第一章 恋人(2)
午前の競技は順調に進んでいった。
時間は昼になり、俺たちは学生食堂へ昼食を食べに行き、その後グラウンドへ戻って試合を観戦し、クラスのチームを応援した。
その間、俺はついでに多くの選手の表情や動作を観察し、さらに司会者の話し方や台詞も研究して、将来機会があれば自分の作品に応用できるようにした。
夕方に近づくほど、気温もますます下がり、午前中の高温はまるで夢の中にいたかのようだった。
それも当然のことだ。何しろ今は冬なのだから、太陽が雲に遮られたり、高度が下がったりすれば、気温は冷え込んでいくが、幸いにもまだそれほど辛くない範囲に収まっていた。
俺は持ってきたスポーツジャケットをそっと端月の肩に掛けると、彼女は両手でファスナーのある辺りを握り、少し身体を縮こまらせた。その仕草がなんとも可愛らしく感じられた。
その後、俺たちは最後に予定されていたクラス対抗の大縄リレーに参加し、長い待ち時間を経て、全員がそれぞれの走順を走り終え、無事に競技を終えた。俺たちのクラスが最終的に何位だったのかは分からないが、特に通知を受けていないので、おそらく敗退したのだろう。
グラウンド中央の招集エリアからクラスの隊列に続いてテントエリアへ戻る途中、俺は思わずすでに暗くなった空を見上げ、それから再び前方へ視線を向けた。
遠くでグラウンドを照らしている照明器具が強烈な白い光を放っており、俺は目を細めながら、空気がもたらすほのかな寒さを感じていた。
そしてある瞬間──俺はようやく、今年の運動会が幕を閉じたのだと実感した。
クラスメイトたちは次々といくつかの集団に分かれ、寮へ戻る者、家へ帰る者、そして何人かを集めて一緒に夕食を食べようとする者もいた。
俺はテントエリアで自分のリュックを持ち上げて背負い、端月の意見を尋ねた。すると彼女は「夕食なら私は何でもいいけど、先にどこかで着替えたい」と答えたので、俺たち二人はグラウンドから少し離れた校舎へ向かった。
俺たちは個人の荷物を、どこかの学科の交流ホールにある木製の机と椅子の上に一時的に置かせてもらった。
端月は自分のリュックから着替えの服とタオルを取り出し、俺も自分の着替えを取り出してから、彼女に冗談を言った。
「俺が汗を拭いてあげようか?」
その時、端月は振り返って俺を見たが、顔には特に何の表情も浮かべず、何かを答えることもなく、着替えの服とタオルを持ち上げると、俺の手を掴んでトイレの方向へ歩いていった。
おお──これはあれだな。俺を入口まで連れていって、最後の最後で「実は冗談でした」って言うやつだ。なるほど、そういう手で遊ぶつもりなのか?
そこで俺は大人しく端月について歩き、独立して設置されたジェンダーレストイレの中へ引っ張り込まれるまで進んだ。端月がドアの横棒をカチャリと施錠して、俺はようやく彼女が本気なのかもしれないと気づいた。
「えっと……その? どうして俺をここに連れてきたの?」
俺が少し怯んだ様子を見せると、端月はむしろ堂々とした様子になった。彼女は俺の横を通り過ぎ、着替えの服を反対側の荷物入れに置き、タオルを俺に渡しながら言った。
「ん? さっき私の汗を拭いてくれるって言ったよね? それなら……私の背中、あなたに任せてもいい?」
俺が反応する時間を与えず、端月はこの水色のタオルを俺の手に渡し、それからゆっくりと身体を後ろへ向けた。
やや広々としたジェンダーレストイレの中で、灯された明るい黄色の照明が彼女の漆黒で美しい髪に降り注いでいた。
端月は撫でるように、白いヘアバンドで結んでいたポニーテールを手でほどくと、布のような髪が柔らかく広がっていった。
彼女は背中に落ちたセミロングの髪を一束にまとめて前へ流し、白い首筋を露わにした。
タオルを握っていた俺は、まるで遠い昔に来てしまったような感覚に陥り、自分が今いったいどこにいて、何をしているのか分からなくなった。
「……どう? 手伝ってくれる?」
端月は前を向いたまま、誘うような、そして少し恥ずかしそうな声を出した。
