第二章 金星(6)
だって……俺は彼女と……端月とキスがしたい。
潤んだ青と藍の色に染まった端月の瞳を見つめていると、吸い込まれてしまいそうになりながら、頭の中で思っていたことをそのまま彼女に答えた。
「端月……愛してる。」
それを直接口にした瞬間、俺の頭はまるで一気に痺れたようになり、唇まで震え始め、心臓がドクンドクンと大きな音を立てていた。
端月はわずかに目を見開き、まるで抑えきれないかのように、震えながら桜色の唇を結んだ。
彼女は何かを言おうとしているようだったが、声は言葉になることなく、「ん」、「ふん」、「うっ」が混ざり合ったような感じになった。
彼女は最後にはひとまず話すことを諦めたようで、心温まると同時に恥じらいのある笑みを浮かべ、俺に向かって一歩前へ踏み出した──
俺は彼女がつま先立ちになる前に、先に少し身をかがめて、二人の視線が平行に揃うようにし、それから俺たちは目を閉じた。
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それは、とても静かなキスだった。
なぜだかわからないが、俺たちはただお互いの唇を重ね、ゆっくりと触れ合い……それから、しばらく擦り合わせ……
そして……まるで相手のそばに寄り添うように──ほかの動きを止め、ただ親密に相手の唇に触れたままでいた。
まるで彼女の唇から、彼女の体の中で激しく、それでいて愛おしい心臓の鼓動が鳴っているのを感じられるかのようだった。
……俺たちはゆっくりと離れ、俺が思わずもう一度近づこうとしたそのとき、端月の人差し指がすでに立てられ、俺の唇に当てられていた。
「待って……もうキスしちゃダメだよ。あなたは一問しか正解してないから、一回しかキスできないの。」
そうやって自分の境界線を示したが、俺には端月が同時に自分自身にもそう言っているような気がした。
それでも、一回しかキスできないというのは、やはりもどかしくて仕方がなかった。
嘘だろ? これは何の罰だ……本当に一回しかキスできないのか? いっそ俺を死なせてくれ……
俺が思わず苦しそうな表情を浮かべると、それを見た端月はクスクスと笑い始めた。
「もう──? そんな顔しないでよ。ご飯を食べに行こう、私お腹が空いたし、午後は私たち二人とも試験があるんだから、先にお腹いっぱいにしないと。」
確かに……午後にはまだ試験がある……キスをしすぎて、試験範囲の知識を全部忘れてしまったら、それこそ笑い事ではない。
それでも、だからといって、人がすぐに完全に気持ちを切り替えられるかどうかは、また別の話だろう。
俺がなかなか気持ちを切り替えられずにいるのを察したようで、端月は片手を伸ばし、口元に手のひらをそっと添えて弧を作り、それから、まるで小声で話すように声を落として言った。
「あと何週間かしたら、冬休みになるから……そのとき……きれいで、ちょうどいい場所を探して……いい?」
その言葉に俺の肩が震えたが、それでも俺は顔を引き締めたままの状態を保ち続けた。
端月はクスッと笑い、さらに小さな吐息のような声で付け加えた。
「それからね……冬休みになったら……ある日……二人きりでプールに遊びに行かない……?」
俺は全身に何か猛烈な衝撃を受けたような気がしたが、実際には、俺はそのままの姿勢でその場に立っていた。
「そ、そそそ、それなら、後の試験に影響するかもしれないから……今日はこれくらいでいいんじゃないかな。う、うん……それに、俺も君と一緒にご飯を食べたい。そ、うん、そうだな……俺に思い出させてくれてありがとう。」
俺のぎこちない返答を見た端月はため息をつき、俺にはお手上げだという表情を見せ、それから……温かな表情に変えて言った。
「──じゃあ、ご飯を食べに行ってもいい……?」
ご飯の話が出て、俺は今日彼女と会う約束をした理由には、実はもう一つ別のことがあったのをふと思い出した。
「あの、食べる前に、これを君に渡したいんだ。」
俺は振り返り、机の上に置いてあった紙袋を手に取って端月の前へ差し出した。一秒ほど間を置いてから、俺は温かな声で言った。
「端月──メリークリスマス。」
それに対して、端月は少し呆然とし、それからまだ事態の展開についていけていないような声で言った。
「あ、うん……ありがとう、逐幸。」
彼女は俺の表情を観察し、数秒経ってからようやく我に返ったように言った。
「……中を開けて見てもいい?」
俺が「もちろん」と言うと、端月は俺を引っ張り、二人で椅子に座った。
彼女は慎重に袋の口を開け、透明なフィルムに包まれたカード一枚と、大きさの違う二つの直方体の包装に包まれたプレゼントを取り出した。
「このカード……今日は家に帰ってから、一人でゆっくり見るね……?」
端月は確認するような、そして甘えるような声を出した。俺はようやく発揮した大きな意志力によって、また思わず彼女にキスしてしまうのをどうにか抑えた。俺はゆっくりとうなずき、小さな声で彼女に「うん、家に帰ってから見て」と言った。
