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第六十九話 決戦、海上要塞

 一路魔王城を目指し、全力で疾走するクレーン機能付き超弩級戦艦、ヤエザクラ。艦載機でもあるF-35Bに、空対空兵装を満載で護衛に当てつつ、順調に魔界の大海原を突き進む。


 途中、小規模な海生モンスターの襲撃があったが、戦艦ヤエザクラの砲撃により粉砕。時折ワイバーン、ドラゴン等の攻撃も有ったが、これはF-35Bにより撃墜。

 

 尤もミサイルを使うには及ばず、外部搭載兵装である、25ミリ機関砲をコンマ5秒撃つだけで砕け散ったのだが。


「……もうそろそろ索敵範囲に入る。各員、戦闘準備」


 地図、正確には海図か。これを基にした俺の言葉にメンバー全員の表情が引き締まる。俺も、この海上要塞の攻略の為に、複数のパターンを構築している。


 勿論、戦艦ヤエザクラの砲撃で終わるならそれに越した事はない。が、少なくともあちらも対策を立てている可能性はある。


(重機召喚スキル。最適解を出せる重機は、あるか?)


 そんな風に心の中で問い掛けると、クレーンの項目に複数の検索結果がピックアップされる。成程。間接攻撃が届かないなら、直接殴れば良いじゃない方式か、面白い。


「主様。レーダー上に巨大な反応。地形情報と照らし合わせると、魔王の海上要塞と思われます」


 ヤエの言葉に緊張が走る。戦艦ヤエザクラのレーダー探知距離は、約50海里。最大探知能力はイージス艦と同等だが、実稼働で言えばこの数値だ。そして主砲の射程が31海里なので、もう少しで砲撃が可能となる。


「ここまでは順調。ヤエ、射程に捉え次第全力射撃。英霊達の力を、見せてやれ!」

「御意。目標、探知。方位、距離、主砲仰角上げ、装弾。砲撃準備、良し」


 既に砲撃の準備は完了した。後は連続で砲撃するだけとなっている。魔王城に居る者には申し訳ないが、それも運命と言う物か。


「主様!」

「開戦の狼煙を上げろ。砲撃、開始!!」


 ――轟音。俺の号令で放たれる鉄と火薬の塊。508ミリ3連装砲、3基9門による斉射が開始された。主砲の旋回角度を見極めつつ、可能な限り全力射撃可能な位置を確保しつつ前進する。


「弾着、今!」


 海上要塞は直接目視出来ないが、ヤエの制御下にある艦載機、F-35Bから送られてくる画像から、海上要塞の全容が伺える。映像では無いのでコマ送りの画像になるが、間違いなく砲撃は着弾している。


「……なん、だと……」


 間違いなく海上要塞の外壁に、508ミリ砲弾は着弾して居る。いや、着弾して居る様に見えているだけ、と言う事に気付くまでに時間は掛からなかった。何か、力場的な物が発生しており、砲弾の爆風すらも完全に防いでいる様子である。


「ち、予想はしてたが対策済みか! まぁいい、想定の範囲内だ。ヤエ、このまま砲撃を続行。艦首回頭、砲撃は第一第二砲塔だけで良い、最大戦速!」

「し、承知しました」


 既に戦艦ヤエザクラの砲撃は、魔王側に伝わっている様だ。少なくともヴァルの話からすれば、あの様な障壁は今まで存在して居なかった、と言う話だ。


「ユウキ!」

「大丈夫だ、次の手は考えてある……総員、甲板へ移動。上陸用意だ」


 そんな指示を出しつつ俺も甲板へと移動を開始した。移動途中に重機召喚スキルの概要をチェックし、準備を進めて行く。


「安芸、ノーラ、熾天使級の力の解放を用意を。俺の重機召喚に合わせてくれ」

『はい!』


 これから俺がやろうとしているのは、超大型重機による直接攻撃。その為には、俺だけではなく熾天使級の力を行使出来る、嫁達の協力が欠かせない。


 だがその為には、海上要塞の至近距離、障壁との境界面まで接近する必要がある。砲撃しつつ進んでいるとは言え、まだ遠い。


「ユウキ、上空に魔力反応。ダークドラゴンが来るぞ!」

「分かった。ヤエ、艦載機で迎撃させてくれ」

『御意』


 先に魔界に突入した際には、S-300PMUによる迎撃を行ったが、現在は空対空兵装満載の、最新鋭ステルス戦闘機である、F-35BライトニングⅡが居る。兵装運用能力は、ステルス性度外視の外部兵装満載だ。


 その全容としては、25ミリ機関砲、短距離対空ミサイルが2発、中距離対空ミサイルが12発。全ミサイルが命中、撃破が成功した場合、14体の大型目標を駆逐可能な戦力を有する。この戦闘機が、5機編成である。


「これで負けたら、後世で笑われるだろうな……ヤエ、標的は航空目標だけか?」

『はい、水上、水中共に反応はありません』

「分かった。引き続き砲撃。決して効果が無い訳では無い、少なくともあれだけの攻撃を防ぐと言う事は、物凄いパワーリソースを使って居る筈だ、無駄では無いぞ」


 ヤエは、静かに御意と言って砲撃を続行している。海上要塞との距離が詰まって来れば、副砲、高角砲と次々砲弾が撃ち込まれて行く。


「……やはり、あの障壁で防いでいるな。だが、心なしか障壁の強度が下がっている感じがするな。もう一押し、いや……」


 確かに戦艦ヤエザクラの補給は、ヤエと英霊が受けると言ったが、無限ではないだろう。ならば、やはり俺が直接攻撃を仕掛けるのが、一番だろう。


「対物理障壁、魔力による維持。と考えるのが妥当か。超常殺しの力を上乗せさせ、解放すれば……」


 その様に呟きながら、対障壁の戦法を考えて居る所で、隣に居たマコト君が協力を申し出てくる。 


「ユウキさん、魔力が必要なら俺達が」

「いや、マコト君達は防御の用意を頼む。俺の攻撃で障壁を破ったら、ヤエの砲撃が始まる。これに備えてくれ。ヴァル達も援護してくれるから、そう危機に陥る事は無いと思うが、障壁は任せろ」

