↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/93

第五十話 重なる聖剣と魔剣

当社は基本的に祝日は休みではありませんorz

 伝令からの連絡を受けた俺は、面倒な貴族の扱いに困っていた事から、これ幸い。とばかりに体験試乗会会場から移動。ノーラと共に魔界転移門へと乗り込む事となった。


 本来なら移動に時間が掛かるのだが、今回から政務官として働く事になった、吸血鬼族の協力による空間転移で移動する事になった。どうやら複数人連れて飛ぶ事も可能らしい。


「空間転移、な。便利だが、これは対策を取らないと不味い奴だな」

「……ええ、苦い思い出です」


 俺の考えに同意を示すのは、我が妻のノーラだ。先に起こった地の精霊都市への奇襲攻撃は、空間転移の魔法による物であった。本来この魔法は、高度な魔力操作に加え莫大な魔力を消費するので、使える者は多くは無い。


 例外として、上位の魔族、超魔力を誇る異世界人、自然進化の最上位存在のみが行使する事が可能と言うものである。リチャード達吸血鬼族は、自然進化の最上位に位置する存在で、魔力操作に長ける彼等の得意分野であった。


「ノーラ様、その件は私達にお任せ下さい。転移魔法は私達の得意分野であり、悪用された事に関しても遺憾ですので」

「ええ。いえ、私はもう大丈夫ですので、まずは夫の安全面の確保。ここを重点に置いて下さい」

「承りました」


 そう言ってノーラの希望に答えようとするのが、今回仲間に加わった吸血鬼族の筆頭。ヴァンパイアロードのリチャードだ。彼等は空間転移の危険性も理解して居るが故に、二度とこの様な事が無い様にと対策を考えてくれている。


「リチャード、最優先は俺の嫁達だ。俺はそう簡単にやられるつもりはねぇぞ」

「いえ、あなたの方が優先です。何かあったらと思うと気が気じゃないんですよ?」

「いや、ノーラと安芸の対策が先だ」

「いえ、あなたが優先です。不老であっても不死では無いんですよ!?」

「……旦那様、奥様。お二人とも同時に対応しますので、痴話喧嘩はその位で……」


 おっと、流石に仲裁が入ったか。俺もノーラも、お互い大事だからこうなると中々引き際が分からなくなる。こうして苦言を呈してくれる副官が居ると本当に助かる。


「すまんリチャード。つい、な」

「いえ。若い頃の私と妻を見ている様でしたので、ついつい止めに入るのが遅くなりました。今更ですが、ご結婚おめでとうございます」


 ああ、そう言えばリチャード達が仲間になったのは本当につい最近の事だ。俺達の結婚式には参加して居なかったので、この場でと言う形になったのであろう。


「ありがとな。さて、そろそろ仕事の時間だ……」 


 ともかく、突然の伝令だったので色々混乱したが、俺は緊急で勇者パーティの面々へ念話を飛ばす。現在大賢者と上位僧侶は西門に、東門では剣聖が竜騎士と超魔導を鍛えている最中である事が分かったが、全員即時集結する運びとなった。


 これらの門への移動も、吸血鬼族の政務官が補佐をしてくれた。リチャードも配下であるアークヴァンパイア達とのグループ念話が可能なので、配下を動かし、転移魔法で勇者パーティの送迎に向かうと言う連携も取って居る。


 それでも即時集結と言う訳にも行かず、俺とノーラが先行して魔界転移門へと移動する事になった。


『主か』


 転移門に付いた瞬間に、そう念話を伝えてくるのが風の聖獣ガルーダ。その隣には青と銀で彩られたクジラ型の聖獣、ケートスが控えて居る。ガルーダも本来の姿はかなり巨大な怪鳥であるが、それをも凌駕する巨体を誇るのがこのケートスだ。


「ああ、非番の所すまんな。そう言えば今はケートスが転移門の見張りの時期だったな、協力感謝する」

『気にする事はないさ、それにイフリートにベヒーモスもこちらに向かっている。それ程までに深刻な状況だ、気を抜く事の無い様に』


 因みに俺は彼ら四聖獣を召喚する事が出来るのだが、これは戦闘時に一時的に力を貸す為の物で、永続的に呼び出せる訳ではない。なのでどうしても全聖獣が揃う為には自前で移動して貰う他ない。


 聖獣自体この世の理から外れた超越的存在。それでも移動には若干のタイムラグが存在する。ガルーダとケートスが一早くここに到着したのにも理由がある。現在の転移門の守護を受けていたのがケートス、精霊首都上空から急行したのがガルーダだ。


 イフリート、ベヒーモスはそれぞれの精霊都市周辺に拠点を構えており、そこからの移動になるので少々時間を食っているのだ。


「ああ、しかし……ノーラ、どうだ?」


 俺はノーラに問い掛ける。ここノーラを連れて来たのは、ノーラの魔眼による解析鑑定を行う為でもある。ノーラの持つ魔眼は真実を見抜く物。同時に様々な対象の解析鑑定も行える。


 南門から受けた報告から、敵軍勢の識別が不能な程強力な反応があると言う事で、ノーラの魔眼で見抜いて貰う事にしたのだ。


「……信じられないと言うのが本音です。獄炎のインフェルナグ。絶氷のクリスコフィン。地神グランゲイル。後は、デーモンロード級がアークデーモン級二体を連れています……後続の魔族は、総数……三万!」

「冗談見たいな戦力だな……寧ろこの半年が平和過ぎたとも言えるか。何とか新生勇者パーティで対処出来れば良いが」


 そう、確かに俺達新生勇者パーティは強い。レベルも技量も底上げされているので、そう易々と敵に抜かれる事は無いと思うが、敵の中には四天王が含まれている他、魔界に於ける自然進化の最上位の存在が紛れている。


