第一章 恋人(1)
十二月第二週の水曜日、今日は学校で運動会が開催される日だ。
朝食を済ませた後、俺は正門から校内へ入り、先に教育学科の交流ラウンジへ到着していた端月と合流すると、二人で手を繋いで体育館前の屋外バレーボールコートへ集合しに向かった。
広々とした空には淡い青色が大きく広がり、ほんの狭い範囲に少し薄い雲が見えるだけだった。
太陽が顔を出し、澄んだ黄色い光がバレーボールコートと並木道の木々を照らしていて、とても明るく、まるで金色の粒子が降り注いでいるように見えた。バレーボールコートでは、支柱に結ばれていたネットがすでに関係者によって事前に撤去されており、異なる学科やクラスの生徒たちがここで集合し、整列するためのより多くのスペースが確保されていた。
俺と端月は見慣れた顔を探しながら、俺たちのクラスのクラス札がどこにあるのかを確認し、最後に体育館に近い側で学科の同級生たちを見つけた。
「おはよう。」
「おはよう、二人とも。」
俺と端月はそれぞれ親しくしている生徒たちに挨拶をしてから、出席簿を持っているクラス委員長の前へ行って出席確認の署名をした。
無事に出席確認を済ませた後、俺たちは自分たちのクラスの活動範囲内でしばらく待機した。
空気は爽やかな感じがして、朝特有のひんやりとした冷たさも少し残っていたが、太陽の位置が高くなるにつれて、気温もゆっくりと上昇していった。俺は思わず隣にいる恋人へ尋ねた。
「喉、渇いてる?」
「ん? 飲ませてくれるの……? もしあなたが飲ませてくれるなら、渇いたって言うよ。」
端月は少し目を上げ、期待に満ちた表情で言った。
彼女は今日は白いヘアバンドで綺麗なポニーテールを結んでいて、具体的に言えばミドルポニーで、とても活発な印象がありながらも、上品な雰囲気を漂わせていた。
俺たち二人はどちらも、白を基調とし、胸元に開かれた黄色い辞書が描かれた、教育系を象徴する学科の制服を着ており、下半身にはそれぞれ動きやすい運動用のショートパンツを穿いていた。
端月がそう言ったのを聞いて、俺は少し考えてから答えた。
「俺は喜んで飲ませてあげたいけど、今は人がちょっと多いから、先に俺のことは許してくれない?」
それに対して端月はくすくすと笑い、「冗談だよ。でも、あなたに飲ませてもらいたいっていうのは、冗談じゃないよ」と言ってから、今は喉が渇いていないことを示すように首を横に振った。
俺の心に温かなものが浮かび、愛おしい恋人の美しい顔を見た後、もう一度彼女の手を強く握り直した。
心地よい時間がゆっくりと流れていった。
しばらくすると、学科の先生たちが次々と姿を現し、俺たちのクラスもこの貴重な機会に集合写真を撮った。
教育学科の一年生から四年生まで、すべてのクラスが先生たちと集合写真を撮り終えたところで、遠くから湖櫻先輩の元気でありながらも穏やかな声が聞こえてきた。
「人、見つけた! あ──端月、逐幸、写真撮ろう!」
湖櫻先輩も俺たちと同じ学科の制服と運動用ショートパンツを着ていて、さらに珍しく茶色の長い髪を一つに束ね、右側の肩に垂らしていた。桜色の瞳には熱意が表れており、向こう側からこちらへ歩いてくる間も、俺たちに向かって手を振り続けていた。
一瞬、俺は先輩の髪型に新鮮さを感じ、そのような髪型をどう文章で描写すればいいのかを考え始めたため、思わず何度か目を向けてしまった。
その時、端月が手で俺の服を引っ張った。俺が振り向くと、彼女は俺のほうに顔を向けていなかった。
この瞬間──俺は何か理由があるのかもしれないと察し、彼女に言った。
「端月、綺麗だよ。今日の髪型、すごく似合ってるし、白い制服にもよく合ってる。」
それに対して、端月は少し冷たい声で返した。
「制服って、誰が着ても同じじゃない?」
うっ……論理的には確かにそうだ。でも、それだけじゃない。俺は少し慌てて、頭の中に浮かんだ直感に従って言った。
「で、でも、端月はスタイルがいいから、この服がそれを引き立ててるし、すごく似合ってると思う。」
「スタイルのことを言うなら……あなたが熱心に見てた人のサイズのほうが、私より少し大きいんじゃない?」
えっ、そうなのか? いや……俺の観察によれば、たぶん同じくらいだろう……二人ともそれなりにある。
この時、俺はようやく自分がまだ完全には目を覚ましていないことに気づいた。自分の頭と口に好き勝手なことを言わせた結果、愛する恋人をますます不機嫌にしてしまった。取り繕うため、俺は慌てて自分の立場を伝えた。
「──じゃあ、俺は端月だけ見ればいい。ほかの人は見ない……そうしたら、俺に見せてくれる?」
えっ、待て……俺はいったいどこがおかしくなったんだ?
