第一章 繋がり(1)
翌日、俺はある大学の正門前へやって来た。
国立日和教育学院。
この大学は小学校教育の教員を育成することに力を入れている大学、つまり小学校の先生を育てる大学だ。
交通の便が良く、公共交通機関を利用すれば簡単にここまで来ることができ、近隣には舞永大学のような学校もある。
ここ数年、舞永大学の卒業生には国際的な賞を受賞した漫画家も含まれているが、日和教育学院は学生の目標が小学校教師になることか、あるいはそれを進路としてさらに大学院へ進学することだからなのか、最近ここから有名人が卒業したという話は聞いていない。
正門を通り抜けた後、俺は学科のある場所へ向かい、先輩たちに案内されて大講堂へ入った。
今日は日和の新入生の入学式だ。俺は緊張と期待を半分ずつ抱えながら人と接し、その後も隣にいた学生と少しだけ言葉を交わした。
先輩たちや他の新入生との会話で、俺はこの学校が日院、あるいは日和と略されることも知った。このような呼び方があるのは確かに便利だ。
実際、大学入試の成績が発表された後、俺も母さんに付き添ってもらってこの学校へ面接に来たことがあるため、通学の状況も少しは分かっており、大体一時間ほどの移動時間を確保する必要がある。
そして電車に乗っている時間は比較的長いものの、降りた後はあまり歩かずに到着できることが利点の一つだ。
俺は背もたれの座り心地が良い椅子に座って待ち、手元にある何枚かの部活のチラシや配布された授業資料を何度も読み返していた。
そうして一連の入学式の儀式が終わり、俺は退屈さと睡眠不足によって重くなった身体を引きずりながら、クラスの列について学科専用の教室へ戻った。
途中で教育学科の事務室を通った時、上に掲げられた活気がありながらも整った書道の文字が、かえって俺の注意を少し引き起こし、これから始まる大学生活への興奮をまた少し増やしてくれた。
俺たち一年生の同学科の学生たちは次々と専用教室へ入り、列の順番に従って一人ずつ着席していった。
その後、新任の担任が壇上へ上がり、簡単な自己紹介をした後、俺たちにも席順に従って自己紹介をするように言った。
俺の番になると、何を話せばいいのか分からなかったので、俺はただ自分が読書が好きだと適当に話した……もし自分はアニメを見るのが好きだと言って、作品について聞かれた挙げ句、興味がないという目を向けられたら少し悲しくなるので、こういう展開はやめておこう。
そんな時、数十人の学生による長い自己紹介が、ある人物の番になった。
彼女は立ち上がると、少し周囲を見回し、その視線が一瞬だけ俺と重なったように感じた後、澄んだ静かな声で言った。
「皆さん、こんにちは。私の名前は繋 端月です。時々コンサートへ行き、普段の趣味は古典文学作品を読むことです──」
肩まで伸びた黒い髪、少し青みがかった瞳には生き生きとした光が宿っている。彼女はきちんとした女性用のシャツに、膝を覆うほどのスカートを合わせており、文学少女という印象を与えていた。
俺もこの女子と同じく春風高校を卒業し、三年間同じクラスだった。だが、互いの間にそれほど多くの交流があったわけではなく、普通に話せる程度の関係を保っていた……少なくとも俺個人としては、そんな感覚だった。
俺たちが通っていた春風高校は有名な進学校で、志望校を日和にする学生は少なく、多くはさらに偏差値の高い大学を目指すか、あるいはそのまま海外へ留学する。俺が面接に来た時、試験会場で端月を見かけたのは意外だったし、少しだけ彼女を励ました。まさか最後には彼女も合格したのか。
端月の自己紹介が一段落すると、男子学生たちがひそひそと話し、端月はとても綺麗だと言っていた。その点については俺も完全に同意する。
「逐幸、これから時間ある?」
今日のすべての予定が終わると、担任はあっさりと放課を告げた。だが、俺が予想していなかったのは、端月が俺のところへやって来て話しかけてきたことだった。俺は思わず荷物を片付ける手を止める。
