第六章 分担(3)
自分の部屋のパソコンの前で、マウスを使ってフォルダの中にあるファイルをクリックした。
上にはすでに第四版となっていることが記されていて、同時に最後に更新した日付も残されている。
少し下へスクロールすると、びっしりと詰まった文字が目に飛び込んできた。しばらくしてようやく文書の一番下まで辿り着くと、その一部は俺自身が実験してまとめた創作技法で、もう一部はロアン兄と話し合った議題の内容だった。
当初、俺はロアン兄と創作について議論した後、チャットルームから俺たちが話した内容や創作方法、そしてロアン兄がどのような方法で考えを発展させていたのかを整理した。
当時、俺は執筆方法を教える本もいくつか読んでいたため、こうした議論の内容から、自分が本の内容から得た考え方も見て取ることができた。
こうした重要な知識や技法を忘れてしまうのが心配だったので、俺はわざわざ一日か二日ほど時間を割き、チャットの記録をコピーしたり、改めて打ち込んだりして、整理するためのものとしてまとめた。
それから、各執筆本の要点もきちんと要約し、それをもとに実際に練習に使える方法について考えた。これらもすべて文書に記録している。
これが──逐夜創作ノートだ。
第一版を完成させた後、俺とロアン兄との議論や交流を記念するため、そしてその中の一部の知識が、俺とロアン兄の議論があったからこそ生まれた考えだったため、その時の整理が終わった後、俺はファイルのコピーをロアン兄に記念として送った。
それから、新しい考えや気づきがあるたびに、俺は文書の一番上から続きを書いていくようになった。
何しろ、毎回書くたびに一番下まで移動しなければならないのは少し面倒だし、最新の研究を一番上に置いておけば、ファイルを開いた時にすぐ資料を確認できるので、ずっと便利だと言える。
冬休みの時、俺は自分にとって初めて、完全に構成のコントロールに沿って書き上げた恋愛作品を完成させた後、さまざまな反省と新しく学んだ技法や知識を創作ノートに更新した。そして最近になって、また実践を通して新しい知識と気づきを得たので、今日はそれらを更新した。
この作業を終えた後、俺は文書の版を第五版に変更し、別名で保存して、最後にクラウドへバックアップを取った。
毎回この作業を終えると頭が少し疲れてしまうものの、それでも俺はとても重要な作業だと思っているし、自分が成長してきた軌跡をより具体的に記録することもできる。
多少は創作日誌を書いたこともあるし、インターネット上で初歩的な執筆方法を教える記事を公開したこともあるが、いくつかの発展的な知識や技法については、公開した後に一部の人に勝手に持ち出され、めちゃくちゃに使われてしまう可能性を考え、さらにそれは自分が苦労して得た研究成果でもあるので、俺はこれらの内容を公開するつもりはなく、自分で慎重に整理して保存している。
もう一歩前へ進みたいのなら、自分で努力すればいい──俺自身もまだ、この終わりのない成長の道の途中にいるけれど、インターネットで公開している初歩的な執筆方法を通して、人にそんな気持ちを生み出してもらい、他人が自分自身を成長させるきっかけになればと思っている。
どうにかして自分を強くする方法を考えること、そのこと自体も一種の修行だ。
ファイルを閉じた後、俺は別の二つの文書ファイルを開いた。それは、俺が今執筆している新作の恋愛物語の本文とプロットだった。
俺はプロットのファイルを、現在本文を書いているところまで下へスクロールし、それから本文のファイルも最新の進捗まで移動させた。
しかし、この準備作業を終えた後、俺は何を書けばいいのか分からなくなった。
その理由は、前回書いた重い展開の段落を眺めているうちに、湖櫻先輩のことを思い出したからだ。
ウォーターパークへ行った翌週、授業では、湖櫻先輩はいつも通り俺に接し、休み時間には面白いことを言い、俺たちは一緒に授業を頑張り、グループ発表について話し合った。そして俺自身も以前と同じように彼女に接していたのだが、しかし……
俺はどうしても勝手に考えてしまう。彼女は無理をしているんじゃないか……?