我に返ってみると、俺はまた変なことを口にしていたことに気づいた。
端月は振り向き、俺の表情をちらりと見てから、すぐに両手で胸元を庇った。
「もちろんダメ。スケベ。でも、あなたもほかの人を見ちゃダメだからね。」
彼女は少し身体を横に向け、身体の側面で俺を軽くぶつかった。
その時、先輩はすでに俺たちの目の前まで来ていて、不思議そうに尋ねた。
「どうしたの? 二人で何か小さなゲームでもしてるの?」
湖櫻先輩はぱちぱちと瞬きをし、俺たちのやり取りに次第に興味を持ち始めたようだった。端月は首を横に振って言った。
「何でもないよ。ただ、私が二心を抱いた悪い人を罰しただけ。先輩、早く写真を撮りましょう。」
端月は先輩にそう言った後、もう一度俺と一瞬だけ視線を交わし、「今回はこれでいいことにしてあげる」という様子を見せたので、俺はようやくほっとした。
ちなみに写真を撮っている間、俺の後ろに立っていた端月は、俺が少ししゃがんだ隙に、身体のある部分を柔らかく押しつけてきて、写真を撮り終えるとすぐに先輩との会話に夢中になった。
俺にはこの時、素直に喜ぶべきなのか、それとも警戒を続けるべきなのか分からなかったので、とりあえず静観することにした。
開会式が終わると、各学科のクラス隊列はそのまま解散し、続いて順番にパフォーマンス活動が行われ、それぞれの競技の試合が始まっていく。
俺と端月はグラウンド脇に設置されたクラス用テントのエリアへ行き、階段状の観覧席に座って、パフォーマンスや試合を眺めた。
棒高跳びに参加する生徒たちはグラウンド内部の競技場で競技を行っており、誰かが棒を使って障害物を飛び越えるのを見るたびに、俺は思わず「おお──」と口を開いてしまった。一方、砂場へ続く走路では、誰かが助走してからまるでしばらく飛んでいるかのようにして着地していて、人間の身体はこんなにも遠くまで飛べるのかと、思わず感嘆してしまった。
端月は俺の隣に寄り添い、俺たちは時々会話もした。通りかかったクラスメイトたちも、少しからかうように「二人は仲がいいね」と言ってくる。俺が恥ずかしそうな顔を見せると、なぜか端月は微笑んだ。どうやらこの恋人は、他人からの称賛にも俺よりずっと慣れているらしい。
──そろそろ招集場所に行こうか。
十一時頃、リュックを背負った曜光が歩いてきて、リュックを下ろすと同時に俺へ話しかけてきた。
俺は頷いて返事をし、それから端月に「ちょっと行ってくる、すぐ戻る」と言うと、彼女は俺に「頑張って、あなたならできるよ」と声をかけ、さらに俺の手を撫でて、まるで俺に力を送っているかのようだった。
そのおかげで俺の顔には笑みが浮かび、その後、緊張しながらも気持ちが高ぶった状態でテントを出た。
途中で、頭にバンドを巻いた湖櫻先輩と数人が、それぞれ段ボール箱を運びながら俺たちのクラスのテントエリアへ入っていくのが見えたような気がした。
俺はあくびをし、それから伸びをして、表情を引き締めると、曜光とほか二人のチームメイトの後ろについて、グラウンド中央の招集エリアへ向かった。
「よーし──! 俺たち、一位を取って帰ろう!」
