ライトニングボルト誕生秘史 【後編】
後編です。どうぞご査収ください。
ライトニングボルト誕生秘史 【後編】です
【ライトニングボルト/SX-VF110S】
この機体設定を深く考える前にいくつか整理しておいた方がいいかと思いますのでそこから入らせて頂こうかと思います。よろしくお付き合いいただけましたらと存じます。
まず、【ジェットエンジンとは何ぞや?】
ここを核とすると話がまとまりやすいかと思います。
端的に言うと
外部から取り入れた空気で、よく燃える燃料を、一気に燃焼させ、大量の噴流を生成しその勢いで進む。
これだけです。
「キン〇マンさんがオナラで飛んでた」のと一緒ぐらいの認識で大丈夫です。ミリオタに殴られそうですけど、概ね認識なんてそれでいいではなかろうかと...
で、なんでそんな単純なのに色々飛行機たくさんあってみんな方式がややこしそうに見えるの?
という素朴な疑問が出てくるかと思いますが、ここもわりと理屈としてははっきりしていて、極論2つに絞られると思います。
①燃料の燃焼効率と熱と構造材耐久性
②それぞれの制御
異論はあっていいと思いますが本質的にはこの2点に集約されます。
ジェットエンジンの開発・運用において、
「燃焼効率」
「発生熱」
「構造材の耐久性」
この3要素は互いにトレードオフの関係(二律背反)にあり、これらを極限で成立させることが最大の技術的難所となっています。
ヤバい屁をかませばよく飛ぶキン〇マンさん、細かい屁で小刻みに飛ぶキン二〇マンさん、超ヤバい屁をした貴方がピンチになる(構造材破断)それ、みんな同列で見ましょう。多分大丈夫...
つまり、
【凄くよく燃える燃料を、凄い連続で燃やせば、凄いスピードで進む、でも姿勢制御はどうすんの?】
これがみんなトレードオフになってしまってるわけです。
ボトルネックの連鎖です。
ジェットエンジン内部は熱だまりになりますが、その熱を逃がさないと構造材が溶けてしまう、でも気密を下げて熱を逃がすと出力が下がる、という感じです。
じゃあ銅やアルミで覆って排熱すれば、とはならないのが難しいところです。
それらの素材では熱で強度がヘタってしまうのが先に来る、で、登場する手軽な素材がセラミックです。湯呑のアレですね。
でもそれでももうどうにもなんない、という所にきて素材競争に入ったというのが現実です。
一般的には硬くて熱に強ければ何でもいいんじゃない?と思われる人も多いかと思いますが、用途がかなり限定的で、しかも環境が極端なため用途制限されているのが現状です。
想像しやすいのは重い頑丈なモノは動かすのにたくさんエネルギー(たくさん燃料)がいるという話に直結します。
なので概念的には下の図の①~④に合わせた適切なエンジン素材が必須になるのです。
ライトニングボルトはこの問題、主に③④の部分に特殊モリブデン合金で突破口を見出しました。粉末冶金+焼結という製法によりモリブデンの弱点、
1.高温下での激しい酸化と消失(最大・最大の弱点)空気中で400℃を超えると酸化が始まり、600℃〜700℃を超えると酸化物(三酸化モリブデン $\mathrm{MoO_3}$)が気化(蒸発)
2.常温・低温での脆さ(常温脆性)。常温以下になると急激に脆くなります(延性・脆性遷移温度が高い)。
これらを克服したのです。
この合金の投入+肉薄化(モリブデンは重いが強度が高いため結果的に薄型にしても強度が勝る)によりエンジンの若干の小型化と出力の増加/燃費向上を獲得しました。
この時点で概ね
(1)多種多様な形状でのカーボンナノチューブパーツ
(2)弱点を克服したモリブデン合金の作出
ライトニングボルトは航空機としての垂直離着陸と超機動力を獲得したという状態です。
当初このままでも十分と開発が進められていたのですが、レールガンの実用化は艦艇+地上設備への固定配備が進む時代でもあります。
2050年には戦車にも搭載の動きが出てきていた中、航空機搭載への可能性が模索され始めます。
ちなみにロシアはこの競争に一切の無視を決め込むという凄い舵を切りました。
※それは本編とも関わるのでまた別の話とします。ヒント的には往年のバスタブ復活とだけ
各国このレールガン搭載開発は砲身+電力問題で失敗の山が築かれていき、その結果として次第にトレンドからも消えていきます。
技術的というより他へリソース割く方が国防に叶うというのが他国撤退の主要因とみるべき話でした。
日本だけが愚直に続けていたのは別の観点があります。
それが国防に叶う可能性があったからというのも付け加えておきます。
レールガンの利点は極論
【一発の値段が安いのにミサイル落とせる可能性がある】
ここに尽きると思います。
ここで日本の特殊な事情が重なり日本だけが
「ひこーきにでんじほうのせたらさいきょうじゃん(鼻ほじりながら)」
が現実プランから落ちなかったのです。
理由【※ここは現実の話です】
⇓
①2017年:計 22発(日本上空通過が2回あり、緊迫化した年)
②2018年:0発(どこかの首脳会談などによる一時的な融和ムード)
③2019年:計 25発以上(短距離固体燃料あれこれの実験と言い張る)
④2020年:計 9発(発射し過ぎて疲れた?)