えっ、ここまで頼まれたのだから、俺は覚悟を決めてやるしかない。
「分かった。それじゃあ、少し服を持ち上げるかもしれない……」
端月は小さく頷いたので、俺は左手を伸ばし、白い学科の制服の裾から少し後ろへ引いて肌との間に隙間を作り、今にも爆発しそうな鼓動を抑えながら、タオルで自分の右手を覆って内側のひだを握り、それから服の隙間へ手とタオルを差し込み、ゆっくりと彼女の背中を拭いた。
タオル越しではあるものの、俺は端月の肌が滑らかで柔らかな感触に満ちているのを感じることができた。そして、何度も優しく拭いているうちに、タオルにも彼女の汗が次第に染み込み、湿り気が増していった。
少しざらついていたタオルはそのためかなり柔らかくなり、さらに俺は、ある部分の肌の上に別の質感の布地が一枚包まれているのも感じた……濡れた白い学科の制服を通して、それが生き生きとした淡い緑色であることがかすかに見て取れた。
そして俺が彼女の腰からゆっくり上へ向かい、二つの肩甲骨の中央辺りを拭いた時、端月は何かを我慢しているかのように震える息を漏らした。少しくすぐったいのか、それとも俺が強く拭きすぎたのか分からなかったので、俺はさらに少し力を弱め、残った部分を丁寧に拭き取った。
背中を拭き終えると、俺は思わず迷うような、それでいて慈しむような声で、彼女に小さく尋ねた。
「顔も、拭こうか?」
「うん、お願い……」
端月は振り向き、少し唇をすぼめ、潤んだ瞳で俺を見つめた。彼女の頬もほんのりと赤く染まっていた。
俺はタオルで彼女の額と髪の生え際をそっと拭き、それから頬の輪郭に沿って拭いた。端月は俺の動きに合わせて目を閉じ、その姿は可愛らしい小動物のようで、俺の鼓動を速めた。そして俺の身体のある部分もすでに激しく反応していて、少し辛く感じていた。
顔を拭き終えると、俺はかすかな声で続けて尋ねた。
「それじゃあ……前も、俺が拭こうか?」
端月は目を開き、まず俺を見つめ、しばらく考えてから言った。
「前は、私が自分でやるから、ありがとう……先に戻ってくれる?」
その声は甘えているようでもあり、俺を誘惑しているようでもあった。一瞬、俺は何の行動も取ることができなかった。返事をした時になって、俺は自分の言葉に驚いた。
「分かった。でも、その前に少しご褒美が欲しい……」
そう言ってから、俺は端月へ近づいた。
俺は彼女の肩を少し押さえ、端月がゆっくりと目を閉じる中、柔らかな唇に触れた──
ん────…………ん───!………………ちゅ────……ちゅっ!────……ん!……──ん、ん!─────ふんん…………ちゅ──────ん──…………
どれほど時間が経ったのか分からないが、俺たちはようやく名残惜しそうに離れた。
これ以上続けたら自分が本当に耐えられなくなりそうだと感じたので、小さな声で「じゃあ、先に出るね」と言って、ドアの鍵を開け、左側へ押してドアを開き、息を切らしながら先ほどリュックを置いた場所へ戻った。
端月が着替えを終えて戻ってくるまで、俺はなお朦朧とした状態にあり、恋人の唇の柔らかく甘美な感触が頭の中に浮かび、その状態をしばらく保っていた。
食事を終えた後、俺たちは学校近くの通りを歩いた。
その時、真っ黒な空から雨が降り始め、歩行者たちも少し足を速めているようだった。
「この後は帰る?」
端月は俺たちが繋いでいる手を軽く揺らしながら尋ねた。俺は傘を彼女のほうへそっと寄せ、少し考えてから言った。
「なんとなく今帰るのはもったいない気がする。でも、どこか別の場所へ行きたいってわけでもない……うん、嫌ってわけじゃないけど、もっといい選択肢があるような気がする。」
「それなら、学校に戻ろうか?」
俺の暗示を聞いて、端月は俺の心の中にある答えを口にした。まるで歌うような声から、少しくすぐったいようでいて、それでいて穏やかな雰囲気が感じられた。
「うん、どこか空いている場所があるか見て、少し休もう。端月は家に急いで帰る?」
それに対して、端月は首を横に振り、俺の腕に軽く自分の腕をぶつけて言った。
