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第四章 試練(4)

「先輩、ご指導ありがとうございました!」


ネットを挟んで、同じ側に立っている俺と曜光(あきみつ)は、順番に二人の先輩と握手をして感謝を伝えた。


一人の先輩は、先ほど試合をしていた時と同じような控えめな表情で俺たちに頷き、そして俺たちを労う言葉をいくつか掛けてくれた。彼のプレースタイルは粘り強さに満ちており、スマッシュとドロップショットの間を自在に切り替えることができる。まるで海が大波を巻き起こすこともあれば、時には波一つない穏やかな海になるようだった。


もう一人の先輩は、俺たちに勝った喜びを率直に表し、俺と曜光にもっと練習するよう言ってきた。このように試合に勝つことを楽しんでいる姿は、俺も嫌いではない。彼はプレー中の動きが非常に速く、ラケットの振りも力強いタイプで、さらには一球が偶然俺の顔に向かってスマッシュされることまであったのに、俺はこの球を返すことができなかった……それがとても悔しかった。


二人の先輩は俺たちとの交流試合を終えると、雑談をしながら傍らの休憩スペースへ歩いていった。曜光は豪快に地面へうつ伏せになり、大きく脚を開いて座ると、そのままラケットもコートの上に置いた。そんな動作をしてもラケットを大切にするとは、さすが俺が勝手にライバルとして認めた相手だ。


俺も曜光を真似してコートの上に座り、自分の息を整えた。今もまだ少し息が上がっている。体育館のコートの床は比較的滑りやすく、その分、太ももが触れると涼しく感じる。


「負けたな……くそ……!」


曜光はそう言いながら後ろへ倒れ、俺は思わず両手を後ろについて身体を支え、顔を上げて天井の高い体育館の天井を見上げた。上にある半球型の照明が眩い光を放っていて、その時になって俺も空調による涼しさを少し感じた。


俺の頭の中には、先ほどの試合の場面がいくつも浮かんできた。練習不足のせいで、ある時はサーブミスで点を与え、ある時はカバーに入れずに二人の間に先輩から攻撃される隙を作り、そうでなければ自分が担当すべき球なのに身体能力が追いつかず、追いつけなかった。


前衛に立っていた俺はせいぜい補助に過ぎず、後衛の曜光は俺より明らかに実力が高く、何度も俺をカバーしてくれた。


悔しい。


本当に悔しい。


俺も、彼と本当の意味で肩を並べて戦えるチームメイトになりたい。


先輩に勝ちたい。俺は彼らに勝ちたい。


俺は歯を食いしばり、すべての感情を飲み込んだ。胸の中で燃えていた炎は、それによって消えることなく、むしろさらに勢いを増していった。


次は絶対に勝つ。


「そうだな。次は俺たちが絶対に勝とう。」


その言葉を聞いて、俺は思わず曜光を見る。どうやら俺は「次は勝つ」と口に出していたらしい。


曜光は両手で顔全体を覆い、まるでこの試合を振り返っているようでもあり、自分自身に新たな誓いを立てているようでもあった。


いや──その誓いの中には俺も含まれている。この言葉によって、俺はもっと成長しなければならないと思った。


家族からの俺への期待なら、俺はただ純粋なプレッシャーとして受け止めるだけだ。


だが曜光なら、俺は闘志を燃やし、彼の期待を裏切りたくないと思う。


失敗に笑顔で向き合おう、などとは言えないが、俺は今感じている悔しさと後悔、そして自分が背負っている期待と信頼を、自分がもっと強くなるための原動力にすることを決めた。


俺たちは十分ほど休んでから、ようやくネットと床に散らばったシャトルを片付け、クールダウンをしてから用具を持って体育館を出た。


「お前、まだ用事があるだろ。ラケットバッグは俺が持っていって、学科事務室に返しておくよ。」


俺たちは三階から一階へ降り、体育館を出ると屋外のバレーボールコートが見えた。同時に、蒸し暑い空気が肌にまとわりついてくる。俺が曜光にそう提案すると、彼も快く「おっ、助かる。それじゃ頼むわ」と言い、俺は彼が持っていた用具を受け取り、曜光はラケットバッグを俺に渡すために地面に置いていたトートバッグを持ち上げた。