彼女にとって、俺と関係を断つことと、今と同じように現状を維持すること、一体どちらのほうが気持ちが楽なのか分からない。
けれど、そんなことを考えても、今の俺にはこのことを彼女に尋ねることができない……もうしばらく時間を置いて、時機が熟してからでなければ、勇気を出して聞くことはできないのかもしれない。
俺の立場からすれば、俺は先輩とこれからも付き合っていきたい。彼女は俺にとって大切な友達だから……たとえ恋人になれなくても、俺たちの間にはたくさんの大切な思い出がある。俺はこの人との関係を大切にしたい。
そんなことを考えているうちに、俺は思わずベッドに横になった。頭の中を占拠するさまざまな思いに、俺は途方に暮れていた。
俺がため息をつこうとしたその時、ベッド脇の本棚に置いてあったスマートフォンが振動した。俺は身体を起こし、胡坐をかいて新しいメッセージを確認した。
『まだ頑張ってるの? そろそろ寝るよ?』
チャットには、恋人からの優しいメッセージが届いていて、俺は一瞬で口元の力が抜けた。
『電話してもいい?』
俺が入力して送信すると、メッセージは既読に変わり、「OK」のスタンプが返ってきた。
そこで俺は音声通話のボタンをタップし、電話をかけると、通信アプリ特有の効果音が鳴り響いた。
すぐに、耳元に彼女の澄んだ心地よい声が響いた。
『おやすみ、もう寝るの?』
通話を繋ぐたび、彼女の声を聞いた瞬間、俺の心臓がまるで一拍飛んだように感じる。俺はこの高揚感と幸福をじっくり味わい、二、三秒経ってから言った。
「愛してる、端月……愛してる。」
自分がこの言葉を口にする甘さを感じていると、言い終わった後、向こうから少し震えた呼吸の音が伝わってきた。それから、気流がそっとマイクを叩くような音がした。
『……最近ずっとこうだから、電話に出るたびにびっくりしちゃう。うん……愛してる、逐幸。あなたが一番好き。私のこと、考えてくれてた……?』
さっきまで湖櫻先輩のことをいろいろ考えていたのに、端月の声を聞いた瞬間、頭の中には彼女一人しかいなくなった。彼女に伝えたいことがたくさんあって、彼女を笑わせたくて、彼女に甘えてほしかった。そんな想いを言葉に込めて、俺はこう答えた。
「会いたい、会いたい……君に会いたい、すごく会いたい。君の声が恋しい、君が見せる表情も……君の綺麗な姿も……それに、君の魅力的な身体も。今すぐ君を抱き締めたい。」
それを聞いた端月は、しばらく声を出さなかった。そして数秒の沈黙の後──
『あなたって、どうして相変わらずこんなにスケベなの……? スケベ、スケベ逐幸……でも、あなたが私をすごく想ってくれてるのは伝わったよ。私も本当に会いたい。』
「でも、二回もスケベって言ったよね。俺、すごく傷ついた……お願い、慰めてよ。」俺はわざと拗ねたような声を出した。
『逐幸、最初にあなたも二回言ったじゃない……? もう……愛してる、すごく愛してる……あなたは?』
この、あるようでないような暗示を聞いて、俺は甘く微笑んでから言った。
「端月、愛してる。」俺は速度を落とし、感情を込めてもう一度言った。「端月……愛してる。」
今、端月がどんな表情をしているのか分からない。実際に確かめたくて仕方がなかった……
『どうしてまた一回増えたの……? ん──?』
そして今の彼女は、温かく、少し語尾を上げた声で、恥ずかしそうに俺へ尋ねてきた。俺はまた甘い気持ちを感じた。
「だって、試してみたかったんだ……名前を先に言ってから内容を言うのと、内容を先に言ってから名前を言うのと、どっちのほうが君をドキドキさせるのか……君はどう思う?」
端月は柔らかな笑い声を漏らした。そしてどうやらスマートフォンを持つ手を変えたようで、それから答えた。
『それなら……まずは試してみようよ。あなたが三ヶ月続けてくれたら、その時に私が答えを教えてあげる。どう?』
「俺は問題ないけど、どうして三ヶ月なの?」
『三ヶ月後は夏休みだから……私たちが一緒に過ごす最初の夏休み。それから──労働者の試用期間は普通三ヶ月だから、その時になったら、あなたを正式に採用するかどうか決めるの。』
「知識を補足してくれてありがとう。それじゃあ──俺は繫家の正式な一員になりたいので、どうぞよろしくお願いします。」
『まあ、口が上手いんだから……慎重に考えて、その時にはちゃんと対応するね。』
「終わった……振られることになりそうだ。じゃあ、次の求人を早めに考えておいたほうがいいのかな。」
『ダメ……あなたは私のもの。変なことを考えちゃダメだよ。』
端月はそう言い終えると、何かを思い出したように言った。
『そうだ、夏休みになったら、一日逐幸の家に遊びに行きたいんだ。あ……これは、私たちがあのことをしていいって意味じゃないからね? 私の家にあなたばかり行ったのは不公平だから、私もあなたの家に遊びに行って、ついでにあなたの部屋を見てみたいの。』
え? 端月が俺の家に来たいのか……?
