第三章 連結(1)
この時の感覚は、まるで別の現実に身を置いているようだった。
まるで少しぼんやりしたフィルターを一枚隔てているようだったが、シーンの切り替えは次第に鮮明になり、ふと何かが見えるような感覚がした。
それと同時に、耳元でも次第にあちらの音がはっきり聞こえるようになり、全身上下でも触覚を感じられるようになった。
誰かが俺の前にいて、俺は最初相手が誰かわからなかったが、次のコマの画面で、ふとわかった、彼女は繫 端月だった。
黒くてしなやかなストレートの長髪、少し堅く見えるが、どこか恥ずかしげな表情を漂わせている。
彼女は俺に手を差し伸べた。
俺たちの手はまず指先が触れ合い、そして……十指を絡め合わせた。
掌の温度は水彩のように暖かさを広げていった。
彼女の女性らしい魅力に満ちた体に、薄紫色の服が着せられていて……
俺はすぐに気づいた、彼女が着ているのは春風高校の夏服だ。
明るく暖かい陽光が俺たちの肩や髪の間に照り、制服に幾何学的な形の光を投影していた。
彼女は本当に美しい。
俺がそう思ったまさにその時、恥ずかしげな端月が俺の懐に潜り込んできて、俺は思わず手を伸ばして彼女を抱きしめた。
端月は手を伸ばして抱きしめ返し、二人の体が密着し、心地よく安心できる存在感を与えてくれた。
しかし俺の体は別の理由で緊張してしまった。
彼女が俺の懐から顔を上げ、情のこもった深い瞳で俺と見つめ合った時、俺の息も思わず少しずつ速くなっていった。
端月は微笑み、唇の端を曲げた口角は、花びら一枚一枚の間に描かれた、自然美のある境界線のようだった。
逐幸……
逐幸……
一回目は温かみのある声のトーンで、二回目は期待と喜びを帯びた声だった。
私たち……キスしよう。
──いい……?
後ろのこの言葉を聞いて、俺もどうやら「うん」とぼんやり応えてしまったようだった。
二人の距離がゆっくり縮まり、彼女の美しい瞳もすべてを受け入れるように細い瞼でゆっくり覆われた。
俺たちの唇が……ついに触れ合った。
──頭に痺れ、楽しさ、喜び、興奮、一抹の憂鬱が伝わってきた。
心臓の鼓動が速く、体はすでに限界まで緊張していた。
俺は思わずさらに強く彼女を抱きしめ、自分の唇を彼女の唇にさらに押しつけていった──
その時──崩壊するような感触が襲ってきた。
掌が感じていた温度が次第に俺から遠ざかっていった。
もともと鮮明だった世界が急速にぼんやりとし、いくら前に追っても届かない……
意識を取り戻すと、俺は息を切らし、体が緊張し、全身に汗をかいていることに気づき、耳元でずっと何かの背景ノイズだと思っていた音は実は自分が設定したスマホのアラームだった。
そして次の一秒で、マットレスの感触が背中に浮かび上がり、目の前に映る自分がかけている布団はとても乱れていて、それでも、それはだいたい体にかかっている程度だった。
俺の頭はずっともやもやした感じがしていて、思わず体を起こし、そんな不快感を和らげようとした。
そして机の方向を見ようとした時、下半身が温かい湿り気に覆われているのを感じた。
俺はとりあえずアラームを確認するのをやめ、まずゆっくり布団を開けた。
長ズボンに大きな濃い色の跡が浮き上がり、空気中にはまだ特別な匂いが漂っていた。
──まさか……
全身の高ぶりと緊張はまだ引いておらず、下半身の膨張も依然として波のように、心地よくて放縦に満ちた解放感をもたらし、この時の体の感触はまだ深く俺の脳裏に刻まれていた。
ある部位は今も興奮状態にあり、一定の頻度で高ぶった鼓動を発し、俺は思わずため息をついた。
この時、俺はやっと昨日の真夜中にロアン兄と少し話した後、ずっと執筆して明け方の三時まで……最後にぼんやりとした際に、八時のアラームを設定し、素早く布団に潜り込んだことを思い出した。
俺は掌で額を押さえ……これで頭をもう少し清醒にしようとした。
この動作は確かに効果を発揮し、俺はそれでスマホのアラームを八時に設定した理由を思い出した。
──なぜなら今日は俺と端月が約束した、屋内プールに遊びに行く日だからだ。
約束の時間は午後二時で、理論上はもっと遅く起きてもいいが、俺は今日外出して遊ぶついでに多少でも物語の内容を生み出せるようにしたくて、だから早起きして執筆したいと思ったのだ。
今やこの作品はすでに物語の後半まで進み、残りのシーンの数から、もう少し頑張れば完成できそうな気がした。
自分の睡眠時間が依然としてかなり不足していることを知っていて、頭もまだぼんやりした状態だったが、俺はそれでもまた横になって寝過ごす前に急いでベッドから降り、とりあえず先にトイレで身支度しよう……とぼんやり考えながら、足を床に移した。
それに、ズボンも一枚着替えないとだめだし、出かける前にもう一度シャワーを浴びないと……
