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With the Wind!  作者: 肉丸 もりお
葬炎の担い手
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カズくんとミユキちゃん

「はい、カズくん」


「わわわ……」

「ひぇぇ……」

「どうする気だ! どうする気だ!」


 日曜日も成果はなく、ときどき鉄塔を尋ねた平日も、その次の日曜も何事もなかった。そして更に次週の水曜日に迎えた昼休み。


 鴎はいつも通り、友人の倉沢剛史(くらさわつよし)大寺仁(おおでらひとし)と一緒にお昼ご飯を食べようとしたのだが、仁がたまには外で食べたいと駄々をこねたので、わざわざ校舎裏まで来た。


 すると


「そんな、もしかして!」

「うそぉ……」

「どうする気だ! その箸で掴んだタコさんウインナーをどうする気だ!」


 そこには既に上級生の男女がおり、気づかれる前に退散しようとした三人の前でいちゃつき始めたのだ。

 三人は慌てて壁に隠れると、まるで串刺しにされた団子のように頭を縦に並べた。


 そして今、目の前で女生徒の方がカズくんに箸を差し出し、


「はい、あーん」

「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」」」


 仁が小さく少女のような悲鳴を漏らす。


「あわわ…」


 剛は一番上で、仁の上に乗せている頭を突き出し


「カズ、やるのか? まさか、カズ!?」

「ちょっ、剛志重い!」


 一番下で二人の頭を乗せている鴎の不満にも気づかないほど、剛志はカズの一挙手一投足に興味津々だ。


「カズ、まさか、カズ? お前!?」


 カズくんは自分も「あーん」と言いながら、ウインナーを口にした。


「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」


「初めて見た……生あーん……」


 鴎が思わず呟くと、刺激が強すぎるのか、目を両手で覆った仁が、


「ねぇ? 今何してる? もうチュウしてる? チュウしてる? ねぇ?」

「すごいよ。もうチュウどころか、二人で納豆混ぜてるよ」

「ねぇ、口で? 口で?」

「カズ、さっさと食え! カズ、待ってるぞ! ミユキが待ってるぞ!」


 見ていないのをいいことに嘘をつく鴎、二人のキス模様に異様に食いつく仁、一人で腕を振り回しながら盛り上がる剛史。三人は押し合いへし合いしながら上級生カップルの食事に熱い視線を向ける。


「すごい、ベロが絡み合ってる。あの糸は納豆の糸?それとも…」

「それは普通にばっちくねぇか?」

「焦らすなぁカズ! エンターテイナーだな!」


 もぐもぐと口を動かすカズくんに、ミユキちゃんがむせ返るほどの甘ったるさで、上目遣いをして尋ねる。


「どう? カズくうん」


 カズくんはそれに答えずミユキちゃんに待っての手ぶりをすると、突然立ち上がり鴎たちの方へ駆け出した。


「おいっ、大寺ぁ!」

「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」」」


 叫びながら逃げ出す三人の背を、カズくんの怒声が追いかける。


「てめぇ部活のとき覚えてろよ!」


 教室にやっと戻り、三人そろって肩を上下させる。頭だけ剛史に向けた仁が


「おまえ、なんで、なまえ、しられてたんだよ」

「カズさんは、ぶかつの、せんぱい」

「おまえ、とんでもねえな……」


 鴎は内心仁の意見に同意しながら、二人ほど体力がないので黙って呼吸を続ける。

 昼休みの残り時間は少なく、三人とも急いで弁当をかき込むことになった。


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