第四章 暴走(3)
たとえこの出来事から二年が経っていたとしても、あれは俺が自分から進んで介入した数少ない事件だったため、当時の記憶は今でも深く俺の脳裏に刻み込まれている。
だが、今こうして端月と向き合っていても、俺には何を言えばいいのか分からなかった。
その時──彼女はもう片方の手を伸ばし、両手で俺の右手を包み込んだ。
恋人の温もりが肌を通して伝わってくる。
青藍色の瞳には、奥深く、もっと深く近づきたくなるような光が浮かび、彼女は愛おしさを誘う声で口を開いた。
「もともと私は、あなたのことが少し好きだったの。高校二年生に上がってから、私にも感じられたの……あなたも、また少しだけ私のことを好きになってくれたって──そして、このことに加えて、その後にもう一つあったことが、私に決心させたの」
「決心……?」
俺は少し呆けたような声を漏らした。端月は頷いて、言った。
「うん。あの時の雰囲気じゃ、私はあなたに自分の気持ちを伝えられなかったの。私、本当は少し絶望してた。卒業したらもう会えなくなって、このまま諦めてしまって、悲しい思いをするんじゃないかって……
だから、あなたが先生に日和教育学院を受験するって話していたことを後から知って、ちょうど私もその学校に行きたいと思っていたから、もし二人とも合格できたら、どんなにいいだろうって思ったの。
もし本当にこれが叶ったら、私は大学の入学初日にあなたに告白しようって決めたの。『あなたのことが好きです。私たち、恋人になりませんか……』って伝えようって。ほら──私、ちゃんと約束を果たしたでしょう……?」
端月の瞳には、まるでサファイアのような穏やかな光が浮かび、彼女の唇は海の上で羽ばたきながら飛ぶカモメのように揺らめき、自由になった喜びを覗かせながら、同時にほんのりとした恥じらいを帯びていた。
「……」
一瞬、俺は何も言葉にできなかった。
俺は思わず優しく、彼女が握っていた俺の手を解き、それから──自分の両腕で彼女を強く抱きしめた。
ようやく──俺は声を出すことができた。
「端月、俺は君が好きだ……君が一番好きだ……」
俺の腕の中にいる端月は、突然強く抱きしめられたことで最初は少し身体を強張らせていたが、次第に力が抜けていくのが感じられ、そして彼女も自分の手を伸ばして俺の身体を抱きしめた。
「うん。私もあなたが好き、逐幸。私、あなたが一番好き……ありがとう……」
その言葉の最後で、端月は俺を抱きしめる力をさらに強めた。
俺たちは互いに身体を密着させたまま、しばらくの間そうしていた。
しかし、それだけでは、俺の心の中で止めどなく渦巻いている愛情を表現するには、まだ足りなかった。
俺は両手を引き戻し、彼女の横髪を優しく後ろへ撫でつけて整えた。
続いて、そこから空いた彼女の両肩を押さえ、互いの鼻先から漏れる息を感じたその瞬間、前へと身を寄せて彼女の唇に触れた。
──ん……んん!ん──ん、んん──!……ん──んは………ん……ちゅ──ん!──ん──!んっ──……んは、はん!……ん────ん──…………
俺たちは激しく互いを求め合った。
けれど、こんなやり取りをしても、俺の彼女への想いを完全に伝えることは難しかった。
そのことに俺はどうしようもなく焦燥を感じ、より激しく、彼女の唇、舌、そして口の中へと親密に触れていった。
刺激された端月も自分の意思で、美しい唇と艶めかしい舌先、そして舌の面を使って俺の愛情に応えた。
俺の腕は、先ほどまで彼女の肩を押さえていた状態から、再び彼女を強く抱きしめる形へと戻った。
その後も、俺は彼女の肩、頬、腰へと何度も触れ、彼女が今、自分の目の前にいることを確かめた。
俺たちはまるで、自分のすべてを相手に伝えようとしているかのように──息を完全に整える暇も惜しんで、再び互いの唇へと近づいた。
俺は彼女が大好きだ。
彼女にもっと触れたい。
それだけでは、到底満たされない──
彼女は本当に可愛い。
こんなに可愛い女の子が、本当に俺の恋人なのだろうか?