そして実は、彼女がそう言ってくれたことは俺にとっても大助かりだった。なぜなら……恋人の目の前で自分が書いたカードを見るのは、なんだかものすごく恥ずかしいからだ。
端月は先に大きいほうのプレゼントの包装を開けた……中には有名ブランドのハンドクリームのセットが入っていた。
彼女の顔に笑みが浮かび、まるで俺に何かを言いたそうに俺を一度見たが、最後まで口にはせず、俺のそばに寄ってきて腕と背中を何度か擦りつけ、それから小さいほうのプレゼントの包装を開け始めた。
開けると、目に入ったのはきれいな箱だった。
端月は箱を上へ開き、中にはイヤリングが一組入っていた。
イヤリングのデザインは、穏やかな三日月を主な焦点として、そこに小さな星をあしらっており、控えめでありながらも精巧な印象を与えていた。
「きれい……かわいい……」
この言葉をそっと漏らす恋人こそ、俺の目にはきれいでかわいかった。
端月は指でイヤリングをつまみ上げ、三日月の部分を自分の目の前へ近づけた。その動作によって、彼女が身に着けている淡い青色の女性用シャツの袖の生地が、肘の関節部分で美しい皺を作っていた。
端月は静かにイヤリングのデザインを眺め、さらに二つのイヤリングを交互に手に取り、慈愛に満ちた眼差しでじっくりと見つめていた。
俺の心には、思わず温かな感情が浮かんだ。
「逐幸……つけてくれる?」
端月がおずおずとお願いしてきた。俺ももちろん、彼女が実際につけた姿を見てみたかったので、慎重に彼女の手からイヤリングを一つ受け取り、指をわずかに震わせながら、彼女の耳にイヤリングを挟んだ。
両方ともつけ終わると、端月は俺に「どう……?」と尋ねた。
一瞬、俺は感動して何も言えなくなった。最後にはようやく「きれいだ、かわいい……すごく似合ってる」と一言だけ言った。
それを聞いた端月は恥ずかしそうに笑い、スマートフォンを取り出してカメラ機能を開き、インカメラに切り替えた。
画面にはすぐに彼女の美しい顔が映り、耳の下には優雅で控えめな三日月と星が垂れ下がり、まるでロマンチックな夜空をそのまま持ってきたかのようだった。そして画面の隅には、俺の頬も少しだけ映っていた。
「もう──もう少しこっちに来てよ。」
そう言いながら、端月は少し俺に近づき、スマートフォンのカメラを俺たち二人に向け、二人とも画面に入るまで調整した。
それから、彼女はシャッターを押し、俺たち二人の姿を記録した。
こうして何枚か撮ったあと、彼女はカードとプレゼントの包装、プレゼント本体をすべて紙袋の中へ戻し、残った三日月を模したイヤリングが彼女の耳元で軽やかに揺れていた。
「このままつけて試験を受けるね。誰かさんのセンスがすごくよくて、目立ちすぎないし、かわいいから……」
端月は俺に甘い表情を向け、それからそっと振り返って俺を抱きしめた。
「ありがとう……逐幸、私すごく嬉しい。実は、私も用意してたんだけど、あなたほど気を込めてなくて、ただ売り場に行ってチョコレートを一つ選んだだけなの。本当にあなたにお金を使わせちゃった……次は頑張るから、許してくれる?」
俺は腕の中にいる端月から伝わってくる温もりを感じながら、両手で彼女を抱き返し、言った。
「これって何かの勝負じゃないんだから、気にしなくていいよ……俺はただ、君に喜んでほしかっただけだから。プレゼントを選ぶときは、何を贈ればいいのか少し悩んだけど、選んでいる間ずっと君のことを考えていられて、俺も嬉しかった。メリークリスマス。」
「うん、いつもこんなに私のことを考えてくれてありがとう、逐幸……メリークリスマス。でも、今日は実はクリスマスイブだから、あなたにもすべてが無事でうまくいくように祈ってる。」
「うん、祝ってくれてありがとう。」
「てっきり……この機会に、もう一回キスしてもいいかって聞いてくると思ってた……?」
「あ……! そんな手もあったのか。それなら、いい?」
「ダメ──でも……今回、各教科の試験でクラス平均を超えられたら……」
「1点超えるごとに──もう一回キスしてもいい?」
「10点超えるごとに、一回多くキスしてあげてもいいかなって考える……」
「ケチだな……この人、本当にケチだな──?」
「ん? これ以上言い続けたら、考える機会すらなくなるよ……? 逐幸、本当にそうするつもりなの──?」
「大変申し訳ございません、私が悪うございました、こんなに調子に乗ってしまった俺をどうかお許しください。ただ単純に美色に惑わされて、つい口が滑ってしまっただけですので、どうか10点ごとに一回多くキスしてください。」
それから、俺たちは笑い、まだ少し名残惜しさを感じながら、お互いを抱きしめていた腕を離した。
「ご飯を食べに行こう。今は学食がものすごく混んでるはずだけど。」
「うん、行こう。急いで並ぼう。」
私物を手に取ったあと、俺たちは手を繋ぎ、廊下を歩いて階段のほうへ向かった。
隣にいる端月のつけたイヤリングは優雅に揺れ、その下に飾られた銀白色の三日月も正午の陽光を反射し、眩い輝きを放っていた。




