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第七十話 魔王との対決

休日出勤でした。更新遅れて、ごめんなさいorz

 海上要塞の外壁を打ち崩し、魔王城へと突入した俺達は、ヴァル先導に従い魔王の元へと向かう。と言っても、RPGにある様な王座の間に居るかは分からないが。


「これで本当に玉座に居たら、マジでRPGだな……まぁ、俺も肩書は勇者だし、ゲームの様な世界だしな」

「何の事だか分らんが、大体魔王様は玉座に居る。でも、性格が変わってからと言う物、様々な種族の女性を寝室に連れ込んで、入り浸りな事が多くてな……」


 今のヴァルの話に、俺の感が言って居る。多分、間違いなく魔王は転生者が、何らかの形で乗り移っている。邪神戦が終わった後から聞く話を総合すれば、この可能性が高い。


「……最低」

「そうですね、生かす価値の無いクズです」

「心より愛してならまだしも……」

「噂には聞いてましたが、最悪です」

「女の敵ね。潰す?」


 安芸、ノーラ、ジュリア嬢、マイヤ嬢、ヘカテリーナ嬢の順に魔王へのヘイトが高まって行く。俺もヴァルも、間違いなく彼女達を愛しているが故に、彼女らの怒る気持ちも理解出来る。


「カズヤは、大丈夫だよね?」

「当たり前だろ……今更サツキ以外見れねーよ。って、何言わすんだ!? 魔王城だぞ!?」


 そんな会話を聞いていたサツキさんは、カズヤ君に問い掛け、盛大に自爆を誘発させた。流石超魔導、爆発系魔法の操作もお手の物か。


「二人とも、静かに。と言っても、外の轟音の方が大きいから問題ないと思うけど、仲が良いのは良い事だけどね。時と場合を考えなきゃ」

『はい……』


 と、上位僧侶カエデさんの注意で、シュンとなってしまうカズヤ君とサツキさん。まぁ、緊張感から張り詰めた空気になるよりはマシかも知れない。 


「ふ、本当にユウキは良い仲間を持った。俺は、側近と支援者以外に居なかったからな」

「ヴァル、そいつは違うぞ」


 俺達勇者パーティの仲の良さを見て、遠い目をするヴァル。だから俺は彼に答えるべきと声を上げた。


「違う?」

「当たり前だ。俺とお前は、もう仲間だろう? 同じ釜の飯を食った仲、そんなレベルじゃない。命を懸けて、背中を預け合った仲。親友と言っても過言ではない」


 駆け足の中で告げる言葉に、マコト君を始めとする勇者パーティも賛同の意を示す。魔界にて、人類との平和のために立ち上がった英雄は、もう孤独ではない。


「行こうぜ。ここで全てを終わらせ、平和を掴み取るんだ!」

『人魔の未来の為に!!』


 俺の言葉に、この場の全員の声が重なる。駆け上がるその先に見えるは、豪華な装飾の扉。恐らくあそこが、王の間。そして玉座の間であると推測出来る。


「ユウキ!」

「ああ、行くぞ皆! 重機召喚、PC650バックホー、D475ブルドーザー、90式戦車! 超重機融合、重機外装、展開!!」

『神霊力解放、コールセラフ!!』


 扉を開く直前、俺達はスキルを開放。俺は普段通り、重機召喚からのコンボ、安芸、ノーラは熾天使級の力の解放。漲るパワー、迸る閃光。神の使徒を守る様に、守護星騎士が降臨する。


「行くぜマグナ。人竜一体!! 竜騎士サエキカズヤ、全力だ!!」

「魔力増殖炉、最大出力。超魔導サツキ、参ります!!」


 俺達に続き、カズヤ君とサツキさんが秘められた力を開放。俺の持つ創世神の加護により昇華された、文字通り人類種、異世界人の中でも最強クラスのオフェンスが誕生する。


「その叡智を以て俺の問いの答えよ。ユニークスキル、原始の記録書、発動。大賢者マコト、行きます!!」

「聖属性の頂点たる私が命ずる、森羅万象を超えて……我が身に、闇を払う力を! 上位僧侶カエデ、参ります!!」


 カズヤ君とサツキさんがオフェンスとすれば、後衛として最強の攻守を兼ね備える、オールラウンダー。マコト君と、カエデさんがその真の力を解き放つ。


『全ては愛するヴァーミリオン様の為に……モードチェンジ、バトルシフト!!』


 それは、ヴァルの婚約者の女性達。重なる美しい声色と共に、一瞬の内に戦闘モードへと移行。元々アークデーモン級と同等の戦闘力を持つ三人の令嬢は、瞬く間にデーモンロード級として再降臨を果たす。


