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第四章 暴走(2)

そう言って、端月(はづき)は本棚から一冊のハードカバーの卒業アルバムを取り出した。


俺もこんなものをどこにしまったのか、まったく分からなかった。以前、一時期はパソコンのモニターを高くするために使っていたのを覚えているが、その後、使い勝手が悪いと思い、ある片付けの際にどこかへ置いたのだ。


俺たちはベッドのそばに座り込んだが、床には毛足の長い絨毯が敷かれているため、寒さを感じることはなかった。


誰かと一緒に卒業アルバムを読むという感覚は、俺にとってとても馴染みのないものだった。一枚一枚の写真をめくっていくのは、まるで秘密のファイルを取り出しているようで、少し刺激的な気分になる。


もっとも、俺たちはあのクラスに対して大して良い印象を持っていなかったが、アルバムの中から二人の姿を探すのは、なかなか面白かった。


そういえば、俺は当時、端月の写真をすべて先にスマホで撮影してから、安心してアルバムをパソコンのモニターの下に置いたような気がする。その撮影した写真はすべてクラウドアルバムに保存してある。


しかし、こんな行動は変態と何も変わらない……やっぱり、このことは彼女に言わないでおこう。


俺たちは写真をめくりながら、他愛のない話を続けた。


しばらくして、俺たちが再びページをめくると、その後ろのページはすでに別のクラスの記念写真になっていた。


俺がこの後どうするのか尋ねようとしたその時、端月はページを前に戻し、自分の個人写真を撫でながら、静かな声で言った。


「高校の頃、私はよく一人で行動していたから、クラスの女子たち……それから、何人かの男子グループからも疎まれていたの。高校二年の一学期にはもうその兆候があって、二学期の受験勉強の頃になると、状況はさらにひどくなっていったみたい。


女子グループは、私が自分のことを頭がいいと思っていて、それで偉そうにしていると思っていたみたい。


それで、男子グループのほうは……何人かの人から、裏でいくつかの要求をされたりして……それから、私は彼らに合わせることができなくて、一方的に嫌われてしまったの」


彼女が言っている状況には、俺も覚えがあった。


あの女子グループの何人かが端月を見かけるたびに、彼女をあからさまに無視し始めたり、わざと彼女を皮肉るようなことを言ったりしていた。


男子グループについては、彼らは彼女に対して厳しい態度を取っていた。


端月はかなり婉曲に話しているが、彼女が言う、いわゆる彼らからの「いくつかの要求」には、「俺と付き合わないか」、「本当に人を見下しているのか」、「頼むから空気に合わせてくれないか」、「そんなに真面目にならず、もう少し気楽にしてくれ」などといった言葉が含まれていたはずだ。


当時のあのクラスは、いくつものグループに分かれていて、もし誰かがリーダー格の人間の意向に従わなければ、連絡アプリのクラスグループから追い出されることさえあった。


俺が知っているのは、俺自身がそのグループから追い出された当人だったからだ。


俺はただリーダー格の人間の不適切な行動を少し皮肉っただけなのに、そいつは冗談めかした顔をしながら、管理者としての立場を利用して、俺をそのままグループから追い出した。


もっとも、この一件がなかったとしても、その後のある出来事で、俺は誰かに直接グループから追い出されていただろう。


時には自分が悪いのではなく、心構えの歪んだ人間が権力を握り、それを利用して他人を迫害することがある。


そのことが、俺は心の底から嫌いだった。


その時、端月はさらに話を続けた。


そして、彼女が語った内容に、俺は驚きを覚えた。


「あの頃、彼らはほとんどいじめに変わりかけていたの……でも、最後にはそういう状況にはならなくて、私は無事に卒業することができた。それも全部、私を助けてくれた人のおかげで──」


端月は俺の手を握った。


俺は思わず彼女を見つめ、目を見開いた──


「……彼らを止めてくれてありがとう。私のために立ち上がって、私の代わりに話してくれて……だから私、今の私がこうして無事でいられて、こうやって二人で一緒にいられるの。ありがとう、逐幸(つぐゆき)。私ね──あなたのことが一番大好き」