「よし、それじゃ俺は学食で何か買って、そのまま向かうわ。また明日。」


「うん、気をつけて。」


曜光は俺に手を振り、それから早足で学生食堂の方向へ進んでいった。彼はこのあと音楽科の先生と約束があり、先生に自分が作った曲を見てもらうつもりらしい。


──頑張れ。


俺は心の中でそう言いながら、彼の背中を見つめつつ自分のペースで歩いていった。


学科事務室の前にあるロッカーへ行き、ネットとシャトルのケースを決められた場所に戻してから、学科事務室の中へ入った。


そこにいたのは、パソコンの机の前に座っている学科のアルバイトで、俺の同級生でもある。俺たちは軽く挨拶を交わし、俺が学科で管理している施設を利用するための記入をするつもりがないと分かると、彼は下を向いて買ってきたチキンレッグ弁当を食べ続けた。


俺は傍らの通路から奥へ進んでいった。アルバイトが使っているパソコン机の右側には学科の事務を担当する助手の定位置があり、反対側には教授たちの席もあるが、普段は教授たちはそれぞれの研究室にいることが多く、たまにここへ来て雑談をしたり、事務作業をしたりする程度だ。


そしてアルバイトの後方にある区域は、学科の学生が自由に利用できる交流スペースになっている。


八人が使える長机と、それに対応する人数分のソファチェアは、行き場のない学生が得られる休憩場所としては、少しばかり豪華に見える。


「端月(はづき)。」


俺は恋人の名前を小さな声で呼んだ。


彼女は俺のいる側から数えて二つ目の席に座っていた。机の上には原書と自分のノートが置かれていて、彼女は頭を下げ、ノートに新しい内容を集中して書き込んでいる。黒く真っ直ぐな髪は、滑らかな滝のように肩から下へ流れていた。


整った耳にはカナル型イヤホンを着けていて、どうやら音楽を聴いているらしく、俺の声には気づいていないようだった。


俺がもう一度呼ぶと、彼女は少し驚いたように、一拍遅れて振り返り、俺と目を合わせた。俺だと確認すると、顔にも微笑みが浮かんだ。彼女は右手で片方のイヤホンを外し、心が浮き立つような声で言った。


「おかえり?」


「うん、ただいま。」


表面上は軽く答えたものの、実際には自分の鼓動が突然大きく速くなったように感じた。


体育館へ練習に行く前、俺は普段、自分の私物を一時的に学科事務室に置いて、荷物を軽くするようにしている。普通はこの学科事務室に置いてある物を勝手に持っていく人などいないし、俺も普段はあまり気にしていない。だが今日は、端月がここで勉強すると言って、ついでに俺の私物を見ていてくれるというので、俺は恋人の好意をありがたく受け入れた。


「もう少し待ってて。もうすぐ一つの区切りまで読み終わるから。」


俺は頷いて分かったことを示すと、端月はイヤホンを再び着けた。俺は水筒を持って学科事務室の外にある給水機へ行き、冷たい水を入れた。


体育館に設置されている給水機は多くの人が使うため、水温がぬるま湯や温水程度になってしまうことが多い。そのため、時にはそこで喉を潤す程度に少しだけ飲み、学科事務室に戻ってから思い切り水分を補給することもある。


俺は冷たい水の心地よい温度をゆっくり味わいながら、端月の向かいに座って彼女を待った。さらに二十分ほど経った頃、端月は参考書とノートを閉じ、俺たちはようやく一緒に学科事務室を出た。


「もうお腹空いた?」


「──すごくお腹空いた。」


階段を下りながら俺がそう尋ねると、端月の率直な答えが可愛かった。


「それじゃ、どうしてまだ勉強を続ける力があるの?」「逐幸(つぐゆき)、これは意志力の問題よ。」


「今日ここまで読み終わらなかったら、続きはもう触りたくない、とか?」「私は意図的にそういう言い方をしていないけど、あなたは私の言いたいことを理解していないみたいね。」