俺は考え込んだ。
俺個人としては、端月が家に遊びに来てくれるのは大歓迎だ。けれど、うちの家は比較的保守的で、悪く言えば、両親はどちらも人付き合いが得意なタイプではない。普段はせいぜい親戚を招くくらいで、両親の友人が家に遊びに来ているところを、俺はほとんど見たことがない。
以前、友達を家に招いて遊びたいと思ったこともあったが、母さんはいつも反対して、家ではもてなせないからと言って断っていた。
正直に言えば、自分の友達を気軽に家へ招いて遊べる人が羨ましかった。
けれど、結局のところ、どれだけ端月を招きたいと思っていても、まずは家の中で一番大きな権限を持っている人、つまり母さんの意見を聞かなければならない。
父さんについては、夏休みに家へ帰ってくるのかどうか分からない。弟については、あいつは最後の週になってようやく顔を出しに帰ってくるはずだが、実際にどうなるかは分からない。
俺は頭の中で一通り考え、端月に正直に話した。俺自身はとても歓迎しているけれど、それでも先に母さんの意見を聞いてみなければならない、と。
それに対して、端月は同意するような声を出した。
『うん、分かった。もしダメだったら無理しなくてもいいからね。逐幸を困らせたくないから。』
「うん、ありがとう……」
俺の胸に、また甘い気持ちが込み上げてきた。
「……愛してる、端月。」
思わず、またこの言葉を口にした。
端月は笑い、とても楽しそうな声で言った。
『どうしてまた言うのよ……本当に可愛いんだから。』
その言葉を聞いて、俺の憂慮もそれによってかなり和らいだように感じた。
そこで、俺は密かに作戦を開始した。
まずは時間がある時に、自然を装って母さんに「俺、彼女ができた」と言う。
母さんはその場で眉をひそめ、どう考えていいのか分からないような表情を浮かべ、それから「いつのことなの」と尋ねてきた。
俺は「去年の九月」と答えると、母さんは冷たく「じゃあ、どうして今まで言わなかったの」と聞いてきた。
俺はあらかじめ考えておいた理由を持ち出し、「数ヶ月経ったら別れるかもしれないと思って、確信が持てなかったから」と言った。そんなことを言うのは端月に申し訳ない気がしたものの、母さんにはそう答えるしかなかった。
その後、母さんは頷いてから「それで?」と聞いてきたので、俺は「何でもない。ただ伝えておこうと思っただけ」と言って話を終わらせた。
最初から夏休みに彼女が家に来たいと言えば、母さんはきっと「いきなりすぎる」とか、「自分を尊重していない」と文句を言うだろう。だから第一段階の最優先目標は、この情報を少しだけ伝えておくことだった。
そして期末試験が終わった週、夏休みを迎えようとしていた俺は、第二段階を開始した。
まず母さんが仕事に出かけている隙に、母さんの実際のスケジュール帳を確認した。そこには母さんの今月と来月の勤務予定が記されている。
俺は七月中旬の、母さんに勤務予定が入っている日を一日選び、端月にもその日で問題ないことを確認した。
数日後、俺は母さんの部屋の前まで行き、七月のその日に彼女がちょうど暇なので家に遊びに来たいと思っていて、俺が自分で彼女をもてなすつもりだと伝えた。
もともとテレビドラマを見ていた母さんは動画を一時停止し、俺が事前に確認していたスケジュール帳を取り出してから、こう言った。
「その日ね。いいよ、問題ない。」
俺は心の中で拳を握り、勝利のポーズを決めた。ところが、母さんの続く言葉に、俺はその場で固まった。
「同僚と勤務を交代してもらったから、その日はちょうど休みなの。私が直接もてなして、ついでにどんな子なのか見てみるわ。」
俺は全身に冷気を感じたような感覚に襲われた。アニメやゲームのCGにするなら、たぶん画面全体が暗いネガフィルムのような色に反転する場面だ。
本当は別の日に変更したかったが、急に予定を変えてほしいと言うのも不自然だったので、俺はその言葉を飲み込み、母さんに言った。
「分かった。その日は問題ないって、彼女に伝えるよ。」
そう言ってから、俺は少しよろめきながら部屋へ戻り、端月にこの知らせと、母さんが自分で彼女をもてなしてくれることを伝えた。
『うん、私も会ってみたい。それじゃあ、その日に決まりだね。』
恋人の言葉を聞いて、俺は不安になった。母さんには、彼女を傷つけるようなことをしてほしくない……どんな形であっても、彼女には傷ついてほしくない。
何かが起きたら、俺は必ず真っ先に立ち上がって、彼女を守らなければならない。
──俺は心の中で、そう決意した。




