。私たちのクラスは妖精の扮装……と言っても葉っぱや花を付けた服を着て羽根を着けるくらいなんだけど、妖精姿で花や草木の葉、木の実なんかをモチーフにしたお菓子を販売する【妖精たちの箱庭】というお店をやる予定。
一度 喫茶店で纏まりかけたんだけど、1組がメイド&執事喫茶をやるという情報により、出し物が被らないように方向修正された。
(真のご令嬢・ご令息たちによるメイド&執事喫茶……なにそれこわい)
高位貴族の多い1組の子たちに接客されるのは、お客さんの方が命懸けな気がする恐るべき喫茶店だが、本人達が乗り気なら なんとかなるのかもしれない。うんうん。気にしちゃ負けな気がする。
なお。この【妖精たちの箱庭】は、クラスの出し物を巡る壮絶な論争の合間に ポツリ と溢された「コルフルイの妖精か……見てみたいな」という某殿下の 何故か クラス中によく響いた呟きが決め手であった。そんな妖精いたっけ?
「じゃあ、次は模擬店内の飾り付けはどうする?」
「はいっ! 花や蔦を飾った石柱を並べて、ストーンサークルなどいかがでしょう」
「まあ、その辺が無難かな。もう少しなにか無いかな?」
首を傾げていた間に話題が移り、飾り付けの話になっていた。面倒見の良さからクラスのまとめ役のような立ち位置にされてしまった侯爵家の6男(まだ下にも妹弟がいるらしい)の問いに、催しものにも乗り気でいる快活な男爵令嬢が提案していた。
「窓際にビスケットとミルクを置いたり?」
「そうそう、そんなような! 他には?」
前の世界にも、北欧の方にそんな伝承があったような気がする。こっちでもそんなことするのかと不思議な気分だ。
「人が乗れそうな大きなお花や水草を作って、どなたかに座っていただいたらどうかしら」
「おお、素敵ですね! 妖精らしさが出そうだ」
他の子たちからも、ちらほらと意見が出てくる。こちらは おやゆび姫? でも、妖精なお話では よくそんな描写が出てくるから妥当か。是非とも でっかいお花にティタリアかウォルセンを乗せたい。
(アレを置いたら、幻想的 だし可愛いかも)
ちょっとだけ思い浮かんだアイディアがあったけれど、話に入るタイミングを見出だせずにソワソワしていたら。
「アーシャも何か意見があるの?」
隣から上がった声に、皆の視線が一斉にこちらを向いた。私の心を見抜くとは、ウォルセンはエスパーか?!……ではなくて。
「ま……魔法薬」
『魔法薬??』
おぉう……一気に注目を浴びて緊張したせいか、圧倒的に言葉が足りていない。皆が不思議そうな顔をしている。流石にウォルセンでもこれで察することはできなかったようだ。
「アーシャ、落ち着いてくださいな」
「魔法薬を どうしたらいいのかな?」
隣にいたティタリアがそっと背中に手を添えてくれ、ウォルセンもゆっくりと促してくれたので、少し落ち着いた。
(あ、実物を見せたら早かったんだ。テンパってて忘れてた)
収納の腕輪に入りきらないものを入れている小さな手提げバッグから、前に故郷へ送った可愛い 元キャンディの小瓶(新しく買ったもの)と、新たに発見した(差し入れにいただいた)蔦模様も美しい 元一口クッキーの小瓶に魔法軟膏や魔法丸薬を入れたものを取り出して皆に見えるように差し出した。
「可愛い小瓶に入れると、幻…じゃなくて、幻想的!」
『おぉ』
ちょっとだけ皆がどよめく。
「素敵ですわね!」
「ええ、とっても可愛い……」
「なるほど、妖精の薬瓶……丸薬は妖精のお菓子にも見えるかもしれないな」
反応は上々なようだ。それに ちょっと勇気づけられて、気をつける点を述べる。
「間違えて食べたら大変、専用の棚があるといい」
「そうだね。棚の上の方とか、上から吊るしたり 石柱の上なんかの“羽根”でもないと取れない場所に置いたらいいんじゃない?」
すかさず ウォルセンが補足してくれたので、ガラス瓶入り魔法薬草は採用となった。瓶の手配は禁断症状から脱したらしい 富豪な商人の長男(あ、また記憶が……)が、お父様の伝を頼って色やデザインの違うものを幾つか揃えてくれることになった。もちろん、私は魔法薬を作る係である。
ちなみに、いつもの魔法軟膏と保健師のクリスティン先生特製レシピのちょっとだけ魔力も回復する風邪薬なので、口に入れても大事にはならないと思うけど。
可愛い小瓶とかを見かけると、何故か ときめく作者ですw 部屋とかにディスプレイする才能が無いのは残念。
[予定は未定……な設定]
《1年生の出し物(仮)》
1組→メイド&執事喫茶(お客が命懸け)
2組→歌劇(フェインがゴテゴテにされる模様)
3組→合唱(無難に 無難に)
4組→研究発表(小学生の自由研究的な)
5組→お菓子販売【妖精たちの箱庭】
6組→作品展示(こっちなら主人公も活躍できた……?)




