第三章 連結(5)
休憩した後、俺たちは一階の自由に水遊びができるエリアに戻って、もうしばらく遊んだ。そうしてようやく疲れた身体をシャワーで流し、元の服に着替えた。
そして、端月の美しい黒い長髪を乾かすとなると、おそらくかなり長い時間がかかるだろうから、彼女はどうせなら家に帰ってから髪を洗うと言ったので、俺は自ら手伝えると名乗り出た。すると、端月は俺の考えを見透かしたような顔で、からかうような表情を浮かべて言った。
「あなたのその過剰に積極的な熱意は必要ないわ。あ、うっかり言い間違えた……あまりにも分かりやすい下心ね」
なんだよ、俺はただ冗談を言っただけなのに……
「ふん、じゃあ俺はこれから、女の子の髪を一番気持ちいい方法で乾かすやり方を覚えるから、髪を洗って待っててくれ。俺から完全に離れられなくしてやる」
「その前に、練習相手が必要でしょう? あ……でも、ほかの女の人を探しに行っちゃ駄目よ? 私、ものすごく怒るから。そのときは絶対にあなたと仲直りしないからね」
「この小学生め……」
「──逐幸、今は自己紹介の時間じゃないわよ?」
俺たちは駅へ向かう道を歩いていた。夕方の橙色の夕日が正面から俺たちの顔を照らし、少し眩しく感じる。
それでも、こうして気ままに話していると、心が満たされていく。赤信号で立ち止まっているとき、俺は思わず彼女に尋ねた。
「次はどこへ遊びに行こうか?」
「ん? 今は家に帰るところでしょう? 私、もう遊び続ける体力なんてないわよ?」
端月が注意するような声を上げると、俺は首を横に振って言った。
「違うって。正月の間を除いても、冬休みはまだ俺たちが外へ遊びに行ける日がたくさん残ってるだろ?」
端月は数秒間呆然とした後、俺との距離を半歩縮めて言った。
「うん。私もまだあなたと一緒に行きたい場所がたくさんある……でも、あなたの時間をかなり使ってしまうでしょう? 大丈夫なの?」
俺は二人で繋いでいた手を少し引っ張り、彼女を自分の隣へと導き、それから彼女を俺に軽くぶつからせた。
「さっきも言っただろ。君と過ごす時間は、絶対に時間の無駄なんかじゃない。それに、メインヒロインと一緒に遊ぶこと自体が取材なんだ。俺に付き合ってくれるか?」
「うん、私もあなたと遊びに行くのが楽しみ」
こうして約束したことで、俺たちはその後、いろいろな場所へ行った。
天文館で星を眺めながら星座の解説を聞いたり、あるいは近くの山へ登ったり、二人で山の中腹にある東屋から街の景色を見下ろしたり、さらに近くの史跡を見学して、そのついでに次の学期の必修科目の課題を終わらせたりもした。
また、俺たちは海岸近くの古い街並みにも行き、軽食を食べながら、木製の欄干の前で夕日が沈んでいくのを眺めた。
俺も同じようにかなりの時間をアルバイトに費やしたものの、それ以外の休日の時間を、俺たちは一日たりとも無駄にはしなかった。
『逐幸、もう寝る時間よ』
そして、一日の深夜十二時頃になると、端月はメッセージを送ってきたり、あるいは時々こっそり電話をかけてきたりして、そろそろ寝る準備をするよう俺に知らせてくれた。
しかし実際には、俺たちはそれをきっかけに三十分から一時間ほど話すのが決まった流れになっていて、午前一時前には必ず横になるようにしていた。
夜の睡眠が規則正しくなったからなのかは分からないが、俺の創作の進捗は以前と比べてむしろかなり上がった……何しろ以前は、たいてい頑張りすぎた後に脳が長期間空回りしている状態に陥り、どれだけ時間があっても無駄にしてしまいやすかった。
端月と話し終え、しっかり眠った後は、翌日の思考がより明瞭になるだけでなく、創作に使える時間をより大切にし、しっかり活用するようにもなった。
──ほら、これには私の功績もあるでしょう。
午後の公園の東屋で俺が端月にそう伝えると、彼女は思わず胸を張り、俺にこう返した。
彼女の姿を見て、俺は頷いてから言った。
「そうだな。だから感謝の気持ちを表すために、君にキスすることにした……」
「え──? 朝に会ったときにもキスしたばかりじゃない、ちょ、ちょっと待って──んむ……」
二人が離れた後、俺は息を切らしながら言った。
「先月、君の誕生日のとき……俺たち、時間を測っただろ……?」
「うん……覚えてる、最高記録は、四十二秒……?」
端月の瞳は朦朧としていて、少し乱れた息遣いで答えた。俺は震える声で提案した。
「俺には、今日……前回の記録を、更新できそうな気がする……君は、どう思う……?」
端月はゆっくりとスマートフォンを取り出し、タイマーのウィジェット画面に切り替えた。
「……じゃあ、私たち……試してみる……?」
許可をもらうと、俺はすぐに彼女を強く抱きしめ、焦るように彼女の柔らかな唇を重ねた。
それと同時に、端月が俺の背中に回していた手が少し動いた。どうやら、もう計測は始まっているようだ──
結果は。
「三十八秒……」端月はとても残念そうだった。
「じゃあ、記録を破るまで……キスしよう……」俺はすぐに彼女に甘えた。
「うん……いいよ……」端月はそう言いながら、温かな吐息を俺の頬に吹きかけた。
そして、その囁きの後、俺たちは続けて何度もキスをした。
──最終的な記録は四十四秒だった。
冬休みの時間は少しずつ過ぎていった。
二月中旬、俺は自宅でついに、自分にとって初めて、構成設計を一冊分すべてに適用した恋愛物語を完成させた。
完成した瞬間、俺はほっとした──なんてことはなく、依然としてびくびくしながら、まず一日か二日休み、それから最初からチェックと修正を始めた。