「分かりました。頼みます」


 確かにマコト君達が協力してくれるなら、これ以上に心強い味方は無い。でも、俺達が倒すべき敵は、まだその姿さえ見せて居ない。ここでマコト君達の力を見せれば、また対策が取られる可能性もある。

 

 そして……この方法は、恐らく俺と嫁二人以外での連携は難しいと言う事も有り、マコト君達には障壁破壊後に専念してもらう事にした。あくまで俺の狙いは障壁だ。障壁を抜けば、外壁は508ミリ砲の斉射で崩せると思われる。


『主様、そろそろ障壁との境界面に到達します』


 敵の航空支援は、こちらの艦載機に完封されているので、完全に制空権は確保した状態だ。故に、戦艦ヤエザクラは悠々と境界面へと辿り着く。

 

「良し。重機召喚、来い……起重機船、富士! そして、オプションパーツは、鉄球だ!!」


 俺の呼び声に応え、超大型のクレーンが搭載された台船がその姿を現す。クレーン付き台船。いやクレーン船、起重機船、富士。先のシーサーペントを開放する時に使用した物より、更に大型の物を呼び出し、遠隔操作を開始する。


 これが陸上なら、クローラークレーンを召喚して居る所だが、障壁は海上に聳え立つので、直接やるなら海上から打ち込むしかない。もしくは戦艦ヤエザクラの甲板からになるが、場所の問題で展開する事は難しい。


「おっしゃ、行くぜ! 安芸、ノーラ、鉄球にありったけの魔力を注ぎ込め。遠隔操作、振り子用意……」

『行きます!!』


 俺の声で、鉄球へと熾天使級のエネルギーが注ぎ込まれて行く。俺も遠隔操作から、クレーンのブームを稼働させ、鉄球を一番強く打ち付けられる様セッティングをする。


「重機召喚、PC350バックホー、ブレーカー配管。オプションパーツ、ブレーカーユニット。連続召喚、アースオーガ。超重機融合、重機外装展開!」


 そして、念の為にと障壁を割る気満々な装備を展開。右腕にブレーカーユニット、左腕にアースオーガと言う重装備でチャージを行う。


「三段構えだ。一球、入魂……セラフィックハンマー……クラッシャァァァァ!!」


 俺の叫びと共に、遠隔操作から鉄球が超加速で進む。振り子の要領で振り下ろされるブーム。熾天使級二名分の力を込めた、鉄球。対障壁、魔力の壁を叩き割る為の、超強化された鉄球が遠心力により加速され――。


 ――轟音が響く。勢いで起重機船が揺れ、鉄球が直撃した拍子に、極太のワイヤーがクシャクシャになるが、障壁に無数の亀裂を生じさせる。


「最大出力、ギガント、ドリルゥゥゥゥ……ブレイカァァァァ!!」


 召喚した起重機船の先端部から、障壁に生じた亀裂に、第二弾として放つ正拳突き。アースオーガによる、俺の超必殺技。ギガントドリルブレイカー。破壊の暴風が一点へと突き刺さり、障壁の亀裂が拡大していく。


「ぶち抜けッ! マキシマム、ブレーカー……ステェェェェク!!」


 そしてとどめの一撃に、俺の持つ全力でブレーカーによる攻撃を打ち付ける。前回使用時と同じく、最大出力での一点集中の攻撃。ブレーカーの連続打突を繰り出す事で、遂に障壁は打ち崩される。


「ヤエ!」

『全力射撃、行きます』


 マコト君達が防御障壁を張ると同時に、戦艦ヤエザクラによる砲撃が再開。主砲、副砲、高角砲、機銃。そして艦載機による射撃を繰り出せば、見る見るうちに石材で築かれた防壁が崩れ去って行く。


 途中、逃げ惑う防衛部隊の魔人を見るが、崩壊する瓦礫の下敷きとなる姿を見てしまう。すまない、俺達はお前たちの屍を超えて行く。


「よーし、全員乗り込め! 魔王城攻略開始だ!」


 海上要塞、魔王城を守る壁は打ち破られ、俺達は魔王城の攻略へと乗り出す。この世界に来て、初めてのダンジョン攻略となるが、ヴァルを始めとする魔王城に詳しい者もいるので、そう迷う事もないだろう。


「ヤエ、なるべく早く終わらせる。無理はしないでくれよ」

『過分な配慮、痛み入ります。貴方様のご帰還を、心よりお祈り申し上げます……ご無事で、我が主よ』


 俺達の上陸後も、魔王城からの直接攻撃が戦艦ヤエザクラを襲って居るが、少なくとも距離を取ればある程度は大丈夫だと思う。それでも油断は出来ないので、速攻で終わらせるべく、俺達は駆け足で道を突き進む。


「ヴァル!」

「ああ、任せろユウキ。こっちだ!」


 俺とヴァルと言う、人と魔のトップが手を組み、今ここに魔王を討つ。





閲覧ありがとう御座います。本作中の起重機船と鉄球の組み合わせは、Twitterにあったネタを引用しております。

余談ですが、現在はクレーン鉄球での解体は、余程の事が無いと無いそうですよ。

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