⑤2021年:計 8発(もう若くないんだから...)
⑥2022年:計 59発(本気出し過ぎた)超音速やICBMへつながる発射とかちょっ待てよっ!
⑦2023年:計 30発以上「衛星」よ♪
⑧2024年:計 30〜40発前後で新型もやっちゃいますわよ♪
⑨2025年:計 20発以上2026年(現在まで)
もうね...
戦時中じゃなくてもこんなにポンポン花火飛ばすとか普通に狂ってるよバカぁ~
な、事情から開発は続けられた、それが『天のイグナクト』の世界です。
『天のイグナクト』世界には『さきがけ党を率いる聖清蔵』という為政者が登場します。
レールガン搭載航空機はこの人物の矜持と、日本の状況、その回答が重なった結果です。
そうやって世界初の航空機へのレールガン装備を達成、ライトニングボルト(SX-VF110S)は誕生しました。
国家の直面する現実に十分な ≪価値≫ を見出せたからこその話です。
功労者として挙げるのならば
・政治では聖清蔵
・技術ではトウマ重工と一人の天才研究者(近日(9月)公開する本編『天のイグナクト』で登場します。)
・南雲からバトンを継いだ、というか放り投げられた『天のイグナクト』主人公/橘真鎖人
・ホロンエレクトロニクス(トウマ重工と密接に関係する台湾企業)
この4者(社)の知恵の結集で誕生したというわけです。
レールガンの電力問題はトウマ重工と結託した天才が路を拓いていきましたが、その辺は本編に係るネタバレになります。
ですのでこの辺でご勘弁を。
最後に【ホロンエレクトロニクス】、ここは主にAI設計に深くかかわっています。
ここも本編に絡んでしまうのでまだ突っ込んだ話ができません。
主にAI関係は物語にもゴリゴリ絡むので気に留めて追って頂ければ幸いです。
最後にライトニングボルトの平図面(※色は練習機の赤です)掲載しておきます。
※サムネは荒いので文字確認されたい方はブラウザ等で元画像を開いてください。
図面への捕捉になりますが二点、
①コックピットキャノピーは前方スライド機構(練習機後部座席/旭柰の乗っていた側は後方スライド)です。
②脱出装置はノーズごと飛び出します。
サブ電源がそっち側にあり、接合部からCNT布帆が展開します。ノーズがスカスカのため少し滑空できます。
パイロットはその後脱出するなり海面着水なりと選択の余地があります。
海洋国家なので救難艇として浮いてるのもパイロット救出/保護の観点から出てきた設定です。
もうホント、この物語は本来web小説でやる物量ではないと思います。
それでもやらねばならぬ、やらねばならんのだぁぁあぁぁ~
※今回伏せたことは本編進行に合わせてまた『なぜなにイグナクト』でも追いかけます!
本編も引き続き追って頂けると助かります。
先のネタバレになるところは伏せておきましたが概ねこのような感じです。
保管コラムとしてお楽しみ頂ければ幸いです。
では今後もよろしくお願いいたします。
■公式Xアカウント/下駄のイグナクト■
https://x.com/getanoignact
今色々整理している最中です。
フォローしてお待ち頂けるとありがたいです。