「そういえば、確かにそろそろ中間試験の週だよな……」「うん、まさかまだ準備を始めてないの?」


「準備はしてるよ。ただ、今のところあまり自信がない。やっぱりそろそろギアを切り替えて、少しペースを上げて進めていかないとな。」「何それ? ちゃんと頑張ってね。」


こうして他愛のない雑談を交わすだけでも、俺はとても楽しかった。


俺たちは適当に店を探して食事をした。時には学生食堂を選ぶこともあるが、時には学校を出て近くの店で食事をすることもある。


食事を終えた後は、また一緒に駅まで歩いて電車に乗る。


毎週金曜日、これは俺がとても楽しみにしている時間だ。


「このあと、どこかぶらぶらしに行かない?」


だが今日は、俺はそう端月に提案した。


俺たちは手を繋いで街を歩き、端月は振り返って俺を見ながら言った。


「明日はかつ姉のところでアルバイトするんじゃなかった? こんなことしてたら、遊ぶのが遅くなりすぎない?」


俺はわざと真剣な表情を浮かべた。いや、俺はさらに何かまずいことでもあるような様子を装って言った。


「うん、確かにそうなんだけど……でも……まさか、まさか──! かつ姉が昨日、土曜日は店に定期設備点検の人を呼ぶから、明日は仕事に出なくていいって言ってたんだ。」


この言葉を聞いても、端月は驚いた様子を少しも見せず、平然と言った。


「逐幸……あなた、かつ姉を怒らせて、シフトに入れてもらえなくなったんじゃないでしょうね。ダメよ? ちゃんと彼女に謝って、許してもらえるようにしないと。」


俺はそれに対して一秒間黙り、それから繋いでいた彼女の手を指でからかうようにつつき、彼女から「きゃっ!」という可愛らしい声を上げさせた。


「ずるい、どうして暴力を使うの?」「これは、明らかに本当だと分かっているのに、わざと信じていないふりをした人への罰だ。」


俺たちは少しだけ対峙するふりをし、その後、二人とも顔を引き締めていられずに笑った。端月はすぐに繋いだ手を揺らしながら言った。


「分かったわ。それじゃ、どこへ行く?」


「とりあえずメイン駅の方向へ向かって乗っていこうか。それとも、どこか行きたいところがある?」


「私はどこでもいいわ。あっちへ行って適当にぶらぶらしましょう。」


そうして、俺たちはそれぞれ定期券を使って駅入口の改札を通った。


三分ほど待つと、無事にメイン駅へ向かう地下鉄に乗ることができた。


まだラッシュアワーの終わり頃なのかもしれない。人波がとても激しい。


俺は自分の心の中も、駅の中の人波と同じようにいっぱいに詰め込まれているように感じた。


俺たちはメイン駅で降りた。今日は金曜日の夜で、多くの人が安心して遊べる時間帯ということもあり、ここでは人の波が減っていないようだった。俺たちは駅の中で、人混みをかき分けるようにして進まなければならなかった。


「地下街のほうを見て回る?」


「うん……あっちも人が多そうだし、百貨店のほうへ行きましょう。」


「そっちのほうが人は少ないの?」


「分からないけど、空調はたぶん強いと思うから、思い切り呼吸できる感じがするわ。」


「何だよ、その例え。でも、言いたいことはなんとなく分かる。」


俺と端月はメイン駅の改札を出ると、内部の連絡通路を通って百貨店の方向へ歩いていった。


途中、いくつかのタピオカドリンク店に行列ができているのが見えた。俺が端月を見ると、彼女は喉が渇いていないと首を横に振った。


──それに、節制もしないといけない。


女性の体重の問題はデリケートな事項なので、俺は端月が小さな声で言った言葉を、自分自身へのちょっとした戒めだと受け取った。


以前読んだ本で、主人公が背負っている妻から体重について尋ねられ、正直に答えただけで、彼女に冗談半分に首を絞められる場面があった。二人ともふざけている部分はあったものの、この話題をさらに掘り下げるのは冗談では済まないだろうと思う。


俺たちは百貨店の中へ入り、やはりここは先ほどと比べてかなり空いていた。


一階なら女性向けの化粧品を販売しているが、ここは地下一階で、主にパン、飲み物、揚げ物などの軽食を販売している。さらに下の階へ行けば、うどんや定食といった、量の多い普通の食事がある。


