序 章 日常
月曜日の学生食堂は人で溢れ返っている。
一側に六人が座ることができ、一度に十二人が利用できる長テーブルが、空間の位置に合わせて何列も設置されており、リュックを背負った学生たちは食事を手に、店内に設置された螺旋階段を慎重に上っていく。
彼らの中には一人で食事をし、横向きにしたスマートフォンをテーブルの上に立てて動画を見ている者もいれば、仲間があらかじめ立っている場所へ戻り、雑談をしながら時間を過ごしている者もいる。
今日の俺は後者に属していた。買ってきた魚フライ弁当を食べ終えると、皿の中には魚の骨だけが残り、隣に座っている端月は、食堂が提供しているスプーンで、ミックスうどんの澄んだスープを一口啜った。
艶のある黒い横髪が、スープを飲む動作によって耳際をかすめると、美しい恋人は、もともと器を支えていた左手を器用に使って、髪を耳にかけた。
「何を見てるの?」
俺はスマートフォンへと意識を戻したところ、端月が突然そう尋ねてきた。彼女がこちらへ向けた顔には、青藍色の瞳に好奇心に満ちた視線が映っている。
先ほどスープを一口飲んだばかりだからか、彼女の桜色の唇はまるで朝露が付いたかのように、濡れて柔らかそうに見え、俺は彼女の唇もまた花のように、花の香りを漂わせているのではないかとさえ思ってしまった。
「うん、あの将棋小説を読んでる……もう二、三回読んだことがあるんだけど、今回は参考にしたい場面があるから、この章をもう一度読み直そうと思ってるんだ。もしかしたら、もっと発見があるかもしれないし。」
「んん、分かった、なるほどね。」
端月は「ん」のようでもあり、「うん」のようでもあり、あるいは「ふふ」のようにも聞こえる声を出し、聞いていると何となくむずむずするような気分にさせられる。
彼女は顔を元に戻し、またスプーンでスープを一口飲んだ。そのため、淡い緑色の半袖シャツには、肩の辺りに美しい皺が生まれた。
ちょうどその時、端月の真正面に座っていた誰かが、わざと澄んでいて空気のように軽やかで、それでいて少し拗ねたような声を出した。
「お腹いっぱい、お腹いっぱい、ごちそうさまでした。」
その人物は腰まで届く美しい茶色の長い髪をしており、水色の女性用ブラウスを身に着け、その下には黒い膝上スカートを履いている。桜色の瞳には今、不満とからかいを含んだ視線が浮かんでいた。
俺は何もしていないのに、まるでわざと因縁をつけているようだ……そこで俺もわざと彼女に対して仏頂面をした。
「変ですね、湖櫻先輩は以前、お腹いっぱいになった時、自分がお腹いっぱいだなんて言わなかったはずですけど。」
「確かにそうだったね。でも、可愛い後輩たちと一緒に食事をしているんだから、私もそろそろ優雅で礼儀正しい先輩に昇格しなきゃね。」
彼女が黙ってさえいれば、彼女が口にしているような優雅で礼儀正しい人物に見えるはずだと、俺は心の中でツッコミを入れ、それから一回りして、拗ねたような返事をした。
「端月はともかく、俺は全然可愛くないし、面倒くさい人間でもある……だから先輩も遠慮しなくていいですよ。」
「あー、こんなことを言えるだけで、この人が本当に面倒くさいって分かるね。」
俺たちが互いにツッコミを入れていると、端月が突然口を挟んだ。
「逐幸、ご飯を食べ終わったなら、先に片付けてくれる? 少しだけ時間を節約できるから。どう思う?」
端月はとても魅力的な笑みを浮かべ、俺は思わず表情を強張らせた。
俺は彼女の指示に従い、使用済みのティッシュとお椀を皿の上に重ね、それらをトレーごと食器返却口へ持っていこうとした。
「気をつけてね──」
俺が立ち上がったところで、湖櫻先輩はくすくすと笑いながら、のんびりと言った。そのせいで、俺の心の中は複雑な気持ちになった。
くそ……あなたの遊びの計画は成功した!