招集を終えた後、俺たちはそばの芝生の上で円になって囲んだ……ええと、まあ、四人だから、実際にはどちらかというと四角形に近い。とにかく俺たちは集まり、曜光の指揮のもと、高らかに声を上げた。
高校時代にはこのように四人で四百メートルリレーに参加したことがなかったので、俺はとても新鮮に感じた。数日前にも俺たちは集まって、グラウンドでバトンの受け渡しを練習したので、多少は役に立つはずだ。
試合開始を象徴する銃声が「パン!」と響き、第一走者のチームメイトが同時に走り出した。彼が一周、さらにおおよそ半周を走ったところで、俺は現在の順位に従ってトラックに並んだ──俺は第二走者で、第三走者の曜光へバトンを渡すことになっている。
俺は雑念を排除し、ただ前の走者だけに集中した。そして……あるタイミングで走り出し、バトンを受け取る──そして力いっぱい前へ大きく一歩を踏み出し、全力で走った。
しばらくして、競技が終わった。俺たちは最終的に五位になった……もともとは確かに前方で優勢なリードを取っていたのだが、残念なことに第四走者のチームメイトが足をつってしまい、速度を落とさざるを得ず、仕方なく試合の結果を受け入れることになった。
その時、曜光が俺の肩を叩いて言った。
「逐幸、来年は俺たちで勝利を掴もう。その時、もう一度参加しよう!」
誘われた俺は心が温かくなり、思わず「もちろんだよ」と気持ちを奮い立たせて答えた。どうやら俺が曜光と気が合うのには、理由がないわけではないらしい。試合に負けると、やっぱり悔しく感じるものだ。
テントエリアへ戻ると、端月はミネラルウォーターの入ったペットボトルを俺に渡し、残念そうでありながらも励ますような表情を浮かべて言った。
「お疲れさま。まず少し水を飲んで……もう少し息が落ち着いてから座ろう。」
それ以外にも、彼女はこの箱の水は湖櫻先輩たちが運んできたものだと教えてくれた。なるほど、あの人は時々こういう雑用も手伝うのか。どうりで人望があるわけだ。
俺は自分のリュックからタオルを取り出して汗を拭き、呼吸が少し落ち着いてから、端月と一人分の距離を空けた位置に座った。それを見た端月はすぐに移動して俺の隣に座り、およそ五秒後、小さな声で言った。
「……あなた、別に臭くないのに……どうしてそんなに離れてるの?」
俺は頭を彼女のほうへ向け、彼女に答えた。
「じゃあ、今、端月を少し抱きしめてもいい?」
端月は微笑み、少し照れたような明るい表情で言った。
「ダメ。今のあなたの服じゃ、私が濡れちゃう。でも、何回か私のことが好きだって言ってくれてもいいよ。」
どうやらその言葉を聞いたことで、そばに座っていたクラスメイトの何人かが驚いたような表情を浮かべた。
端月はいたずらっぽい視線で「どう?」と俺に尋ね続けたので、俺は思わず彼女の耳元へ口を近づけ、彼女の要求に応える言葉を小声で口にし、その勢いでさらに何度か言葉を付け加えた。
彼女は視線を前方へ向け、顔に甘い笑みを浮かべた。
その時、ちょうどトラックを走っていた選手が俺たちの前を駆け抜け、爽やかな風を巻き起こした。