「ううん、遅くなってから帰ってもいいけど、徹夜するくらい遅くって意味じゃないからね?」
「そんなふうにわざわざ釈明すると、かえってエッチな感じがする。」
「ん?……そう?」「そうだよ。それなら、いっそ端月の家にお邪魔すれば、遅くなるかどうかなんて問題なくなるけど。」
「だ──め──。あなたを家には入れない。だって、私の家は散らかってるから。」
「それなら、なおさら見に行きたくなってきた──」「ダメ、今日はダメだって言ったでしょ──!」
俺にはそんなつもりなんて全然なかった……まあ、二割くらいはあったかもしれないが、俺たちはただいつものように気軽に言い合いをしながら、日和の方向へ歩いていった。
俺たちは語学系の共用席エリアへやって来ると、オレンジ色のデスクライトを点け、俺はリュックの中からノートパソコンを取り出し、隣のコンセントに接続してからパソコンを起動した。
「俺は少し続きを書こうと思うけど、端月はどうする? 退屈しない? それとも俺も端月と話していい?」
「逐幸は私と話したそうだけど、あいにくもうすぐ期末試験だから、私は少し勉強したい。」
「俺と一回キスしてから勉強しない? そのほうがもっとやる気が出ると思うけど?」
「近くのほかの学科の学科事務室にもまだ人が残ってるから、見られちゃうよ。」
「じゃあ、見せつけるようにキスしよう。」「やだよ。あなた、毎回キスが激しすぎるから、人を驚かせちゃう。」
「分かった……じゃあ、しばらく諦めるしかないな。」
俺はこんなふうにどうでもいいことをたくさん話していたが、俺たち二人とも真面目にやる準備はできており、端月はすでに参考書とノートをリュックから取り出し、さらに筆箱からシャープペンシルを取り出して、キャップを引いて新しい2Bの芯を入れていた。
俺はパソコンの文書ファイルを開いた。そこにはこの二日間で新しく書いた段落が入っていた。
もともと先週の土曜日、俺が端月と仲直りする前は、どんな構想を考えてもおかしいと感じて使うことができなかった。しかし、彼女と高校時代のあの頃を思い出し、彼女のことを考えながら別の中編作品を書いた後、俺は突然感覚を掴み、何を表現したいのか、そしてどのような形式で内容を表現するのかを、よりはっきりと分かるようになった。
一度、自分を追い込みすぎてしまうと、もともとできていたことまでできなくなってしまう。どうやら時にはしっかりと休み、適度に自分をリラックスさせる必要があるらしい。
俺は思わず顔を上げ、ノートパソコンの画面越しに、端月が集中してノートに文字を書いている姿を見つめた。
俺があの物語を彼女に渡した時、彼女が浮かべた幸せそうな表情が頭に浮かんだ。
そうだ。俺がこの恋愛物語を書く理由は、最初から、この人と一緒にいる時間を大切にしたいという気持ちを表現するためだった。
それなら、このことを再び忘れてはいけない。
俺がするべきことは、この気持ちを原動力へと変え、自分の創作技術を武器として、もっと素晴らしい作品を生み出すことだ。
そして完成したら、愛する恋人にこの物語を読んでもらいたい。
それによって彼女の好意や困惑、恥じらいを引き出し、さらには少し叱るような表情まで浮かべてもらえたら、俺も幸せを感じるだろう。
夜の雨が中庭へ一滴、また一滴と落ち、青灰色のタイルを叩いて、ぱらぱらとした澄んだ音を響かせていた。
俺がしばらく彼女を見つめていたからなのか、端月は思わず顔を上げて俺と目を合わせ、「どうしたの?」という困惑した表情を浮かべた。
俺は思わず口を開いた。
「端月、俺は端月が好きだ。」
それを聞いた端月は一秒ほど呆然とし、少し唇をすぼめてから、俺に言った。
「うん、逐幸。私もあなたが好き。」
──でも、もうこの手は使っちゃダメだからね。ちゃんと集中しないといけないよ。
彼女は可愛らしく、そう一言付け加えた。
俺は頷き、視線を自分のパソコンの画面へ戻した。端月の姿と反応を想像しながら、俺はキーボードを叩き始め、次の場面、そしてそのまた次の場面へと続く、期待を抱かせる物語の内容を書き綴っていった。