「ふ、では行きますかなバモス殿」

「ええ、行きましょうムラマサ殿。我々が後詰を担当します。皆様の背中はお任せ下さい」


 最後に、精霊騎士アリシアの側近にして、俺達勇者パーティ最高の技量を持つ、ムラマサ殿と、ヴァルの副官にして側近。武芸者のバモスさんが抜刀し、その存在値を大幅に上昇させる。


「新生人魔連合、神の使徒の名の下に、魔王を討つ!!」


 戦闘準備が整った俺達は、勢いそのままに豪華な扉を叩き割り、玉座の魔へと突入した。油断なく構え周囲を警戒するが、そこで目にした光景は――。


「――!!」


 玉座の間の至る所に倒れる、全裸の美女、美少女達。文字通り絶世の存在と言っても過言ではない女性が、白い液体に塗れ、虚ろな表情のまま一点を見詰める。


「くっくっく……よく来たな、勇者共。そして、裏切り者共よ。どうかな? 俺が丹精込めて作った、歓待用のオブジェは。これだけの美術品は、そうそう拝めるモノでは無いぞ?」

「堕ちる所まで堕ちたか!? もう貴方の暴挙を許す訳には行かない!! ヴァーミリオン・ロードクラヴィス、全力で参る!!」

「貴様! 女性を何だと思ってやがる!? 神の使徒、サクラユウキ。創世神の名の下に、超常の存在を無に帰す者だ。行くぞォォォォ!!」


 ヴァルが怒り共に、魔剣カタストロフを抜き放ち魔王へと肉薄する。俺も神剣ロード・オブ・シンフォニアを抜き、ヴァルに追随。


「青いな、この程度で激高するとは……『平伏せ』王の眼前であるぞ……ッ!?」


 俺達の神速の攻撃に、魔王が何か呪文の様な物を唱える。恐らく拘束系の魔法だと推測されるが、俺もヴァルも意に介さず剣を振るう。


「それがどうした!? あの時は完全に抗う事が出来なかったが、今の俺は、貴方に斬られた時から成長している。そんな魔法は効くものか!! でぇい!!」

「ば、馬鹿な!? くっ!?」


 魔王の攻撃は、あの言葉ありきの物だと推測した。ヴァルもレジストしている事から想像もつくが、恐らく発動条件はレベルだと思う。そんな状況で、ギリギリで回避したのはヴァルの運命力とも言えるだろう。


「残念ながら俺にも効いてないんだな、これが! せぇいやっ!!」

「ちぃぃぃ!!」


 ヴァルに続き横に神剣を薙ぎ払うが、それをも回避する魔王。何とか俺とヴァルの初撃を回避した魔王だが、当然俺達の剣技は超絶技巧その物。一の太刀で決める事は出来なかったが、瞬時に追撃を入れて魔王を追い込んでいく。


「く、何故だ!? 何故言霊が効かない!? ち、このチート使い共め!」

「!?」


 魔王の言葉に、俺の意識が一瞬揺らぐ。チート、だと? 何故魔王がその言葉を知って……いや、ならば知っていて当然か。やはり俺の目測通り、魔王は――。


「予想通りかよ、転生者か!」

「ち、そう言う貴様は転移者、いや召喚者と言う所か……ち、想像以上に厄介な状況……ん、待て。サクラ、ユウキ? お前は……ふふ、はぁーはっはっは! そうか、そうか! 逢いたかったぞ『先輩』さんよぉ!!」


 俺が転生者と言った傍で、なにやら高笑いをする魔王。それにしても『先輩』とは一体どう言う事だ?


