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第18話 どこまでも続く道と二人の足跡

最後まで読んでくださると嬉しいです!

太陽はゆっくりと空を巡り、僕たちの影を長く引き延ばしていく。


「リカルドさん、あと、どれくらいですか……?」

「んー、あの岬の向こうを回り込んで、さらにしばらく進んだところかな。まだまだこれからだよ!」

リカルドさんは額の汗を拭いながらも、相変わらず涼しい顔で荷車を引いている。さすがは元兵士だ。それに比べて、僕の足はとっくに棒のようになっていた。一歩踏み出すたびに、ふくらはぎが悲鳴を上げ、荷車の重みが肩にズシリと食い込んでくる。


(きつい……。でも、不思議と歩みを止めたくないんだ)


元の世界にいた頃の僕は、少しでも面倒なことや苦しいことがあると、すぐに言い訳を見つけて逃げ出していた。学校の体育の授業だって、通学路の坂道だって、大嫌いだった。自分の好きなことに、得意なことに逃げていた。嫌な言葉が聞こえないように、好きなボカロ曲を聴いて、嫌なものが見えてこないように、好きな本やアニメを見て。


だけど、今の僕は自分の力で地面を蹴り、自分の力で荷車を動かしている。でも、まだ買われていないのだろう…。


隣を見れば、同じように汗を流しながら、この町の未来を本気で変えようとしている仲間がいる。自分が商会の一員として、誰かの役に立っているという確かな実感が、僕の折れそうな心を支えていた。


「レン君、ちょっと休憩しようか」


街道の脇にある大きな木の下で、リカルドさんが荷車を止めた。

地面に座り込むと、張り詰めていた筋肉がじんわりと解けていく。リカルドさんから受け取った水筒の水を一口飲むと、乾ききった体に染み渡るように美味しかった。


「よくついてくるね、レン君。もっと弱音を吐くかと思ってたよ」

「……僕も、自分がここまで歩けるなんて思ってなかったです。でも、なんだか楽しいというか。ただ歩いているだけなのに、自分が少しずつ前に進めている気がして」

僕がそう言うと、リカルドさんは「それが旅のいいところさ」と優しく笑った。


「歩いた距離は裏切らないからね。僕たちが今日歩いたこの一歩一歩が、そのままエスト商会の、そしてこの町の新しい歴史になるんだ」

「いい言葉を教えてあげる、歩けば無料(タダ)。」


「ふっ……」

僕の口角が少し上がった。


遠くの海から吹いてくる夕方の風が、火照った僕たちの肌を心地よく冷ましていく。

空は徐々に、鮮やかなオレンジ色から深い紫色のグラデーションへと移り変わり始めていた。


「よし、もうひと踏ん張りだ。夜の海辺の村では、美味しい魚料理が待ってるはずだよ!」

「魚……! よし、頑張ります!」

再び荷車の取っ手を握りしめる。

(魚…元居た世界の町でも…有名だったな…しらすとか…さくらえびとか…)

深く豊かな漁場の駿河湾。


体はボロボロで、足元もおぼつかないけれど、僕たちの顔には自然と笑みが浮かんでいた。

すっかり日が落ちて、満天の星空が僕たちの頭上に広がる頃。

遠くにパチパチと揺れる、海辺の村の篝火(かがりび)が見えてきた。波の音がすぐ近くで優しく響いている。大財政難の、泥臭くて、けれどどこまでも真っ直ぐな僕たちの行商の旅は、こうして一歩ずつ、確実に目的地へと繋がっていった。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

別の作品や次の話も是非見てみてください!

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