俺は食器とゴミを分別して処理し、元の席へ戻ると、端月もちょうど食事を終えていたので、俺はもう一度足を運び、彼女の食器を返却してあげた。
席へ戻ると、俺はリュックから端月に貸す本を取り出した。彼女は礼を言った後、俺が差し出した本をそっと受け取り、慈愛に満ちた表情で本の表紙を眺め、それから慎重にベージュ色のトートバッグのファスナーを開き、本をバッグの中へ入れた。
湖櫻先輩は俺たち二人を眺め、目を細めながら感慨深そうな声を漏らした。
「よかった、どうやら全部解決したみたいだね。」
その言葉には少しの名残惜しさと彼女の優しさが込められていて、俺はどう返せばいいのか分からず、黙ったままでいた。
一方の端月は先輩を見つめ、唇を少し噛んだ後、控えめに頷き、「うん」と一声だけ返して、先輩へ挨拶をした。
少し前、俺は端月と喧嘩をして、湖櫻先輩にはかなり助けてもらった。もし彼女が惜しみなく協力してくれなかったら、俺と端月はあの時点ですでに完全に仲違いしていたかもしれない……
俺はわざと先輩に対して冷たい表情を浮かべているし、俺自身もあまり認めたくはないが、実はこの人にはとても感謝している……
ただ、少しでも素直な態度を見せると、すぐに弱みを握られて、そのまま踏み込まれてしまいそうな気がする。
俺は彼女を大切な友人であり、尊敬する先輩として見る一方で、少しだけ距離を保ちたいとも思っている。彼女が簡単に俺たちの間の隔たりを取り除き、直接俺の心に触れられないようにするためだ。
俺がそんなことを考えていると、端月と湖櫻先輩は別の話題について話し始め、その話題が終わったところで、湖櫻先輩が何かを思い出したように言った。
「そういえば、あと一週間で体育祭だね。あなたたちのクラスはもう準備を始めてるの?」
「先週、みんなが参加する種目を割り振って、今週から練習を始める予定です。」
「え? え? それっていつの間に起きたの……? 私、全然聞いてないんだけど?」
愛する恋人の言葉を聞いて、俺は突然、背筋に冷たいものを感じた。
それに対して、端月は人差し指の先で自分の美しい顎に触れ、少し考えた後、口元を緩めて言った。
「その時の逐幸は、たぶん別のことに気を取られていたんじゃないかな? 確かいくつかの種目に参加するんだよね。ちゃんと頑張ってね?」
「い、いや、そんなはずは……?」
先週、俺は端月に渡す小説の内容を書いたり確認したりすることに追われながら、同時に週末のデートの準備をしていて、頭の中は耴や彼女に謝ることばかりを考えて、二人が無事に仲直りできるようにすることだけでいっぱいだった。
まさか自分の注意がこのことばかりに向いていたせいで、今になって突然緊張感を呼び起こされることになるとは思わなかった。
俺は慌ててスマートフォンの通信アプリを開き、クラスのグループ内にあるノートを確認した。
「ええと……本当だ。あ、ちょっと待って? なんで四百メートルリレーまであるんだ……?」
本当に走れないわけではないが、正直なところ俺は走るのがあまり好きではないので、少し抵抗がある。
まあ、いいか……
曜光もこの種目に参加するなら、多少は楽しくなるだろう? 取材だと思って、少し気を楽にして参加しよう。
「はぁ、時間を見つけて少し練習しないとな……」
俺は額を押さえ、途方に暮れたような声を漏らした。
俺の様子を見て、端月は微笑みを浮かべ、湖櫻先輩はまるで母親が子供を見つめるような眼差しを向けてきた。
なんだよ……なんで二人ともそんな表情をするんだ?
「いいね、どうやらうちの学科に四百メートルリレーの優勝者が一人増えるみたいだね。」
「えっと、先輩、ここぞとばかりに難易度を上げて俺へのプレッシャーを増やすのはやめてもらえませんか?」
湖櫻先輩が俺をからかう機会を見逃すはずもなく、俺のツッコミに対して、二人の女性は申し合わせたように、品があり、それでいて彼女たちの心からの気持ちを感じさせる、耳に心地よい笑い声を上げた。