本当に完成した後、俺はさらに各プラットフォームで、翌月の月初から順番に記事を公開できるようスケジュールを組み、そして各プラットフォームの小説コンテストへの投稿ボタンをクリックした。
すべての作業が終わると、俺は小説のファイルを端月、ロアン兄、そして庭雪先生に送った。先生からはまず、最近は少し忙しいので、もう少し時間に余裕ができてから読むというメッセージが届いた。
そして、この本を最初に読み終えたのは、俺の愛する恋人だった。
読み終えた後、端月は俺をチェーンのカフェに誘ってデートをし、そして自分の読後感を俺に話してくれた。
「逐幸……あなたが書いた物語、読み終わったわ……その、今から少し感想を言ってもいい?」
熱いラテを一口飲んだ後、彼女はおずおずとした表情でそう尋ねた。
俺は緊張を感じる一方で、恥ずかしそうにしている彼女の姿がとても可愛いとも思った。
この作品は端月を第一ヒロインとして書いた物語だから……当然のことながら、俺たちの間にあった思い出も一部使っている。俺にとっても、そして思いを感じ取りやすいこの恋人にとっても、かなり恥ずかしく感じる状況だろう。
それでも彼女は、真摯な気持ちで俺と向き合ってくれた。そのことが、俺にはとてもありがたかった。
「うん、それじゃあ──」
端月は場所を移動し、俺の隣に寄り添った。そして順番に自分の感想を俺に話していった。自分が戸惑ったところについても、いくつか話してくれた。
前回、俺が似たような作品分析の方法で、彼女が書いた作品についての感想を伝えたからなのか、今回、端月も少し自分なりの方法で俺に説明してくれた。俺は改めて、彼女の学習能力の速さと、本人の聡明さに驚かされた。
チェーンカフェの店内ではBGMがゆっくりと流れていたが、二人が注文した飲み物はほとんど減っていなかった。あまりにも集中していたからなのか、それとも俺たち二人とも恥ずかしさで忙しかったからなのかは分からない。
本一冊分の内容について話し合った後、俺と端月は最近読んだほかの本についての感想も交換した。
話題が一段落すると、端月は冷めたラテで喉を潤してから言った。
「逐幸、それであなたは次にどうするつもりなの?」
その質問について、俺はすでに決めていたので、自然に答えることができた。
「今回は、自分が学んだことをすべて作品の中に投入できたと自分では思っている。それでも、制作の過程では新しい考えをいくつか得ることができたし、応用した技法の中にも、まだ十分に深く研究できていない部分がある。それに、ほかにもいろいろと反省することがあるから、まずはこの作品から得たものを整理して、それから次の作品へ進むことにする」
俺は端月の手を握り、彼女に自分の決意を伝えた。
「次は、もっと上手くやる。この作品は、世界一のクリエイターになるための旅のほんの一部に過ぎない。こいつは俺にたくさんの美しい景色を見せてくれた。でも──俺はもっと遠くへ行きたい。この道の先に、一体どんなもっと美しい景色があるのか、自分の目で確かめたい」
端月は俺の手を握り返し、触れ合った掌と指先から、彼女の繊細な温もりが伝わってきた。
「うん」彼女は頷いた。
──頑張って。
まるでそう言っているかのような笑顔が、俺にさらなる前進の力を与えてくれた。
その後、俺たちはまた気軽に雑談を始め、静かで温かな時間を過ごした。
二日後、ロアン兄から返信が来た。
彼は最近ずっとロボットのプラモデルを組み立てたり、スマホゲームの限定ガチャを引いたりしていて、引き当てたキャラクターを使って新しく開放されたメインストーリーのステージを攻略していたと俺に話した。
それらが一段落してから、ようやく俺の物語を読み終えたという。
『読んでいてなんだかすごく楽しい気持ちになって、俺まで恋愛したくなったよ。あ──急に、前にお前に話したあのゲームをもう一度プレイしたくなってきた。あのゲームはもう何年も遊んでないから、今から探し出して遊んでみるのもけっこう良さそうだな』
俺たちは物語についての感想をざっくりと話した。
俺はロアン兄に、技法的にどう処理したのかは尋ねず、ただ簡単に読んだ感想だけを聞いた。彼も本当にそれだけを話してくれた。これは、俺たち二人がここ数年付き合ってきた中で培ってきた暗黙の了解だった。
あえて言うなら、技法を明確な理論へと落とし込むことに関しては、むしろ俺のほうが得意な部分だった。
一方、ロアン兄は豊富な創作経験をもとに、鋭い直感を鍛えている。だから俺は、彼が感想を話してくれた後に自分でも考えれば、それだけで大体、新しいヒントをいくつか得ることができた。
ロアン兄と話し終えた後、俺はついでに彼の新作の進捗を尋ねた。それに対して、ロアン兄は気楽な口調で答えた。
『時間があったら、書きたくなったときにまた出してきて、ちょっとずつ書こうかな』
ロアン兄にとって、執筆は多様な趣味のうちの一つに過ぎない。だが、俺にとってはそうではない。
だから俺は、心の中で勝手に彼の言葉を「俺はもう少しお前に先を走らせてやるから、今のうちに急いで追いついてこい」と翻訳し、一人で勝手に熱くなった。
俺は一旦パソコンを置き、自分の部屋を出て、リビングの外にあるベランダへ向かった。
建物の周囲には静かで明るい街灯が灯り、その上には真っ黒な夜空が広がっていた。
この空のさらに遠く、その奥へと視線を向けると、胸の中に熱いものが込み上げ、俺は思わず手のひらを強く握り締めた。




