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第五章 寒冷(5)

先輩は録音の秒数を見つめながら数え始め、意気揚々とした表情を浮かべていたが、俺は彼女の瞳から、その態度がこの上なく真剣であることを感じ取った。だから俺も真剣に答えた。


「俺が構想している物語の中に、こんな女性キャラクターがいるんだ。明るい性格で、人に対する態度も気さくなだけでなく、とても優しい。よく人をからかうけれど、いつも主人公にたくさんの助けを与えてくれる。


最初の印象は、ただ綺麗で頼りになるお姉さんだったんだけど、主人公との交流の中で、もっと繊細で、脆い……いや、もしかしたら強い一面と言ったほうがいいのかもしれない。


彼女はいつも様々な挑戦に勇敢に立ち向かい、他人に対して慈愛と寛容に満ちているけれど、自分自身にはとても厳しい。いつも人を……主人公を感動させ、憧れさせて、ときには後者を少しドキドキさせるんだ。」


冒頭の数句を聞いた時点で、先輩はすでに俺の意図を理解していた。そして今、彼女は俺に合わせるかのように尋ねた。


「その女性キャラクター……物語のヒロインなの?」


俺は微笑みを浮かべ、ゆっくりと、できる限り軽やかでありながら、確かな口調で言った。


「彼女はメインヒロインじゃない……でも──彼女は主人公にとって、とても大切な人なんだ。」


「そう……」湖櫻(みさくら)先輩の答える声が震えていた。「うん、分かってる……分かってるよ……」


俺は思わず歯を食いしばりそうになったが、まだ言葉は終わっていない。だから自分を促すように、先を続けた。


「この作品では、この主人公は彼女をメインヒロインとして見ることはできない……でも、俺はこの架空の世界のどこかには、絶対に彼女を大切にしてくれる、別の『主人公』がいると信じている。だって彼女は、それほど人に愛される価値があって、輝いていて、この上なく格好いいキャラクターだから。」


「……どうして……そんなにはっきりと言えるの? もしかしたら、その後、彼女はあなたが言うような、自分を大切にしてくれる主人公に出会えないかもしれないんだよ? それじゃあ、たとえ彼女がどれだけ素晴らしくても、何の意味もないんじゃない……?」


「俺は言っただろう? 俺は物語を書く創作者なんだって。もし誰もそんな物語を描いていないのなら、俺は確信を持って、必死にそんな物語を書き上げる……そして完成したら、その物語を彼女に贈る。


だって俺は、このキャラクターの良さを覚えている。彼女の美しさを覚えている。彼女の弱さを覚えている。彼女と他の人たちとの温かな交流を覚えている。彼女が俺の頭の中に残した記憶は、決して意味のないものなんかじゃない──俺はそのことを彼女に伝えたいんだ。彼女の幸せを祝福したい。たとえ今のこの作品の中じゃなくても、別の物語の中で、彼女が自分自身の幸せを見つけられるように願っている。」


そしてそこまで話して、俺はようやく、かつて今のこの作品を創作しようと思ったのは、誰かを大切にしたかったからだということを、少しずつ思い出した。二人にとって大切な思い出を使って、代わりのない作品を創りたかったからだ。


その時、先輩が小さな声で言った。


「……今あなたが言ったやり方、本作のメインヒロインは賛成しないんじゃないかな。」


「俺が彼女に話した時、最初から賛成してくれるかどうかは分からない……でも、俺は一生懸命お願いして、理解と同意を求める。そして俺は……最後には彼女が同意してくれると信じている。だって──彼女は俺の中で最高のメインヒロインだから。その大切なキャラクターにとっても、彼女はきっと、とても大切な人なんだ。」


先輩は、人差し指で目尻にきらめく陽光のような涙を拭い、俺に対して少し眉をひそめながら言った。


「何よ、やっぱり嫌な創作者ね。いろんな手段を使ってヒロインを言いくるめることしかできないなんて……本当に最低。」


俺がどうやって同調しようかと考えていると、先輩は優雅に大きく伸びをして、立ち上がって尋ねた。


「それじゃあ、私の愛しい逐幸(つぐゆき)後輩、あなたが使っているペンネームは何なの? もう録音までしたんだから、証拠を徹底的に残して、約束を破る可能性を根絶しなくちゃね。それとも、あなたはそれすら自分のメインヒロインに教えていないの?」


