第六章 分担(1)
そして、俺たちはある駅で降り、幹線道路に沿って歩道を歩いていた。
俺はスマートフォンを手に持って地図アプリの案内ルートを確認しながら、端月の手を握っていた。
もともと駅を出たときは、空はまだ夕暮れ時に溶け込むような少し黄みがかった淡い青色をしていたが、歩いているうちに、いつの間にか暗くなっていた。
俺たちは人が明らかに集中している場所へとやって来た。
そこはおそらく二、三車線ほどで構成された幅の広い道路で、左右両側と中央には屋台が平行に並んでおり、通りの交差点には左右二本の柱がそびえ立つ看板まで設置されていて、この観光スポットのランドマークであり象徴と言ってもよかった。
「お腹空いた? 先に少し買おうか」
俺は周囲の雑音を少しだけ上回る声量で端月に優しく言うと、彼女は控えめに頷き、「うん」と返した。
「逐幸……ここにはよく来るの?」
俺たちがこの賑やかな通りへ足を踏み入れると、端月の声は大きくなかったが、俺はもう彼女の声色に慣れていたため、かすかに聞き分けることができた。
「うん、ああ、夜市のこと? いや、いや、こういう場所に一人で来るのはさすがにちょっと寂しいし、取材のためでもない限りは来ないよ」
それを聞いた端月は笑い、俺にぶつかりながら言った。
「それって、一人で来たことがあるって意味じゃない?」
おっしゃる通りです……さすが俺の明察秋毫の恋人だ。
俺たちは手を繋いだまま、人混みの隙間を縫うように前へ進み、興味のある食べ物がないか物色しながら答えた。
「小さい頃に家族全員で来たことはあるんだけど、そのときは両親が何も買わせてくれなくて……だから、その後ある日に一人でぶらぶらしに来たんだ。ただ……やっぱり好きな女の子と一緒に来たいって思うよな」
「……私が最初?」
端月はわざと隣にあるベビーカステラの焼き台へ視線を向け、俺の手を引いた。
「うん、最後の一人でもあってほしい」
彼女が俺を見ていなかったからこそ、俺は勇気を出してそんなことを言えた。
この夜市は近隣で一番大きな夜市で、様々な飲み物、豆花、焼き肉串、フライドポテト串、焼きイカ、焼きソーセージ、たこ焼きなどが売られていて、見たことのあるものもないものも含めて、軽食なら大抵ここで見つけられるはずだった。
「何が食べたい?」
俺がそう尋ねると、端月はわざと俺を無視しているのか、それともまだ怒っている最中なのか、返事はなかった。
俺たちはそのまま前へ進み、そんなとき、ある屋台へ差しかかった──
「大きいのを二つください。一つはプレーンで、もう一つは塩味で」
俺は端月を掴んで立ち止まらせ、たこ焼き器の前に立っていた女将さんに言った。
数分後、女将さんはたこ焼き二人前と竹串が入った袋を俺に渡し、俺も彼女にお金を渡した。
その後、俺たちは再び前へ進んだ。
「焼きイカを一本ください。辛くしなくていいです」
「イカ団子を二人前、それから中サイズの塩酥鶏を一人前ください」
「小さい豆花を二つ、ミックスで作ってください。冷たいので」
「焼きソーセージを二本、一つは少し辛めで、もう一つは辛くしないでください」
道中、俺はそれぞれの屋台で立ち止まり、一つずつ注文しては新しい食べ物を受け取っていき、臭豆腐の屋台まで来たところで、端月は思わず眉をひそめて俺に言った。
「逐幸、なんで一人でずっと買ってるの? これ、食べきれなくならない?」
「泳いだあとでお腹がすごく空いてるのに、何が食べたいか俺に教えてくれない人がいるからだよ。だから仕方なく、端月が好きなものを先に一通り買ってるんだ……えっと、まだいくつか買うものがあるはずだから、あとでまた先に進もうか」
俺はそう言い終えると、振り返って臭豆腐屋の店主に一人前注文し、さらにソースを多めに塗ってもらうよう頼んだ。
「うん……ずるいよ。逐幸」
端月は不満そうな声を出し、俺の手にすでにいっぱいになっていた食べ物の入ったビニール袋を奪い取ると、憤然と立ち去っていった……向かいのドーナツ店で一つ注文し、注文を終えると俺のところへ戻ってきて言った。
「もう十分だからね。仕返しに、私も一つ買ってあげたよ。もう買っちゃダメだからね?」
端月は抗議するように念を押し、俺は思わず笑ってしまった。
そして、たくさんのビニール袋の持ち手にほとんど覆われた指で、肌が露出している部分を使って彼女の手に触れた。
端月は表情を強張らせ、顔を背けたあと、彼女も手で俺に触れた。
買い物を終えると、俺たちは夜市のそばにある河川敷公園へ行き、砂利でできたベンチに座った。
ビニール袋の口を開くと、様々な食べ物の香りが次々と立ち上ってきた。
その蒸気によって頬が温かく感じられた。
「何から食べたい?」
「……」
端月は答えず、ビニール袋の中からイカ団子の入った紙袋を取り出した。
俺はそっと彼女の手を握り、紙袋を彼女の手から取り上げた。