「……」

「だろうな、覚えちゃいねぇだろうな。だがな、俺は忘れて居ない……あの時は、よくも邪魔をしてくれたな。あの借りは、今ここで返させて貰う。そして、『安芸』は今度こそ俺が貰い受ける!!」

「ッ!? そうか、お前はあの時の!!」


 思い出した。嘗て俺は、安芸を救うために不良少年と殴り合う事となった。俺が隣に居るにも拘らず、あちらが一方的に安芸を連れ去ろうとして、殴り合いの末に倒したのが、別の高校の不良で、一つ下の後輩に当たる人物だった。


 噂には聞いていたが、相当な悪で通ってたらしい。恐喝に窃盗、暴力とやりたい放題。そんな相手に、よくもまあ、当時の俺は競り勝ったもんだ。火事場の馬鹿力と言う奴だろうな。


「あの時は手痛い失敗を犯したが、まぁ結果的に安芸の『初めて』は貰えた訳だがな……くっくっく、なぁ『兄さん』よ。変わり果てた姿を見て、どう思った? なぁ、教えてくれよ、せんぱぁい!!」

「こ、この、クソガキがぁぁぁぁ!!」


 神剣を振るいつつ、思い出す安芸の話。安芸は、現世で殺された。三人の男に弄ばれた挙句にだ。その内の一人は、俺と同じく召喚された勇者、ヒグレショウ。

 

 あのクソガキも精神破綻者だったが、マコト君の言う通りだったな。そして、こいつがあの時の不良なら、少なくともこいつは、元勇者の兄であるハッカーではない。ならば、最後の一人も……この世界に、居る。


「そうそう、怒れ怒れ。怒りは全てを見失わせる……ッ!?」


 怒り狂う俺の攻撃を避けて、反撃を行おうとする魔王。だが、激昂しているのは表面上であり、ただのブラフでしかない。その隙、突かせて貰うぞ!


「歯を食い縛れ、この腐れ外道!」

「オゴッ!?」


 右腕に搭載したブレーカーユニットで、思いっ切り魔王の腹部を撃ち貫く。敢えて技は使わず、純粋な火力のみでの攻撃だ。全力で殴った為か、魔王はくの字に折れ曲がりながら、玉座の間を壁まで吹っ飛んで行き――。


「がはっ……」


 内壁へ打ち付けられた魔王は、肺から絞り出すような声で呻く。ちょっと待て、確かに全力で殴ったが、あの程度でそこまでダメージを受けるのか?


「ぐ、何でだ……俺は、魔王。魔界最強のレベルとステータスを誇る俺が、何故打ち負ける……!? ふざけるなぁぁぁぁ!!」


 そんな事を叫びながら、見るからにフラフラな状態で、魔王は巨大な剣を取り出して俺に斬り掛かって来る。が、正直言って遅いし、踏み込みが甘い。


「踏み込みの速度が足りん!」

「うおっ!?」


 俺はとあるゲームに出てくる、エリートな兵士が、特殊技能を発動した時の台詞を言いつつ、魔王の剣を切り払う。そして思ったのが、巨剣にも拘らず、重みすら感じないと言うのは、何故なのかと。


「……遊んでいるのか? ふっ!」

「な、なにをっ!! ッ!?」


 様子見も兼ねて居たが、余りにも隙だらけなので逆に攻めに転じる。軽く振るった神剣が、切り払われる事も無く魔王の左腕を両断する。


「がぁぁぁぁ! 腕が、俺の腕がぁぁぁぁ!!」


 可笑しい。どう考えても可笑しい。確かに間違いなく強いのだろうが、ここまで圧倒的な差がある事に、疑問しか浮かばない。


 確かに俺は強くなったと思う。けれど、最強だなんて己惚れるつもりは無い。そうだとしても、今の魔王は弱い、弱過ぎる。余りの光景に、共に斬り掛かったヴァルでさえ呆けている状況だ。


「許さない、絶対に許さないぞ! クソ、なんでこんな目に……あいつ、絶対無敵の言霊の魔法って言ってたのに、効きもしないじゃねーか! ふざけんな!!」

「何を訳の分からない事を……」


 半狂乱の魔王。言霊の魔法、と言ったが……これは俺が半神半人になった時の知識の中にある、原初の魔法の一つに当たる。


 例えば、言葉に乗せて命令を出す事で、対象を完全に言葉の支配下に置く、と言う驚異の魔法だった筈だ。同時に欠点もあるのだが、それを理解していない、とは一体?