端月の温かな笑顔によって、俺の身体は一瞬にして石になった。


何かを言おうとしても、身体が動かなかった。


さっきお茶を飲んだばかりなのに、喉がひどく乾いているように感じる。


ようやく、俺の口から硬い言葉がこぼれた……。


「君は……いつ知ったんだ?」


「君は何を言っているんだ」と誤魔化そうとしても無駄なようだったので、俺は別の質問に変えた。


端月は身体を俺に寄せ、静かに言った。


「あの事件の二日後、クラスにいた中立的な立場の女子が一人……個別メッセージで教えてくれたの。


『あなたには知る権利があるから、伝えることにした』って」


そういうことだったのか……なんだか、とても恥ずかしい。


もっとも、もう過ぎ去ったことだと思っていたのに、まさか再び掘り返されるとは思わず、俺は複雑な気持ちになった。


あの時、あの出来事はこうだった──


クラスの自習時間、俺が練習問題を解いていると、何人かの男子がある席の周りに集まって騒いでいるのが聞こえてきた。


数分後、彼らが全員散っていくのを待ってから、苛立っていた俺は自分の雑巾を持ち、外の水道へ行って水で濡らした。


それから、彼らが先ほど輪になって囲んでいた席へ行き、しゃがみ込んで、濡らした雑巾で木製の椅子の座面を拭いた。


その上には厚い透明な発泡スチロール用接着剤が一面に付着していた……そして、この席の持ち主は、ちょうどクラス委員の集まりがあったため、席を離れていた。


俺はまず雑巾で一番上の層を拭き取り、それから再び水道へ戻って雑巾をきれいに洗った。


俺がもう一度その席へ戻ると、先ほど騒いでいた男子たちが集まってきて、不機嫌そうな顔を俺に向けた。


「お前、今何やってるんだ? 人の席を勝手に触るなよ」


俺はそれ以上返事をせず、その男の横をすり抜け、それから素早く椅子の座面に残っていた接着剤をきれいに拭き取った。


「俺が話してるんだぞ、お前、聞こえてないのか?」


誰かが俺の肩を掴み、少し痛みを感じた。


俺は顔を上げてその男を睨みつけ、冷たい口調で言った。


「お前たちこそ、人の席に何をしてるんだ?本人がいないからって、こんな悪戯をしていいのか?」


すると、そばにいた別の男子が大きな声で援護するように言った。


「俺たちはただ冗談をやってるだけだ。お前、わざわざ出てきて俺たちの邪魔をする必要があるのか?」


そいつはわざと大げさな様子で顔の筋肉を歪ませ、威嚇するような表情を作った。


しかし、その時の俺は、ただ見ているだけで苛立っていた。


「冗談?こんなことの何が面白いんだ?冗談をやりたいなら、お前たちが使った発泡スチロール用接着剤を俺に貸せ。それをお前たち全員の身体に塗りたくってやる。ただの冗談なんだろ?だったら、俺もこうやってお前たちと遊んでやるのは、当然筋の通ったことだよな?」


「チッ──! お前、調子に乗るなよ!今すぐどっかへ消えるなら、俺たちもお前を見逃して、卒業まで何事もなく過ごさせてやる。そうじゃなければ……今俺たちを敵に回して、何か得すると思うなよ。


それとも、お前、この女の彼氏なのか……?違うだろ?違うなら、とっとと遠くへ行けよ。ヒーロー気取りでしゃしゃり出てくるな」


「は?お前たちが今やっていることは、善悪の区別がつく人間なら、誰だってやってはいけないことだと分かる。違うのか?」


会話を続けることにひどく疲れていたが、それでも俺は自分の立場を伝えた。


しかし、相手は何かに気づいたような顔をして、俺に言い返そうとした。


「あ──分かった。お前、こいつに惚れてるから、この件を利用して自分を特別に見せようとしてるんだろ?ハッ、お前がこんなことをして、効果があると思ってるのか?クラスの端っこにいるゴミのくせに、クラスグループから追い出されただけじゃ足りなくて、今度は出てきて水をかき回すのか?」


そういうことか。


こいつが俺をグループから追い出した張本人だったのか……。


そう思った瞬間、俺の中の怒りはさらに深くなった。


しかし、これ以上騒ぎを起こしても良い結末にはならない。


もし彼らが手を出してきたら、さらに面倒なことになるし、教師を呼ばれたり、校則による処分を受けたりする可能性もある。


だから俺は、さっさとこの件を終わらせることにした。


「お前ら、いい加減にしろよ」


俺は冷え切った声で言った。


面倒くさい。


本当に面倒くさい──


こいつらは一体、なぜ他人を傷つけたがるんだ。


こんな人をいじめるゴミどもなんて、見たくもない。


俺の目の前から消えてくれないか?


