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第16話 晴れ渡る空と、再会の集落

最後まで読んでくださると嬉しいです!

翌朝、目が覚めると、洞窟の入り口から眩しいほどの光が差し込んでいた。外に出ると、昨日の激しい豪雨が嘘のように雨はすっかり上がっており、濡れた木々が朝日に照らされてキラキラと輝いている。空は


どこまでも青く澄み渡っていた。


「よし、レン君! 絶好の行商日和だ。出発しようか!」

昨日の夜のどこか苦しそうな顔とは違って、リカルドは、晴れやかな顔でいった。

「はい、リカルドさん!」



僕たちは再び二輪の荷車の取っ手を掴み、ぬかるむ土を力強く踏みしめながら、目的の集落へと向けて朝から歩き始めた。空気は澄んでいて、荷車を引く足取りも昨日より不思議と軽く感じられる。


数時間ほど歩き続けると、のどかな田園風景の向こうに、ぽつぽつと木造の家々が集まる小さな集落が見えてきた。

「さあ着いたよ。ここは『ミルン村』。エスト町の東の端にある、農業が盛んな小さな集落さ」

リカルドさんが教えてくれたその名を聞いて、胸が小さく高鳴った。ようやく、この果てしなく広いエスト町の中にある、一つの場所の名前を知ることができた。


村に入ると、リカルドさんはさっそく荷車を広げ、慣れた手つきで声を上げ始めた。

「さあ、エスト商会だよ! 王都から仕入れた上質な塩に、農作業に便利な鉄製の道具、それから頑丈な布地もあるよ!」

僕も最初は緊張して声が出なかったけれど、リカルドさんの隣で「い、いらっしゃいませ……!」と一生懸命に声を振り絞った。


村の人たちは温かく僕たちを迎えてくれた。リカルドさんの持ってきた生活必需品は飛ぶように売れていき、代わりに村で採れたばかりの新鮮な乾燥野菜や、手編みのウールなどを、商会として安く買い取らせてもらう(ものを売り、ものを売ってもらう)。これが『行商』という循環なんだと、肌で実感して感動してしまう。


そんな中、買い取りの交渉を終えて一息ついていると、向こうからクワを担いだ初老の男性が歩いてくるのが見えた。


「おや……? お前さん、この前の旅の若者じゃないか!」

「あ……!」

僕は思わず声を上げた。


そこにいたのは、僕が一人でこの町を彷徨い、絶望していた時に出会った、あの農作業をしていたおじさんだった。見せた地図を指さして「王都からの厄介払いでまとめられた街だ」と笑って教えてくれた、あの優しい人だ。


「こんにちは! あの時は、色々教えてくれてありがとうございました」

僕が頭を下げると、おじさんは目を丸くした後、ハハハと嬉しそうに笑って僕の肩を叩いた。

「いやあ、あの時は今にも消えちまいそうな顔をして歩いていたから心配したんだが……。なんだ、エスト商会のリカルドのところで働き始めたのか! 見違えるほど良い顔になったじゃないか」


「はい。今は、ここの一応、『副会長』をやらせてもらっています」

少し照れくさかったけれど、そう答えると、おじさんは「そうか、そりゃあ頼もしいや!」と目を細めた。横ではリカルドさんが「うちの期待の新人ですよ」と自慢げに笑っている。


かつて、孤独に押しつぶされそうになりながらただ通り過ぎただけのあの集落、名前をミルン村、そんな通過点で、今の僕には名前を知り、言葉を交わし、再会を喜べる人がいる。

人と繋がることの温かさが、僕の心の中にじわりと広がっていくのを感じていた。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

別の作品や次の話も是非見てみてください!

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