「……解析鑑定の結果は、あなたから頂いた加護により昇華されています。この結果は揺らぎませんので、こうなったらやるしかないです」 

 

 創世神の加護により進化を果たしたノーラは、俺達勇者パーティの中で一番魔力操作に長ける存在となった。純粋な魔力総量は超魔導に劣るが、精密操作、魔眼と併用した看破、鑑定、計測と言った分野ではノーラに軍配が上がる。


 その計測の結果が、神雷のケリュケイオスを省いた残りの四天王全て。そしてデーモンロード級とアークデーモン級が二体。この六体が最も注意するべき相手であるが、後続の魔族三万と言うのも馬鹿にならない数字だ。


「転移門に高魔力反応……来ます!」


 ノーラの声と共に、魔界転移門が起動し大規模な魔族の軍勢がこの世に顕現した。俺とノーラ、護衛となるリチャードは油断なく武器を構えた。


 その中には、間違いなく絶対強者と言える存在がいる。ただし三対三で対峙する形で、だ。四天王の三名が、デーモンロード級とアークデーモン級二名と対峙したまま転移門から姿を現した。


「ノーラ!」

「…………これは、いえ……でも、そんな事が……?」


 俺の声に鑑定を行っていたノーラだが、その表情には疑問しか浮かんでいない様子だ。


「説明、頼めるか?」

「はい。信じられるか分りませんが……あのデーモンロード級の魔人、ネームドです。そしてアークデーモン級二体の魔人もネームド、立場は側近。私とアキさんの様な立ち位置です。最後に……我々人類と、和平を望んでいます」


 ノーラの発言に俺は言葉を失う。まさか、彼らは人類と和平の為に、魔界を敵に回してここまでやって来たと言うのか。ノーラの魔眼は絶対だ、暴けない真実は存在しない。ならば、俺の取る行動は一つしか無い。


「援護するぞ、和平を望む彼らを見捨てる訳には行かない。ノーラ、ガルーダ、ケートス、リチャード、支援を頼む!」

『了解!!』


 俺は重機召喚から超重機融合を行い、重機外装にて鎧を纏うと、ガルーダとケートスの支援を受け飛翔を開始。ノーラとリチャードも俺に追随し、デーモンロード級魔人の元へと向かう。


 俺達の接近に気付いたデーモンロード級の魔人は、一瞬だが安堵の息を付いたように見えた。そして、対峙する残りの四天王は、忌々し気な視線を俺に向ける。


 四天王に仲間意識があったかは知らんが、神雷のケリュケイオスを討ったのは俺だと分かって居るのだろう。


「聴け、魔族の軍勢よ。我が名はサクラユウキ。創世神ゼフィロス様の使徒にして、魔を討つ人類の勇者だ。この希望の光を恐れぬなら、掛かって来い!!」


 そう言って俺はデーモンロード級の魔人の前に割って入り、残りの四天王に対して名乗りを上げる。ノーラとリチャードもアークデーモン級二体の魔人と並び、援護をする構えを見せている。


 人族と魔族が並び立つ光景に、残りの四天王と魔族の軍勢の動きが止まる。その隙に俺はデーモンロード級の魔人と対話を試みる。


「信じて貰えるか分からないが、俺は君達を歓迎する。援護する、何とかこの場を切り抜けよう。全てはこれからだ」

「……サクラユウキ、勇者。ああ、やはり俺は間違って居なかった」


 俺の言葉にデーモンロード級の魔人は僅かに笑顔を漏らす。その表情から彼の苦労が伺える。人と魔は決して共存出来ないと言われていたが、そんな事は無い。きっと分かり合える。


「ご助力に心からの感謝を。俺の名はヴァーミリオン・ロードクラヴィス。ヴァルとでも呼んでくれ。新たなる時代の先駆けとなり、貴方と戦える事を光栄に思う」

「分かった、俺の事もユウキで良い。よろしく頼むぞ、ヴァル。来い、聖剣シンフォニア!」

「ああ、命を預けるぞユウキ。我が命に応え顕現せよ……来い、魔剣カタストロフ!」


 俺が聖剣を召喚すると同時に、デーモンロード級の魔人、ヴァーミリオン・ロードクラヴィス。もといヴァルも禍々しくも神々しい巨剣を召喚し構え、配下に命令を下す。


「バモス、ジュリア、ユウキ達の援護をするぞ。彼らが俺達を信じてくれるなら、その期待に応える。良いな!?」

『御意!』


 配下のアークデーモン級二体の魔人も戦闘形態へと変化し、ヴァルを援護する体制に移る。戦闘形態へ移行したヴァル達の存在値が大幅に増幅される。


 ヴァル自身は俺に匹敵するかそれ以上の力を、配下の二人も存在値で言えばデーモンロード級と同格と言っても良い。


 数的には圧倒的に不利だが、ノーラの見立てでは魔族の軍勢のレベルは、平均で50台と言った所だと言う。


 数と言う戦力的には不利と言った所だが、これから新生勇者パーティと聖獣も集結する。反転攻勢に出るまで防戦になるが、守り切ればその時点で俺達の勝ちだ。






毎度、閲覧ありがとう御座います。

現在、護岸工事……台風、豪雨等の対策の為に、堤防の補強工事に従事しております。

少々朝も早く夜も遅くまで執筆、となると体調面が不味い状況です。

苦渋の決断ですが、投稿間隔を少々伸ばそうかと検討しております。

楽しみに待っていて下さる方々には、大変申し訳なく思います。

ですが、生命、財産を守るべき工事ですので、仕事を優先させて頂きたく思います。

何卒ご容赦頂ければと思います、申し訳ございません(;´・ω・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。