『あなた。倒れていた女性たちの解放と、回復は完了しました』


 そんな事を疑問に思いつつ、油断なく構えて居た所へノーラからの念話が入る。俺とヴァルが斬り掛かった瞬間、女性陣は魔王に穢された乙女達の解放へと向かって居たのだ。


『よくやった。後は魔王だけだ……彼女達を、頼む』


 ノーラへ念話を返しつつ、一瞬だけ視線を外した。こちらには無限に近い魔力を行使する、超魔導サツキさん。精密な魔法操作をする、大賢者マコト君と守護星騎士ノーラ。


 そして、精神の回復まで行える、驚異のユニークスキルを備える、上位僧侶カエデさんと言う陣容である。


 この状況下で、俺とヴァルのツートップによる前衛、後衛は竜騎士カズヤ君、援護に剣聖ムラマサと、魔人バモスさんが控えて居る。隙を生じぬ構えにより、人質、捕虜、いや、被害者の女性たちの救出は容易であった。


『……ヴァル、この状況。本当にあれが、魔王なのか?』

『間違い、無い。しかし……いや、俺も困惑している。一体これはどういう事だ? 魔王、のレベルは500だった筈だ。当時の俺でも躱すので精一杯だった筈だが』


 そんな念話を交わしつつ、魔王の刃を切り払い打ち流す。同時に理解したのは、魔王は現世からの転生者であり、間違いなくステータス等も補強されていた。


「ああああ!!」

「遅い!」


 魔王は残った腕で剣を振るうが、俺には止まって見えるレベルで遅い。これもやはり、レベル差が関係しているのだろう。ヴァルの話からすれば、当時のヴァルは魔王よりレベルが低かった。故に、回避し切れなかったという推測になる。


「ふざけるなぁぁぁぁ!!」

「甘いッ!!」


 思考をしつつも魔王の剣を捌いて行く。多分、現在のヴァルのレベルは、魔王を大きく上回って居る。そして俺も、現在レベルは765と言う数字であり、この数値故に本来凶悪なレベルの筈の魔王を、片手間に相手取れているのだと思う。


「避けるな! 大人しく死ね! そして安芸は、俺の物だぁぁぁぁ!! ごふっ!?」

「……!!」


 気安く人の嫁の名を、呼び捨てにすんじゃねぇと言う意味で、ブレーカーユニットを顔面に叩き込んでやった。魔王は、イケメンに属する顔を持っている。悔しいが、顔面偏差値なら、俺の完敗だ。


「ふ、ふが……」

「……」


 涙を浮かべる魔王。俺は無言で右腕、ブレーカーユニットへ力を籠める。こんな奴に、安芸は……。


「ひ、止めろ! 俺が悪かった! あ、謝るから……ゆ、許し……」

「地獄の底で、永劫の苦しみを味わえ……マキシマムッ、ブレーカァァァァ……ステェェェェク!!」


 魔王の言葉を聞かず、これが答えだとばかりに、俺の全身全霊を込めた必殺技。マキシマムブレーカーステークが炸裂。極限の一撃が魔王の胴を穿つ。余剰エネルギーが迸り、体が中心部から、砂の様に崩れていく。


「……」


 文字通り、魔王は木っ端微塵に吹き飛び……金色の粒子となりながら、天へと舞い昇って行く。余りの呆気なさ。これがゲームなら、復活したり、第二形態があったりするが、その予兆も見られない。何故なら――。


「経験値の取得を確認……これで、終わりか」


 経験値の取得。それは、対象がこの世から消え去り、死亡した証明。少なくとも、この事実は揺るがない。


「なのに、何故だ。何故か嫌な予感が消えない……まさか、あるのか?」


 魔王を打ち取り、勝利を収めた俺達人魔連合。だが、消えない嫌な予感が俺の心を支配する。そして、俺の予感は的中する事になるのであった。






閲覧ありがとう御座います。所々に、知って居ればニヤリとするネタも仕込んでおります。

ええ、まさかフィン〇ァンネルが切り払われるとは思いませんでしたよ(;´・ω・)


それと、新作書き始めました。いやーこれは書いててめっちゃ楽しいw

まだまだ完成には至って居ませんが、本作が完結次第上げさせて頂く予定で御座います。

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