第4話:依頼
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「オリビア、君に頼みがある。まずはこの手紙を読んでくれないか」
私は差し出された手紙を見る。
宛名はアラン様宛、差出人は”ロゼリア・シュナイゼル”と書かれている。
「・・・(ロゼリア・シュナイゼル様?)・・・アラン様宛のお手紙を私が拝見するわけには・・・・」
「ロゼリアは俺の妹だ。見ても大丈夫なものしか入っていない。とにかく中をみてくれ」
少し気が引けたけど、とりあえず言われるがままに手紙を取り出して見てみた。手紙にはロゼリア様の率直な言葉が二行と、はちみつ色のドレスを着た可愛い女の子の絵が書いてあった。そしてドレスのお仕立てで余ったと思われるはちみつ色の小さな布が入っていた。
兄妹らしい微笑ましいやり取りに、私の口角は自然と上がっていた。
「いやぁ、本当に困っているんだよ。自分でデザインしろって言われても、なにも浮かばない。オリビア、頼む!妹のドレスに似合う髪飾りをデザインしてくれないか。ぜひ君の力を貸してほしい!」
「えっ!私がですか?それはちょっと・・・・・。ロゼリア様はアラン様にデザインしてほしいとハッキリ書かれてますよ?」
「それは大丈夫だ。ほら、ここに女性の力を借りてもいいと書いてある。それにロゼリアは俺にデザインしろと言うけど、自分のセンスに合わないものは身につけないだろうし」
「・・・・そういうことでしたら、いくつかデザインを考えてみます。その中からアラン様に選んでいただくというのはどうでしょうか?ただ私のデザインを、ロゼリア様が気に入ってくださるかはわかりませんが」
「オリビアのセンスなら絶対気に入ってくれると思う!」
ご兄妹間のやり取りに、私が参入してよいものか気になるが、私のことをアラン様が認めてくださっていることがとても嬉しかった。誰かのためにデザインを考えることができるのも嬉しかった。
私はまず、アラン様にロゼリア様の普段のお洋服の好みや雰囲気を聞いた。
「ロゼリアは活発で明るい子だよ。貴石も好きだけどリボンやレースで飾るのも好きみたいだ。好きな色は赤・紫・はちみつ色とかかなあ。目の色は俺と同じで紫だ。」
アラン様は育った環境のせいなのか、男性ではあまり注目していないであろう女性の衣服や装飾品についてよく覚えていらっしゃった。おかげで私は、聞きながら髪飾りのイメージが浮かんできた。
家に帰って、自室で4パターンぐらいラフに書き上げて、次の日にアラン様にみてもらった。
「これは大人っぽすぎるかなぁ。これは可愛いすぎる気がする。これとこれで迷うんだけど」
「わかりました。この二つをもう少し細かく書いてきます。今度は色も塗ってくるので、もっと違いがわかりやすくなると思います」
「申し訳ない。オリビアも自分の勉強で忙しいんだろう?」
「大丈夫です。それに私今、すごくワクワクした気持ちでいっぱいなんです。だから気にしないでください」
アラン様にデザインを頼まれた日から、私の中はワクワクとアイデアで溢れかえっていた。
家に帰って作業をすすめていると、姉が見に来て
「相変わらずね」
と言って笑って呆れていた。
私はやっぱり綺麗なもののことを考えている時間が一番好きだ。
試行錯誤を繰り返し、夏季休暇直前、私がおじい様の邸宅に向かう2日前に、髪飾りのデザインは完成した。
最終的に決定した髪飾りは、光沢のあるグログランリボンとサテンリボンをグラデーションになるように組み合わせ、中央に琥珀、アクセントに色味の異なるアメジストをいくつか並べたものになった。リボンの色は、はちみつ色のドレスに合わせ、ダークブラウンから明るいベージュになるように何色か選んだ。
実際の製作は、シュナイゼル領から王都に出店しているアクセサリー工房でやってもらうことになった。完成品はアラン様がシュナイゼル領に戻られるとき、祖父の邸宅に立ち寄って見せてくれるそうだ。わざわざ寄っていただくのは申し訳ないので遠慮しようとしたが
「デザイナーが完成品を知らないなんておかしいだろう?もし違った仕上がりになっていたら直さないといけないし」
と言ってくださった。ただただ嬉しい。同時に、仕上がりのイメージが違ったらどうしようかと心配になってきた。




