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第28話 完璧な町の完璧な団結力

最後まで読んでくださると嬉しいです!

「町の人たちを全員、広場に集めてほしいんだ」


翌朝、リカルドさんのその一言で、エストの中心街に緊急の鐘が鳴り響いた。

何事かとざわざわしながら集まってきた民達の前に、リカルドさん、僕、トビー、そして相変わらず漆黒の不審者スタイルを崩さないダークネスとダーカーの5人が並び立つ。


「みんな、急に集まってもらってすまない! 実は、王都が近いうちに大戦争を企んでいる。そして、このエストも戦火に巻き込まれる可能性が非常に高い」


リカルドさんの言葉に、広場は一瞬にして静まり返り、次の瞬間には大きな動揺と恐怖のざわめきが広がった。かつて多くの若者を奪ったあの悪夢が、またやってくる。誰もが絶望に顔を曇らせたその時、リカルドさんは力強く声を張り上げた。


「だが、怯える必要はない! 僕たちの足元には、大昔に勇者が遺してくれた、この町そのものが最強の盾となる秘密の施設(シェルター)が眠っている。地下回廊、頑丈な城壁、そして川と繋がる堀だ! これらを全員の力で整備し、この町を『絶対に誰も侵入できない要塞』に作り変えるんだ!」

リカルドさんの熱い演説に続いて、僕は町長さんから借りた設計図を広げ、具体的な計画を説明した。


「皆さん、力を貸してください。まずは街の地下にある広大な回廊のゴミを片付け、物資の隠し倉庫や、有事の際の避難所として使えるように整備します。そして、城門の制御レバーを直して、あの大きな川から堀へと水を引く水路を清掃するんです」

「それだけじゃない」

僕はさらに、ルノア村やミルン村へと続く、あのボロボロだった街道の地図を指差した。


ちょうど、こちらの町に招いていた、当該の2つの村の村長もこちらを見て頷ている。

「同時に、村へと続くすべての悪路の整備も提案します。道を綺麗に整えれば、有事の際の物資の移動や避難が格段に早くなります。それだけじゃなく、平和な時だって、行商の行き来が楽になって、この町の経済がもっと豊かになるはずです! 何もないと言われたこの町だけど、海も、山も、要塞も、みんなで繋げば完璧な町になります!」

スキルも加護もない、かつてはただ逃げ回るだけだった僕の、必死の訴え。

広場の人々は、僕の言葉をじっと聞き入っていた。やがて、前回の行商の時に出会ったミルン村のおじさん、もといいミルン村、村長が、クワを高く突き上げて叫んだ。


「……やってやろうじゃないか! 王都の奴らにただ使い捨てられるのはもう御免だ! この若頭(レン)の言う通り、自分たちの町は自分たちの手で守り、豊かにしてやるんだよ!」

「そうだ!」「エスト商会についていくぞ!」「勇者の遺産を舐めるな!」

一人、また一人と、町の人々の目に力強い光が灯り、広場は地鳴りのような歓声に包まれた。

「ククク……愚民どもが、ついに覚醒せし暗黒の軍勢となったか」とダークネスが満足げに包帯を押さえ、「では、地下の魔導回路の清掃から始めましょう。効率的な人員配置を構築します」とダーカーが冷静に指示を出す。


そこからのエストの団結力は凄まじかった。

大の大人が何十人も地下へと潜り、埃を払って物資を運び込む。川沿いの悪路では、若者たちが泥を取り除き、歩きやすいように石を敷き詰めていく。


誰もが「自分たちの居場所を守る」という一つの目的のために、汗を流して笑い合っていた。

何もない、切り捨てられた世界の果て。けれど今、ここには王都の役人たちには決して踏みにじることのできない、最高に強固な『人の絆』という名の防衛線が、完璧に築かれようとしていた。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

別の作品や次の話も是非見てみてください!

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