俺たちはそのままのんびりと手を繋いで歩き回った。


一階で化粧品の匂いや色を見ていると、端月は桃色と桜色の二種類のファンデーションを手に取り、俺にどちらが綺麗かと尋ねてきた。


「あなたは比較的控えめな感じだから、後者じゃないかな。それに、そのほうがあなたの肌の色と基調が近い。」


「私は逐幸なら、直接分からないって言って、適当にあしらうと思ってた。」


「は? それは創作者を馬鹿にしてるのか? 俺たちみたいな人間は普段から一番細かいことを気にするし、比較するのも一番得意なんだぞ!」


「うーん……この辺りに創作者がいるのかしら? ちょっと彼らに聞いて、本当にそんなに細かいことを気にするのか確かめてみようかしら。」


「頼むから絶対にやめてくれ。」俺は、人混みに視線を向けてインタビューする相手を探し始めたふりをする端月を慌てて止めた。


──それに、もし適当にあしらうなら、あなた自身のほうが綺麗だって直接言う。まあ、それが事実なのは間違いないけど……


俺がこの言葉を付け加えると、端月はようやく俺を許してくれたかのように、視線を陳列された化粧品へ戻した。


彼女は手にしていた化粧品を置き、「行きましょう」と俺に言った。そして、その歩みは少しだけ速くなったようだった。


俺たちは何も買わなかったが、それでも一緒に買い物をするのは楽しかった。


その後、俺たちはエスカレーターに乗って上の階へ向かった。


百貨店の動線は、通常、さらに上の階へ行くエスカレーターへたどり着くまでに半フロアほど歩くように設計されていて、入居している店により多くの商品を展示する機会を与えているが、この設計は客にとっては時に不便だ。


俺と端月は手を繋ぎ、途中で女性用下着の専門店を通り過ぎた。


ちょうど俺が視線を逸らして余計なものを見ないようにしていると、端月が口を開いた。


「逐幸、どんな色が好き?」


彼女は前方へ視線を向け、平然としているふりをしていた。俺は心の中で「まさか、こう来るとは」と思い、それから答えた。


「ん? どうして急にそんなことを聞くんだ?」


端月は軽やかな足取りで歩きながら、偶然思いついたかのような口調で言った。


「前に、あなたは高校時代に芸術科目の総平均が上位だったって言ってたでしょう。それを思い出したら、あなたがどんな色を好きなのか気になってきたの。」


端月の口元には穏やかで上品な微笑みが浮かび、それから少しだけ顔をこちらへ向け、好奇心の宿った目で俺を見つめた。


青藍色の瞳はまるでサファイアのように、多層的な光を反射していた。


彼女が尋ねてきたのだから、俺は頭の中でさまざまなシチュエーションイラストをシミュレーションし、よく考えてからゆっくりと答えた。


「普通なら、俺はピンクが好きだって言うかな。でも水色も意外と見飽きないし、かなり好きだ。それから……うん、紫と白かな。どちらもそれぞれの良さがある気がする。」


俺は答えながら、端月の反応も観察していた。


だが彼女の顔には感情の揺らぎは見られず、ただ集中して俺の話を聞いていた。


俺が話し終えると、彼女は顔を前へ戻し、それからちょうど俺に聞こえるくらいの声量で一言返した。


「スケベ。」


俺の頬が熱くなるのを感じたので、話題を逸らすように尋ねた。


「じゃあ、君は? どんな色が好き?」


手を繋いでいるにもかかわらず、端月の動きには何の停滞もないことは分かっていたが、俺には彼女が一瞬だけ立ち止まったような錯覚があった。


「うーん……白、青、それから緑かな。」


まるで俺がさらに尋ねるのを防ぐように、端月は続けて説明した。


「中学生の頃は、どの教室にも廊下側に花壇があって、教室のプレートの下にも、花壇と同じようなポトスが一鉢ずつ置いてあったの。その時、私は掃除当番でそれらに水をあげることになって、それで緑が好きになったの。」


「ああ、だから君には襟元に薄緑色のリボンが飾られた白いブラウスがあるのか?」


「うん、その通り。あれは私がとても気に入っている服よ。」端月は驚きと温かさを含んだ雰囲気を見せ、それから少し微笑んで「このことを覚えていてくれたのは嬉しいけど、今日私が単独で好きな色については、だからといってあなたに教えるわけにはいかないわ」と言った。


その言葉に対して、俺はただ二人で繋いでいる手を揺らし、それから一言言った。


「スケベ。」





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