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第13話 容赦なき空と、逃げ込んだ暗闇

最後まで読んでくださると嬉しいです!

「……ねえ、リカルドさん。さっきから、なんだか空気の匂いが変わりませんか?」


荷車の取っ手を握り締め、一歩一歩地面を踏みしめながら、僕は隣を歩くリカルドさんに声をかけた。

エストの中心街を出発してから、どれくらい歩いただろう。最初は晴れ間の見えていた空が、いつの間にかどんよりとした灰色の雲に覆い尽くされていた。肌をなでる風が、急に冷たく湿り気を帯びていく。


「あー……これは一雨くるね。それも、かなりの大雨だ」

リカルドさんは足を止め、顔をしかめて空を見上げた。その視線の先では、遠くの山々がすでに激しい雨のカーテンで白く霞んでいる。



「えっ、じゃあどうするんですか!? 荷車の商品が濡れたら……」

「大丈夫、まだ心配する必要はないよ、この先に僕がよく雨宿りに使う洞窟があるんだ。そこまで、少し早足で行こう」

「うん…!」


「僕は、難しい魔法は使えないけど簡単な魔法、例えば民間魔法なんかは、使えるんだよね。だから、ぼくの階級は、銀級、君より一つ上の階級だね。」

「ミンカンマホウ…?」僕は、聞いたことのない単語に少し戸惑る。

「あぁ民間魔法って言うのはね、言葉通り専門職の魔法使いではない民間人が編み出した魔法のことだよ…例えば、今から僕もその一例をやってみるから少し見てて」

「うん…?」


「めぐる風の尾、雲の行く先、光の糸をたぐりて、明日のころもを編み上げよ。あまねく空よ、その素顔をここへ――『ウェザー・リーディング』」」

人差し指をそっと立てて風にさらし、空に円を描くようにそう唱えた。いつもと少し変わった雰囲気だった。


「あ…あともう雨が降るみたいだね…よし…走るよ!!」

リカルドさんの叫び声とほぼ同時に、ポツ、ポツと大粒の雨が僕の頬を叩いた。


そこからの変化は劇的だった。一瞬のうちに空が激鳴りし、バケツをひっくり返したような豪雨が、容赦なく僕たちの体へと突き刺さる。

「重っ……! 前が、よく見えない……!」

雨水が目に入って視界が遮られ、ただでさえ重い荷車が、ぬかるみ始めた泥に足をとられて何倍にも重く感じられる。一度魔物に襲われたあの日の恐怖が頭をよぎり、心臓がバクバクと嫌な音を立てて波打った。


「レン君、足元に気をつけて! あと少し、あそこの岩肌の割れ目だ!」

リカルドさんの力強い声に導かれ、僕は必死に腕の力を振り絞って荷車を押し進めた。泥を跳ね上げ、視界が完全に白く染まる中、がむしゃらに足を動かす。

「滑り込めーっ!」

リカルドさんと息を合わせて荷車ごと突っ込んだ先は、ひんやりとした岩の空気に満ちた、薄暗い洞窟の内部だった。


「――はぁっ、はぁっ、はぁ……!」


激しい雨音が、岩壁に反響してゴーゴーと外で鳴り響いている。

僕たちは濡れ鼠のようになりながら、その場にへたり込んだ。流れ落ちる雨水と冷や汗で全身がぐっしょりと重い。それでも、間一髪のところで荷車の商品を濡らさずに済んだのだ。

暗い洞窟の奥を見つめながら、僕は激しく上下する呼吸を整えようと、必死に冷たい空気を吸い込んだ。


「そうだ…さっきの魔法は、君でも使えるはずだよ」

「え…でも僕…魔力が…」

そう、佐藤蓮の魔力は測定できないほど、つまりないに等しかったのだ。


「そりゃあね…魔力がないと高度・・な魔法は使えないけど…民間魔法みたいに簡単な魔法は、気合で使えるんだよ…大気中の魔力を自分に込めて、それをバッと放つ感じ…まぁ今度暇なとき、教えてあげるよ…教えてほしければ」

「…」

(魔法…それは、異世界にきただいたいのひと、100人中多分、まぁ99人が、やってみたいと思うもの    (当社調べ)…そりゃあ…ね…もう答えは決まっている。)


「是非!!」

「そうこなくっちゃ!」

僕は、少し前までリカルドさんとの距離を感じて、話すときも緊張をよくしてた、でも今はどうしてか安心して話せる。それはきっと、「安心感」が、「信頼」が生まれたからなのだろうか…

最後まで読んでくださりありがとうございました!

別の作品や次の話も是非見てみてください!

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