続けて、イカ団子が三つ刺さった竹串を一本取り出し、横向きにして端月の左側へ寄せた。
「……自分で食べられるよ」
そう言って端月が俺の持っている紙袋へ手を伸ばすと、俺はすぐに遠ざけ、彼女の手を空振りさせた。
「ダメ、俺が食べさせたい」
「どうして? 前に何か悪いことをしたから、それで今、埋め合わせをしたいの──?」
端月は真剣な視線で俺を見つめ、その青みがかった瞳はとても美しかった。
「違うよ。ただ、端月が食べてる姿が可愛くて……だから食べさせたいんだ。大人しく俺に食べさせてくれない……? 俺は、そんなに端月に食べさせたいんだ」
「……いいよ──ん……!」
端月が承諾した瞬間、俺は最初に買ったものだったため、すでに少し冷めていたイカ団子の端を彼女の口の中へ入れた。
端月はその瞳で俺を睨んだが、俺は彼女の姿を見ていると、心まで一緒に溶けていくように感じた。
まだ怒っているのに、本当に可愛い……
おそらく俺が自分の顔の筋肉をまったく制御できず、恥ずかしくて陶酔したような表情を浮かべているのを見たせいで、端月が俺を睨んで放っていた厳しい視線は、たちまち消えていった。
その代わり、彼女は小さくイカ団子の端を噛み、少し俯きながら咀嚼した。
やっぱりこういうときには、なんだか癒やされる感覚がある……ただ、さっきの俺があまりにも焦りすぎていたことは分かっているから、もしあとで彼女がまだ気にしているようなら謝ろう。
しばらくして、彼女が咀嚼を終え、すでに食べ物を喉へ飲み込んだようだったので、俺は再び彼女へイカ団子を差し出した。
そして、彼女が口に入れやすいように、向きも先ほど噛んだ切れ目の上の位置へと調整した。
こうして、一つのイカ団子の端を三回に分けて噛み、咀嚼し終えると、端月は少し口を大きく開け、すでにいくつもの欠けた部分があるイカ団子を噛んだ。
俺は竹串を右へ引き、上にあるイカ団子を彼女が丸ごと噛み取れるようにした。
端月は目を上向きにして俺を見つめ、こんなことだけでも俺には甘い気持ちが込み上げてきた。
俺は真ん中のイカ団子を何回かに分けて食べ、それから竹串に残った最後の一つを端月に食べさせようとした。
そのとき、端月が口を開いた。
「口で上まで移動させてくれたほうが、私、噛みやすい」
なぜか、その言葉は少し勢いのある命令口調だった。
俺は彼女と目を合わせ、端月の本当の意図を確認した。
俺は底の部分に最後の一つだけが刺さっている串を遠ざけ、油で光る端月の唇へ口づけをした。
……ん、ん──ん……んっ────……
俺の口の中に揚げ物の味が広がり、柔らかな唇の感触が俺の脳を刺激した。
端月の瞳には恥じらいが浮かび、震えながら息を吐いていた。
「──いつ、キスしていいって言ったの……?」
この少し長いキスが終わると、端月は俺を睨んで抗議したが、唇と口の中が生み出した甘い味わいに、俺は思わずまた笑ってしまい、自分のものではないかのような頬が、嬉しくて仕方なかった。
「ごめん、ただ確認したかったんだ……俺が一体どれくらい端月のことを好きなのか……」
「……それで、どうだったの、スケベ……?」
怒っているのか、それとも恥ずかしがっているのか、彼女の呼吸は依然として少し荒かった。
「やっぱり……俺、端月のことが大好きだ──もう、何回か……確認してもいい?」
俺がそう懇願すると、今度は俺から直接行動に移すことはせず、制御できずに絶えず震える唇で、彼女の答えを尋ねた。
端月は俺の表情を見つめ、それから言った。
「まずは食べ物を全部食べよう……そのあとは、あなたの態度を見て、あなたが私に何を言いたいのかを見てからね。私が満足できなかったら、一度だって続きをさせてあげないから」
今の俺が彼女を怒らせてしまっていても、それでも彼女は俺に説明する機会を与えてくれた。
そして俺の頭の中では、もし俺の説明を彼女に受け入れてもらい、今回の試練を無事に乗り越えられたら、そのあとどれくらい彼女にキスを続けられるのかまで考え始めていた。
でも、端月の言う通りだ。
やっぱり先に食べ物を全部食べよう。
冷めてしまったら美味しくなくなる。
こうして俺たちは、ときどき互いに食べさせ合い、ときどき自分で自分に食べさせた。
食べ物をすべて食べ終えると、端月は竹串についた食べ物の残りを舐め、それを俺に渡して、ゴミ箱へ捨てるために用意していた紙袋へ入れるよう促した。
俺は思わず彼女が舐めた部分を口の中へ入れ、しばらく咥えたあと、離してからもう何度か舐めた。
彼女が恥ずかしそうにしながらも、わざと見ていられないというような表情を浮かべるまで、俺はそうしていた。
それから俺は名残惜しそうにその竹串を紙袋へ入れ、さらに大きめのビニール袋にまとめて入れた。
「変態……」
「……その通りだよ」
俺は少し離れたところまで歩き、ビニール袋の一式をゴミ箱へ捨て、手についた食べ物の欠片を払い落とした。




