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リアリスの左の腕には、まだ少し新しい傷跡があった。
デラルージュは混乱していた。
何故!どうしてこんな傷が!
その想いはデラルージュの口から知らずに溢れている。
「あ、あの…殿下どうされましたか?」
真っ先に声をかけたのは、処置にあたっていた医師だった。
その声に我に返ったダグラスも口を開く。
「殿下。どうされましたか?」
そしてその言葉を聞いたリアリスは、違う意味で混乱する。
殿下?殿下って言ったのかしら…デイ様が殿下?
デラルージュはリアリスの前に座り話しかけた。
「リアリスちゃん、どうしたんだこの傷は。何故、こんな切り傷が?」
「あ、あの…デ…あの。」
リアリスは今この場で目の前にいる人間をデイと呼んではいけない気がした。
言葉に詰まっているリアリスを見て、隣にいたダグラスが代わりに言った。
「殿下、リアリス嬢は王宮内にいたスパイを捕縛する時に怪我をおいました。」
「なんだって!」
デラルージュは王宮内にスパイが居たことをまだ知らなかった。
「リアリスちゃん!他に?他に怪我は?」
「あの、脚を少し捻挫しました。」
リアリスはおずおずと話す。
「なんて事だ!それで?この傷は治るのかい?どうなんだ?」
この後、医師から腕の傷は塞がっていて経過が良い事、しかし傷跡は少し残るかもしれないという事を聞いたデラルージュはとても落胆していた。
「まさか、そんな事があっただなんて…傷跡が残るかもしれないなんて酷すぎる!」
デラルージュはそのスパイを今この場で八つ裂きにしたい気持ちだった。
「もし、傷跡が残っても僕が必ず消してあげるからね!どんな手を使っても!そうだ!神殿にお願いしよう!それならば!」
そう拳を掲げるデラルージュにダグラスが小声で言った。
「殿下、それよりも先にリアリス嬢に話す事があるのでは。」
「え?」
デラルージュは殿下と呼ばれている自分を見るリアリスが困惑している事にやっと気づく。
しまった!僕はただのデイだったんだ!
その時、初めてリアリスに話さなくてはいけない事があるのだと思い出した。
「あの…リアリスちゃん…」
するとリアリスは落ち着いた笑顔になる。
「お話したい事は予想がついております。しかし、まだ怪我も完治しておりませんので、また今度でもよろしいでしょうか。」
明らかに今までと違う話し方のリアリスを見て
デラルージュはショックだった。
ああ、もうリアリスちゃんは僕が誰なのか気づいているんだな…。
「すまない…必ずきちんと話す機会が欲しい。」
「私の様なメイドにそのような事をおっしゃらないでください。」
距離を感じる言葉。
デラルージュの胸は張り裂けそうだった。
「ダグラス様…あの、部屋まで送っていただけるのですよね?」
「ああ、もちろんだ。」
「処置も済みましたので、お願いできますか?」
「そうだな、早く休んだ方がよい。では殿下、私達はこれで失礼させていただきます。」
リアリスもダグラスと一緒に頭を下げる。
そして、ダグラスはリアリスを先程と同じ様に抱え医務室を出た行った。
「貧乏男爵令嬢は従女になりたい」をお読みいただき
ありがとうございます。
作者のぎゆりです ٩( 'ω' )و
最近、本当に寒いです。
今日も寒かった…
突然ですが
私の父は湿度警察です。
部屋中の湿度をチェックしてまわりましてね(笑)
湿度が低いと加湿器の設定を上げてまわります。
ありがたいんですが
正直面倒くさいです(笑)