俺はなぜ自分がこんな夢を見たのかわからなかった、時々は自分の美しい恋人を夢見ることはあるが、今までこれほど具体的な体の反応が生じたことはなかったはずだ……
部屋を出ると同時に、創作で培われた分析の習慣から、俺の頭は自動的に思考を後ろに回し、順番に可能な原因を挙げていった。
第一に、俺が端月をもっと好きになったこと。
第二に、夜更かしで睡眠のサイクル回数が減り、反応がより深くなる可能性があること。
第三に……
俺はトイレに来て、洗面台と蛇口を見つめ、頭の中に多分最も根本的な答えが浮かんだ。
──これはおそらく、今日のデートで、愛する恋人の水着姿を見られるからだろう。
バス停で五分ほど待った後、俺はやってきたバスに乗り、約束の場所へと向かった。
期末試験を終え、正式に冬休みに入ってから、俺は少しアルバイトのシフトを増やし、残りの時間は物語の執筆と端月と共に過ごすのに使っていた。
以前、端月は俺に、1科目でもクラス平均点を10点上回れば、1回キスさせてくれると約束してくれた……しかし、後で回数を精算しようとした時、彼女はさらに「じゃあ、クラス平均点を10点下回るごとに1回減らす」というルールを追加した。俺は戦々恐々としながら減らされる分も計算に入れ、最終的に14回キスできることになった。
端月の借りを残したくない性格から、彼女はそれでは二日かけてキスを終わらせようと言った。
俺はそれを聞いた瞬間、彼女が本気ではないのではと疑った。俺たちは学期末に二人とも試験を終え学校に行く必要のないカウントダウン二日目に、まず一日中デートをし、近くの動物園をぶらぶらした後、夜の河畔公園を散歩しながら話し、疲れたらベンチに座って休んだ。
そしてその時……端月はまず手をベンチの座面に支え、俺はそれに乗じて彼女を抱きしめ、いつの間にか、気づいた時にはもう半分の回数をキスし終えていた。
端月は大きなコートの中に潜り込み、俺が渡したティッシュで顔を拭き、俺がゆっくり自分の顔を拭いている時に、顔を拭き終えた彼女が顔を出した後、またいたずらっぽく舌で俺の頬を舐めた。俺は欲情をかき立てられ、彼女を掴んで抱きしめてキスし、端月はまず笑顔を見せ、体をくねらせた後、目も閉じ、俺たちは第2ラウンドを始め、以前冗談交じりに話していた「1日3回、毎回少なくとも30秒」というキスの約束を果たした。
翌日、俺たちはまず学校に行って先生が採点したレポートを受け取り、それから母校近くの食べ物を懐かしみ、昼は車でその近くの街区まで行って食事をし、その後歩いて市立植物園まで行き、人のいない時に、アヒルの泳いでいる大きな池のほとりで、残りの回数をキスし終えた。
それから近くの博物館を回り、ちょうど百鬼夜行の浮世絵展が開かれていて、もともと興味のあった俺は撮影可能な区域で写真を撮り、いつか素材になるかもしれないと思った。夜、食事を終えた後、俺たちはゲームセンターで適当に遊び、エアホッケーで試合をした。彼女がパックを打つたびに、髪が揺れて、生き生きとして美しく見えた。
最後に夜遅くまで遊び、端月を家まで送った時にまたおじさんに会い、俺は戦々恐々と挨拶をした。母がスーパーが閉まる前に買い物をしてくるように言っていたので、俺はおじさんに家に上がるよう勧められたのを婉曲に断り、端月は少し残念そうな表情を見せた。
その後、俺たちはメッセージアプリで約束し、冬休み最初の週の木曜日に、二人だけで近くの市立温水プールに遊びに行くことにした。
そして今日がその約束の日だ。
俺は降車ベルを押し、バスが到着して俺を降ろした。目の前が今日の目的地だ。
時間は午後一時五十分頃で、端月が着いているかどうかわからなかった。
「逐幸、私はこっち。」
俺がスマホを出そうとした時、少し離れたところから恋人の声が聞こえた。
声のする方向を見ると、プールの入り口の前のプラットフォームの階段の傍らで、端月が俺に向かって手を振っていた。
彼女は暖かいニットにアウターを合わせ、下半身は厚めの長ズボンを履いていて、俺は少し安心した。
今日は外の気温が低く、もし彼女がミニスカートのようなものを着ていたら、どの角度から見ても体に良くない。
ましてや……
「あれはもう何日も前に終わったよね……今は大丈夫? 水に入れないなら無理しなくていいよ、別の場所に遊びに行こう。」
俺は前に進んで端月に挨拶した後、小声で尋ねた。端月はしばらくきょとんとして、顔に一抹の喜びの表情が浮かび、それから少し眉をひそめて言った。
「私はもう大丈夫だよ──そんなに心配しないで……?」
言い終わった後、彼女は軽く肩で俺をぶつかり、そのまま階段の最上段の大門に向かって進んでいった。
俺の心はむずむずして、なぜこの人はわざと不機嫌な顔を作ることさえこんなに可愛いのだろう?
俺はこの難解な問題を考えながら、彼女について階段を上っていった。




