第5話:ティールーム
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「久しぶりだな。君とお茶を飲むのは。卒業課題すすんでいるかい?」
「ええ、まあそれなりに頑張っているわ」
私は学園のティールームでジョシュアとお茶を飲んでいる。
王立学園は、貴族が通う学園としては珍しく、勉学に励み友情を育むことを優先せよ、という方針をとっている。そのため婚約者がいても、学園内で常に行動をともにするということはない。それでも婚約者と一緒に過ごしたい、結婚前の相談をしたいなどの学生の気持ちを尊重してくれている。
放課後のティールームは私たちの他に何組か座っていた。
「夏季休暇が明けて、卒業課題が二人とも無事に受理されたら、正式に婚約して結婚の準備かな」
「・・・・・あなたはそれでいいの?」
「いいに決まっているじゃないか。僕はもともと11歳のときに決まったものだと思っている。僕たちの両親が正式に婚約を結ばなかったのは、まだ子どもの僕たちが学園で他の人と恋愛する可能性を考えて保留にしただけだし。まあ君の希望通り、学園では家同士の婚約としか言ってないけどね。君は、なにか不都合なことでもあるのかい?」
「不都合なんて、そんな・・・。でも、オリビアに申し訳なくて・・・。あなたはオリビアを気にかけているじゃない」
「気にかけている??・・・・ああ、カフェテリアでオリビアと一緒に何度か食事をしたことかい?あれは君が、”オリビアが自分の食べれる量をわかっていなくて心配だわ”っていうから様子を見に行ったついでだよ。実際パンとランチセットを前に途方にくれていたしね」
「それにね、この間オリビアは、琥珀色の髪飾りの絵を何枚も書いていたのよ。あなたの瞳の色も琥珀色よね。偶然かもしれないけど。昔、あなたがくれたブローチをオリビアがほしがったこともあったわ。私はね、あなたもオリビアも幸せになってほしいのよ」
「リリアナ、あのさ」
「ううん、大丈夫よ、ジョシュア。私がちゃんとするから」
「・・・・・」
ジョシュアはじっと私をみつめたまま何も言わなかった。
♢♢
「姉上、どうされたのですか?向こうの席の方をじっと見て」
「あ、いえ、良かったと思って見てたのよ。リリアナ様がジョシュア様と仲睦まじく過ごされているようだから」
「リリアナ様?オリビア様のお姉様ですね」
「ええ、オリビア様のことでいろいろと悩まれていたようだから」
「ふ~ん、男の僕にはわかりませんが、姉妹は大変そうですね」
「まあそうね。オリビア様は教室ではどうなのかしら」
「静かに本を読んで過ごされていますよ。時々、女子たちに観察されていますね」
「観察!?」
「髪型なんかを観察しているみたいです。気になるなら直接話しかけてみたらいいのにね」
「あなたは直接話したことあるの?」
「ありますよ。実験でペアになったこともあるし」
「どうだった?」
「やりやすいです。他の女子と違って頼ってこないので。役割分担もすぐ決まってスムーズにできますね」
「・・・・そうなの?」
リリアナ様から聞いていたお話とイメージが違うような・・・・。
女性が女性を見る目と、男性が女性を見る目が違うのは当たり前か・・・。
「ところで夏季休暇のことなんだけど、卒業課題で家に少ししか帰れないから、お父様とお母様のことよろしくね」
「あ、すみません、姉上。僕もできるだけこっちで過ごしたいんです。僕がどんなに勉強を頑張ってもいつも二位なので、今度こそ一位になるため学園に残って勉強したいんです」
「あら!すごいじゃない。頑張って!応援しているわよ」
♢♢
私はティールームを出ると、ジョシュアとは別に図書館の方へ向かった。図書館に着くと、ちょうどアラン様が出てくるところだった。
「アラン様も卒業課題のために来られたのですか?」
「いや、知り合いに用事があったから」
「夏季休暇は学園の図書館に通われるのですか?」
「卒業課題の出来上がり次第かな。ごめん、先生に提出するレポートがあるから失礼するよ」
「お引止めしてしまって申し訳ございません」
今日もアラン様とお話できた。
私はアラン様を見送ると、図書館には寄らずに家に帰った。