彼女は純粋な眼差しで俺を見つめ、俺も立ち上がった。


「俺のペンネームは逐夜(つぐや)──世界一になる予定の創作者だ。俺は今、奏 湖櫻(かなで みさくら)先輩に約束する。メインヒロインの同意を得られたなら、湖櫻(みさくら)先輩が、この世界には自分だけの幸せを見つけられると信じられるような、唯一無二の物語を書いて、直筆サインを添えて贈る。これでいい?」


「もう口に出して言ったからね。できる限り、あなたのメインヒロインの同意を得てちょうだい。」


湖櫻先輩が手を差し出し、俺もしっかりと握り返した。二人は五秒間そのままにしてから、同時に手を放した。


「俺は頑張る──そしてその前に、やるべきことを終わらせないとな。」


「うん、あなたを信じてる。約束だからね。」


湖櫻先輩の頬は、雲の向こうから差し込んできた陽光に照らされ、とても明るく見えた。


そうだ……もう一つある。


それは、もともと俺が先輩にお願いしようと思っていたことだ。でも、このタイミングでは少し切り出しにくい。


しかし、ここまで来た以上、思い切って聞いてみるしかなかった。


「それで……あの、湖櫻先輩。」


「ん? どうしたの……?」


俺は、自分が先ほど座っていた場所の近くから、中くらいの白いビニール袋を一つ持ち上げた。中にはたくさんの物が入っている。


「俺、あなたに……いや、お願いがあるんだ。この袋を端月(はづき)に渡してもらえないかな……?」


湖櫻先輩は突然、俺に軽蔑の眼差しを向けた。俺自身も、本当にひどいことをしていると思ったので、これは自業自得だ。


「……中に何が入っているのか、見てもいい?」


「えっと、問題ない。」


先輩はビニール袋を受け取って地面に置き、それからビニール袋の口を開いた。そこには、俺が昼休みに学校の外まで買いに行った品物が姿を現した。


「これって……」


先輩は険しい表情を浮かべ、さらに手で袋の口を開きながら、中身に向かって呟き始めた。


「鎮痛剤……温熱シート……カイロ、それから……何種類もの小袋のお菓子、そしてこれはウェットティッシュ……もちろん、一番重要な生理用品も……」


先輩の表情は重く、同時に珍しく不機嫌そうな様子を見せていた……いや、正確に言えば、今では春風のように穏やかな笑みを浮かべているように見えるが、実際には怒りを限界まで抑え込んでいる表情で言った。


「まさか……私を挑発しているの? ……あぁ──? あぁ──? こんなこと言いたくないけど、あなた、先に二、三回死んできてくれない? 最低、役立たず! どうして私がこんなものを渡すのを手伝わなくちゃいけないのよ? しかも、こんな状況で……?


やっぱり創作者の頭の中って、何を考えているのか分からないわね? そんなに度胸があるなら、自分で持っていって自分のメインヒロインに渡しなさいよ! 『これは君のために特別に用意したんだ』って言えば、きっとかなりの確率ですぐに許してもらえるでしょうね……!


そうだ、特別に一つ教えてあげる……今この瞬間は、私が大学に入学して以来、一番腹が立っている時だから。私たちの先輩後輩関係を断ち切ることまで考え始めている……あなた、今の私の気持ちが分かる──?」


先輩から凄まじい迫力が放たれていた。俺は思わず跪き、頭を下げて両手を合わせながら先輩に言った。


「本当に申し訳ありません。でも、どうか先輩、今回だけ助けてください!」


その時、気まずい沈黙が訪れた。


十秒ほど経った頃、頭上から先輩のため息が聞こえてきた。


「さすが本作の主人公ね。メインヒロインのために、こんなものまで用意するなんて……分かった。あなたが一生懸命お願いしたことに免じて、重要なサブキャラクターである私が、彼女に渡してあげる。でも、手伝うのは今回だけだからね。」


──まったく、そんなにあの子のことが好きなら、どうして自分で持っていかないのよ?


先輩はそう言いながら、もう一度ため息をつき、困ったような表情を浮かべて呟いた。


「……やっぱり、奪い取ったほうがいいのかな?」


──後半のこの一言については、申し訳ないけれど、聞かなかったことにさせてほしい。





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