俺の心が苛立てば苛立つほど、口から出る声はさらに冷たくなっていった。


俺はまるで自分自身の演技を見ているかのように、言葉を続けた。


「いいか、お前らクズども。さっきお前たちが騒ぎ始めた時から、俺はスマホで動画を撮っている。さっきの会話も含めて、音声も録音してある。これ以上騒ぎを起こさないほうがいい。ここでやめるなら、俺はこの動画を外部に漏らさないと約束する。


でも、お前たちがどうしても続けるというなら、学校の先生……それから、ああ、俺の叔父は警察官だから、叔父に協力してもらって被害届を出して対処してもらうこともできる。


その時は、この場にいるお前たち全員、誰一人として許さない。聞こえたか?さっさと引いたらどうだ──?」


その男子たちの中には、俺に怯えた表情を浮かべる者もいた。


しかし、動じない者もいた──あのリーダー格のクズだった。


「旭 逐幸(あさひ つぐゆき)……お前、そんなふうに俺たちを挑発して、俺たちの注意を引いただけだろ。これから俺たちに特別に目をつけられるのが怖くないのか?あ──?」


そいつは少し大きな声を出した。


もし中学生の頃の俺だったら、あるいは怖気づいていたかもしれない。


しかし、父さんが家を出ていってから、俺にはもう何も恐れるものはなかった。


「つまり、お前たちはいじめる対象を俺に移すことにしたってことか?それは残念だな……ハ、ハハ、ハハ──ハハハハハハ……!」


俺は笑い声を上げた。


しかし、心の中は驚くほど穏やかだった。


教室にいた全員は、もともと我関せずを決め込もうとしていた。


しかし、その笑い声によって、次々と俺へ視線を集めた。


しばらくして、俺の笑い声が止んだ。


こいつらはやっぱりゴミの集まりだ。


なぜ、お前たちはこんなふうに他人を脅すことができるんだ?


なぜ、お前たちは自分の悪意を好き放題にして、それを冗談のように扱いながら、他人の居場所を奪うことができるんだ?


俺は頭皮がぞわりとするのを感じながら、彼らを見下すように口角を上げた。


俺の頭の中に、自分が憎んできたすべてのものが浮かび上がった。


そして、完全に温度を失った声で言った。


「俺が何を怖がるっていうんだ……?今の俺は、死ぬことさえ怖くない。俺はお前たちと卒業までずっと遊んでやってもいい……どうせ俺の人生はもう完全に終わってるんだ。


お前たちみたいなクズどもとゲームを続けることなんて、まったく気にしない。でも、逆に考えてみろ。お前たちは、本当にこのまま遊び続けられるのか?


この件のせいで、お前たちのくだらない将来に汚点をつけることになっても……いいぞ──遊びたいなら最後まで付き合ってやる。俺たち、一緒に地獄へ落ちようぜ!」


どうやら俺の発言が死の気配に満ちていたためか、彼らの顔には怯むような表情が浮かんだ。


俺たちが通っている春風高校は有名な進学校で、多くの生徒は卒業後に海外へ留学したり、良い大学へ進学したりすることを望んでいる。


だから、在学中にうっかり問題を起こしてしまえば、後々の処理が難しくなる。


俺の立場からすれば、創作と、少数の向き合わなければならない人たちを除けば、自分の人生に一体何が残り、生き続ける価値があるのか、俺には本当に分からなかった。


この先まだ出世できると夢見ているこいつらとは違い、俺にはそれほど気にしなければならないものがなかった。


その男子たちは互いに顔を見合わせ、最後にリーダー格の男が舌打ちをし、何度か汚い言葉を吐き捨てたあと、引き下がっていった。


しかし、俺にとって、あいつらの言葉は野良犬が吠えているのと同じだった。


いや……野良犬のほうが、あいつらよりずっと可愛げがある。


俺は周囲を見回した。


教室にいた人たちは、俺と目が合うと、次々と視線を自分の机の上にある教材へ戻していった。


俺は心の中にある冷たい怒りを抑え込み、雑巾をもう一度洗った。


椅子全体と机の表面をきれいに拭き終えると、俺は自分の席へ戻った。


あいつらに因縁をつけられるのを避けるため、俺はさらに学校のネットワークを使って、先ほど撮影した証拠動画をクラウドへアップロードした。


これなら、後から別の手段で俺を脅してスマホのファイルを削除させようとしても、バックアップしたデータを残すことができる。


俺はそのまま警戒を強め、あいつらがまた何か小細工をしないように備えた。


そして、下校の鐘が鳴る前に、端月が教室へ戻ってきた。


彼女が無事に自分の席へ座るのを見届けると、俺は密かに息を吐き、肩の力を少し抜いた。


それから俺はペンを手に取り、プリントの余白に、何の役にも立たない数学の式を書き続けた。






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