閑話【ウォルセンのお家(皇城)】
拙作にお立ち寄りいただきまして、ありがとうございます(*´人`)
浅学ゆえに、尊敬語やら謙譲語やら丁寧語やらが ごっちゃ になってしまうので ロイヤルな会話はドキドキしながら書いています{{(´;ω;`)}}
夏休みに入り、遅めの時期に里帰りをするというアーシャや 父親が聖都内に邸を所有するティタリアと少しだけ遊びに行ったりもした。
けれど。数日前からティタリアは家族で避暑の旅行へと行ってしまい、昨日にはアーシャも里帰りをしてしまったので、僕は一人寂しく 皇城という名のお家(アーシャ談)へと帰ってきた。
「ただいま」
「おかえりなさいませ、ウォルセン殿下。陛下より、帰り次第 謁見室へ参じるように と言付かっております。移動でお疲れかと存じますが、お召し替えの後に 謁見室へご挨拶に参りましょう」
皇城の皇族用の出入り口まで出迎えに来て、僕の上着を受け取りながら 父上からの伝言を伝えて来る侍従の言葉に、ちょっとだけ懐かしい堅苦しさを感じながら、彼と共に自室へと向かう。
「ふーん。父上から呼び出しなんて、どうしたんだろうね?」
「わたくし如きが陛下のお心を推察し、語る非礼を許されますれば、殿下のご帰還の時期が遅れたことで ご心配なさったのではないかと」
「そうかな~?」
幼少の頃から僕に付いてくれている彼は、よく こんな風に父上が僕を心配しているとか、父上からと言ってお菓子や本などを届けてくれるけれど、滅多に顔も合わせない父上が そんなに僕を気にかけてくれるものかな? と 少しだけ疑っている。
「愚考いたしますに、そう遠い理由ではございませんかと」
「う~ん。まあ、行ってみればわかるよね」
どちらにしても、僕に心を配って ささやかな贈り物をしてくれる“誰か”が存在していることは確かだものね。差し出された服に手早く着替え、父上の待つ謁見室へと向かう。
~*~*~*~
「久しいな」
「は。ただいま帰参いたしました。陛下におかれましては ご壮健にあらせられるご様子、なによりにございます」
謁見室には一部の臣下や書記官もいるので、僕は恭しく父上へとご挨拶 申し上げる。そう言えば、父上はアーシャよりも表情の判りにくい人だったね。いつも厳めしい しかめっ面だ。
「なにやら楽しげであるな。学び舎で 何ぞ良いことでもあったか?」
どうやら、アーシャを思い出して表情が緩んでいたらしい。彼女は何かと面白い子だから。
「はい。幸いにも学友に恵まれ、楽しい日々を送っておりました」
「そうか。健勝ならば構わぬ。下がって 母にも挨拶をしてやるがよい」
「は。御厚情に感謝し、御前 失礼致します」
これで数ヵ月ぶりの親子の会話は終わり。うん、心配してないこともなかったのかな? 僕は今一度 父上へと頭を下げて立ち上がり、謁見室から退出した。
~*~*~*~
「母上、ただいま戻りました」
「おかえり、ウォルセン。また、間違えているよ」
艶やかな銀の髪を結い上げ、やや赤みの強い紫の瞳を持つ、質素なドレスの女性が 侍女の押す車椅子に乗って出迎えてくれる。もちろん、僕の母上だよ。
「……ただいま、母さん」
「はははっ! そんなに心配しなくても、こんなところまで わざわざやって来て、いちいち言葉遣いを非難する者なんて居やしないさ。それとも、一丁前に恥ずかしがっているのかい?」
「そんなわけじゃないけれど……」
「なら、構わないじゃないか。さ、中へお入り。久々に会ったんだから、学校での事を聞かせておくれ。……可愛い女の子が居たよ~とかねっ♪」
「……はぁ」
そして、母上はこんな人だったね。言葉を交わすと、どうにも調子が狂う人。ほっそりした儚い見かけを大きく裏切るサバサバした性格。 これでも そこそこ高位の元冒険者らしいよ。
こんな人がなぜ皇王陛下である父上と……と 思わなくもないけれど、馴れ初めは視察に出た父上が大型の魔物に襲われた時のこと。護衛の火力が足りずに膠着状態となったその場に、偶然 通りかかった母上が たった一撃の魔術で魔物を屠ってしまい、そんな美しくも勇猛果敢な姿を見ていた父上が母上を気に入ってしまったそうだ。人生って何があるかわからないものだよね。
「さあさあ、早くおいで。陛下からいただいた ウォルセンの好きなお菓子もあるんだよ♪ あの人も一緒に食べられたら良いのにね」
「そんなに気軽に陛下が来ちゃったら大変だよ、母さん……」
そんな僕の呟きは、母上に届く前に風に拐われてしまったみたいだ。僕は諦めて、好奇心に彩られた笑顔で元気に手招きする 無邪気な大人のもとへと向かった。
今、明らかになる 殿下が主人公の表情を読める理由→それ以上がいるから。
月灯ワールドに、庶民の出身ゆえに 陛下の本妻(高位貴族家からの嫁)から いじめ抜かれて、儚げな風情で泣き暮らす 薄幸の妾妃なんて居なかったんだ。いいね? ……他に薄幸な人はいるけど(ポソリ)
このお母様の若かりし頃の冒険譚を聞いて育ったため、殿下は外の世界に憧れを持ちました。
そして、余計な嫉妬を向けないように という遠回しな愛が、可愛い末息子へとイマイチ伝わっていない憐れな父親がここにいます(´;д;`)
[シリアス緩和のためのざっくりな説明]
《車椅子の理由》
皇王の側室に召し上げられた庶民がどうしても気に食わない上位貴族は確かに居ます。ましてやその庶民は寵篤く御子まで授かってしまい、自らに縁ある皇子を脅かしては大変だ~! と、あの手この手で命を狙い、ある時 ついに彼女へと届く刃が。その時の怪我……は ほとんど治っていて、少し引き摺る程度で歩行は可能ですが、表舞台からトンズr……敵を油断させるために車椅子に乗って(殿下にも事実は内緒)皇城の辺鄙な場所にて長閑に暮らしています。時折、こっそりと陛下が来たりもします。




