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35

ディはドキドキしながらリアリスの隣に腰掛けた。


ドキドキの理由は

急いで早足で来たせいか、それとも…。


「リアリスちゃんはランチタイムだったのか。」


リアリスの手元には先程まで食べていたサンドイッチがあった。


「ごめんね、ランチタイムに邪魔しちゃって。」


「いいえ、お気になさらないでください。もう終わりましたので。」


リアリスはそう言うと、サンドイッチを包みに戻した。

その仕草を見ていたディはふふっと笑った。


「まだ途中じゃないか。いいよ、まだ食べてても。」


「いえ、あの大丈夫です。」


リアリスは少し恥ずかしそうに言った。

その顔を見たディはあっ!と気づいた。


「そうか、ごめん。僕の前で食べられないよね。」


貴族の令嬢は家族以外の男性の前で大きな口を開けて食事をするのはタブーとされている。

晩餐会でも女性は会場でほとんど食事をしないのだ。


「い、いえ。これはきちんと後でいただきます。だってもったいないですもの。」


リアリスはニッコリ笑ってサンドイッチを見せた。


ディはリアリスがどんな1日を過ごしているのか。

王宮に来る前はどんな暮らしをしていたのか。

そんな普通の会話が楽しかった。


ディはリアリスを見ながら思う。


こんな女性が側に居てくれたら安らぐだろうな。

昼下がりにゆっくりピクニックとか楽しいだろうな。

いつもこの笑顔を見ていたい。

自分の身分を捨てていいと言われたら

真っ先にこの女性の元に行くだろう。


考えるだけで幸せな気持ちになる。



少し離れた所で見守っている側近は、ディの顔を見て驚いた。

とても幸せそうな顔をしてあのメイドを見ているのだ。

そして思わず側にあった花壇に足を取られてしまった。


ガサガサガサガサ…


側近がよろけた衝撃で近くの草花の音が大きくした。


「???」


リアリスは音のする方を見る。

そこには数人の男性がいた。

はっきりは見えなかったが、文官の様な制服を着た人物の後ろに騎士団の制服に似たものを身にまとっている男性。


「あの…あそこにいらっしゃる方々は…ディ様のお知り合いですか?」


「??あ!ああ、そうなんだ。これからちょっと行かなくちゃいけなくて。はははは、迎えに来たみたいだな。」


そう言いながらディは側近達をジロッと見た。


「ディ様はお忙しいのですね。お仕事頑張ってください。」


リアリスの励ましの言葉にディの表情が少し緩む。


「リアリス、実は僕は…」


「はい?」


きょとんと自分を見るリアリスに言葉が詰まる。


「あ、その、なんだ…あ、そうそう!ちょっと王都を離れるかもしれないんだ。」


「そうなのですか?」


リアリスはどこかで同じようなことを聞いたなと思った。


そういえば、ダグラス様も王都を少しの間離れるっておっしゃっていたわ。

それと関係があるのかしら?


「どのくらいの期間になるかは、まだ分からないんだけど。帰ったらリアリスちゃんに聞いてもらいたい事があるんだ。」


「聞いてもらいたい事ですか?」


「うん、そうなんだ。だから、王都に帰って来たら連絡するね!」


「はい、分かりました。では、お気をつけて行ってきてくださいね!」


「ああ!元気に帰って来るよ。」


ディはリアリスの顔をじっと見つめる。


帰って来たら、王太子だと言うことを言おう。

隠していてもいつかは言わなきゃならない事だ。

それを自分の口から伝えたい。


ディは名残惜しい気持ちを抑えリアリスに手を振った。





「貧乏男爵令嬢は従女になりたい」をお読みいただき

ありがとうございます♪


作者のぎゆりです(*ᴗˬᴗ)⁾⁾


更新の時間が夜中になっております。

これから、この時間帯が多くなるかと思います。

何卒、よろしくお願い致します。


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