俺は不思議に思い、だからこそ、さらに彼女へ近づきたくなり、もっと彼女と親密になりたくなった。
全身が熱くなり、頭はまるでサウナに浸かっているように熱く、ぼんやりとしてきた。
けれど、恋人の身体に触れることで生まれる喜びと快感は、それほどまでに現実のものだった。
俺は彼女を強く抱きしめ、その存在を感じていた。
そしてその時、これまでずっと俺が抑え込んでいた自分自身が、ついに制御から外れた。
彼女を抱きしめている時、俺はもともと右手で彼女の右肩を押さえていたが、やがて……昂ぶった衝動に突き動かされ、とうとう右手を伸ばして触れ、そして電流が走るような快感に促されるまま……彼女の胸元にある豊かな果実を掴んだ。
その瞬間、女性用の下着が持つ、硬さがありながらも弾力があり、柔らかな殻のようでもある感触を感じた。そして揉みしだく過程で、力を受けて変形した素材の下に、さらに柔らかく、弾力のあるものが包まれているのを感じ取ることができた。
この未知の感触によって、俺の脳はまるで電流が走ったかのような快感を感じた。俺はさらに力を込めて端月にキスをしたが、その時には下半身のある部分が、苦しくて今にも気を失いそうになるほど硬くそそり立っていた。
反対側の感触も確かめたくなり、俺はもう片方の手を伸ばして、彼女の左側の柔らかなものを捉えようとした。
しかし──その時、端月のキスが少しずつ離れていった。
俺は焦ってもう一度近づこうとしたが、彼女は首を後ろへ引き、まるで俺の親密な触れ合いから距離を取るかのようだった。
俺はこの感覚が怖かった──思わず、もう一度彼女に近づこうとした。
すると、端月はそれまで俺を抱いていた手を、俺の肩へ置く形に変えた。
俺は突然、彼女はただ姿勢を調整したいだけなのだと理解し、すぐに安堵した。
しかし、俺が彼女にさらに近づき、その唇にキスを続けようとしたところ、端月の両手がまるで壁のように俺を阻み、彼女自身も身体を後ろへ移動させ、自分の胸元を俺の手のひらから離した。
彼女の動きに俺は焦燥感でいっぱいになり、甘えるような口調で彼女に言うしかなかった。
「端月……俺、今、君を愛したくてたまらない……どうしようもないくらい……君に触れたい……俺、本当に君が大好きなんだ……」
俺は思わず息を漏らし、口の中の唾液を飲み込んだ後、続けて言った。
「俺、今すぐ君をちゃんと愛したい……君の身体の中に入りたい……君の身体に触れたい……俺、したいんだ……君と一つになりたい……端月──いいか……? お願いしたいんだ……俺を君の身体に、君の中に入れて、それから、君の身体の中で、ちゃんと君を愛したい……いいだろ──? なあ──お願いだから……?」
俺は夢中になってそれだけを言い終えると、もう一方では、自分の言葉が十分に伝わっていなかったのか、それとも焦りすぎて彼女に理解してもらえなかったのかと、黙って考えていた。
それでも俺は焦りを感じていて、もう一度伝えようとしたその時、端月が答えた──
「ごめんなさい……逐幸……」
端月は俯き、拒絶の声を漏らした。その声を聞いた瞬間、俺はまるで巨大な氷山にぶつかったような感覚に陥り、端月という存在そのものまで、突然見知らぬ人になってしまったように感じた。
「もし何か起こるのが心配なら……俺、ちゃんとあれを用意してある……! だから、いいだろ──? 俺、本当に、君が欲しい……自分の全身で、君をちゃんと愛したいんだ……俺のこと、拒まないでくれないか……?
なあ──端月……なあ──俺に君を愛させてくれないか……? それとも、俺の気持ちが伝わってないのか? だから、こんなふうに俺を試しているのか……? ほら……俺の身体、もうこんなになってるだろ? 俺、本当に、君と一つになりたい。俺は──もっと繫 端月に近づきたい、もっと君と一緒にいたい。頼むから、一度だけ俺に機会をくれないか……?」
そう言い終えると、俺は上半身を再び近づけたが、端月は俺を拒むために使っている腕を下ろさなかった。
彼女は顔を上げ、まず唇をきゅっと結んだ。まるで何かとても苦いものを飲み込んだかのように。そして口を開き、とても弱々しい声で言った。
「ごめんなさい、私……まだ、準備ができてないの……」
「で、でも、俺はもう準備してある。俺たちが使うものも用意してあるんだ……君は心配しなくていい」
俺は彼女を説得し、受け入れてもらおうとした。しかし、端月はそれでも首を横に振り、数秒後、答えた。
「違うの……それの問題じゃない……逐幸の鞄の中に……いつも、あれをちゃんと用意してあることは知ってる……でも、私自身が、まだ……そのことをする心の準備ができてないの……ごめんなさい……」
俺は思わず顔をしかめた。自分が聞いたものが、いつものような冗談であってほしいと思った。しかし、端月の表情には何の変化もなかった。それは、彼女が自分の考えを確かに俺へ伝えたことを意味していた。
俺は何かに挫折したような感覚を覚え……そして次第に、羞恥心も抱くようになった。だが今の俺には、この先どうすればいいのかも分からなかった。
さっきまで掌の中で感じていた、あの柔らかく弾力のある感触は、今ではもうずっと遠くに離れてしまっていた。
そして、先ほどまで腕の中と口の中で、二人が重なり合うことで共に作り上げていた温度と情熱も、今ではすっかり消え去っていた……
ただ、男性特有の部分だけは依然として高くそそり立ち、俺に厄介で硬い痛みをもたらし、心を刺激し続けていた。
俺と端月の間には、まるで一枚の壁ができてしまったようだった。近づきたいのに、もしその境界を壊してしまえば、彼女が俺から遠ざかってしまうのではないかと怖かった。
最終的に──俺は俯いた。
しばらくして、この静かすぎて震えそうになる空間の中で、俺は情けなく「ごめん、ちょっと顔を洗ってから戻ってくる」と一言だけ告げ、それから逃げるように端月の部屋を出た。
さっきまで二人の温かな小さな巣のように感じていた空間は、今ではすべてが凍りついた冷凍庫のようで、俺の身体を恐怖と自責によって震わせた。
俺は洗面所へ行き、その中に閉じこもった。鏡に映る自分の情けない姿を見つめ、ため息をつこうとしたが、それすらできず、ただ力なく肩を落とした。
強く押しつけて割れてしまわないように気をつけながら、俺は洗面台の縁を押さえ、呆然としていた。
硬く冷たい感触が、先ほど恋人と指先を絡めた時に残っていた体温を、一滴ずつ奪っていった。
自分がとても恥ずかしく思えるのに、恋人の胸に一度触れたことで、興奮も感じていた。
俺はそのまま、洗面所の中でしばらく過ごした。




