110
いよいよリアリスの休暇の日がやって来た。
休暇の間に仕事が滞らないよう
新しく迎えたメイド長補佐に仕事の引き継ぎ。
リアリスの休暇に加えて
メイド仲間で友人のディアも、自分の結婚に向けて本格的に話が進み始めていた。
そして、一番大変だったのはダグラスだった。
1ヶ月会えなくなる事がショックだったらしく
毎日会いに行きます!と大声で叫んだくらいだ。
1日の仕事を終えてから、ダグラスと会うために兄にお願いして時間を空けてもらっていた。
夫婦や婚約者ではない未婚の男女が王宮内で頻繁に会う事は、禁止されている訳ではないが、ダグラスの立場上の事を考えると兄が間に入った方が良い。
この際、兄のウォルフにダグラスとの関係がバレてしまうのは諦めるしかない…
兄は妹の報告を聞いて、座ったいた椅子からずり落ちて驚いたが快く2人のデートの手伝いを引き受けてくれた。
兄のウォルフはダグラスを尊敬しているので
リアリスの為というよりは、ダグラスの為なのかもしれない。
出発前、リアリスは執務室で心配な表情をしている。
「今さら何を言っているのです。大丈夫ですよ、リアリスさん。」
そう答えるメイド長の隣には、新しく選出された補佐が2人頷いている。
「リアリス様!お任せください!リアリス様がいない間、私たちでメイド長様をお助けしますから!」
王都の大きな商家の長女のメイドは、経営などの才がある事からこの度補佐に選ばれた。
貴族の令嬢ではないメイドが補佐に選ばれたとあって
一時はメイド塔全体が揺らいだが、本人はやる気満々だ。
「そうですよね、私が休暇をお願いしたのですから…。でも、やはり心配だから…。」
仕事人間のリアリスにとって任された仕事を放り出しているのではないかという罪悪感があった。
「リアリスさん、本当に大丈夫ですよ。ほら!もう出発の時間ですから!行きなさい!」
「は、はい!で、では!行ってまいります!…あ!それから!」
「はいはい!ではお気をつけてねー!」
最後まで言わせてもらえずドアを閉められたリアリス。
これは、メイド長達の優しさだ。
1人ゆっくりと王宮の裏門まで歩く。
すると、向こうの方に立派な馬車が見えて来た。
今回の休暇では、特別に王宮から馬車を貸してもらった。
王宮にある馬車の中では、かなり質素なものだが
リアリスにとってはとてつもなく豪華な馬車だった。
馬車の周りには、リアリスの荷物を積むために騎士達が動いていた。
その中にはリアリスの兄・ウォルフの姿もある。
「お兄様、お待たせしました。」
「おう!来たか!」
今回の旅には、兄のウォルフも一緒に同行する事になっていた。
リアリス達の実家のある場所までは山をいくつも越えなければならない為、護衛なしでは危険であるとラッシュ騎士団長が気を利かせてくれたのだ。
「荷物はこれで全部か?」
「はい。」
馬車の上には、家族へのお土産がたくさん積まれている。
リアリス個人の荷物はほんの一握りだ。
さぁ、これから馬車に乗り込むぞ。という時、誰かがリアリスを呼ぶ声が聞こえる。
リアリスは声の方に振り返った。
こちらに向かって来るのはダグラスだった。
「ダグラス様。」
「リアリス嬢、そろそろ出発ですか?」
ダグラスを見ると、何やら旅支度の装いだ。
「あの…ダグラス様もどこかへ?」
そう聞くとダグラスは言いづらそうに
少し小さな声で言った。
「いや、ええそうなんです。」
「どちらへ行かれるのですか?」
「ハミルトン領へ。」
「そうですか、ハミルトン領へ。……??…って!ハミルトン領へですか?」
「貧乏男爵令嬢は従女になりたい」をお読みいただき
ありがとうございます♪
作者のぎゆりです ٩( 'ω' )و
暑いです!毎日暑いです!
もう夏ですよ…あっという間に夏。
最近、我が家の冷凍庫には
アイスが沢山入っております。
前はスーパーカップ派だったのですが
最近は爽の良さにも気づいてしまいました。