「お、おう。俺は特に用事ないから、帰ろうと思ってた。どうしたんだ?」
まさか、一緒に少し歩こうと誘っているのだろうか? 新しい環境に向き合う中で、同じクラスの同級生と少し一緒に歩けば、多少は慣れることができるかもしれない。
「あなたに話したいことがあるんだけど、ここだとあまり都合がよくないから、場所を変えたいの」
端月は視線を上げ、心地よい声を発した。俺は彼女の瞳と正面から目を合わせたが、それでも彼女がいったい何を言おうとしているのか読み取ることはできなかった。高校時代のことや、何か大学に関する情報のことだろうと思った。
「俺は大丈夫だ。それじゃあ行こう」
チラシをしまった後、俺は鞄を背負い、端月について教室を出た。
俺たちは階段を下りると、端月はある方向へ向かって歩き始め、最後に俺たちは静かな場所へやって来た。
そこは芸術関連の学科の建物に囲まれた中庭だった。
中庭には白い小さな花を咲かせた木が何本か植えられており、土がもたらす自然の匂いも感じられる。
芸術学科の建物へ目を向けると、建物全体の教室の扉や窓は閉ざされていた。もしかすると、俺たちより解散する時間が早かったから、もう人はいなくなったのだろう。
周囲には、遠くのグラウンドから聞こえてくる学生たちの話し声を除けば、枝の上で鳥たちが鳴く声だけが残っていた。
俺は面接の日にもキャンパス内を大まかに歩き回ったが、その時はこの区域までは来なかった。そこで俺は、近くの芝生にパブリックアートの作品も設置されていることに気づいた。もしかすると、本校の学生の作品なのだろうか。
その時、隣を歩いていた端月がふいに足を止めた。
「この辺でいいかな」
端月は小さな声で言った。もしかすると何か相談したいことがあるのだろうか? だが、俺には相変わらず状況が分からない。
すると、端月が振り返り、俺と正面から向き合って、俺の目を見つめた。
俺たちは思わず沈黙に陥った。俺がまるで彼女の深い瞳に吸い込まれそうになった時、端月の声が俺の目の前で澄んだ音を響かせた。
「私、あなたのことが好き。高校の頃からずっと好きだったの。私と付き合って……恋人になってくれない?」
え──?
俺の頭の中は一瞬で真っ白になった。
……え? これはいったい……どういう、ことだ?
我に返ると、端月の瞳に一筋の光が浮かび、桜色の唇が震えるように結ばれているのが見え、俺は先ほど聞いた声が自分の幻聴ではなかったことをようやく理解した。
普通のアニメに登場する女の子と比べても、端月の頬は赤くなっていない。外見だけを見れば、まるで先ほど何も起きなかったかのようだった。
整った顔立ちで、今は少し不安そうに俺を見つめている。彼女はしばらく返事をしなかった。きっと俺の答えを待っているのだろう。
これでもう一度、彼女が先ほど本当にあの言葉を俺に告げたことが証明された。そして今さら、もう一度言ってくれなんて頼むこともできない。
その時、端月は息を吸い、再び口を開いた。
「もしさっき、よく聞き取れなかったのなら、もう一度言い直してもいいけど──」
「い、い、い、いい! そ、そ、そ、それはいい──! き、聞こえたから、その、今は、頭の中がちょっと混乱してるけど、もう一度繰り返さなくても大丈夫だから、ありがとう」
俺が慌てている様子を見て、端月はなぜかむしろゆっくりと表情を緩めた。
まさか、あれなのか。学園恋愛物語でよく使われる悪戯展開なのか? いや、違う。端月はこんな冗談を言うような人じゃない。だから、これって全部本当なのか?
「高校の時……私たち、そんなに話してなかったよね?」
「うん、そうだな」
高校時代の話になると、端月の表情はまたずいぶん柔らかくなった。彼女は隣のベンチを指差し、先に腰を下ろした。俺も全身を硬直させながら、彼女の隣に座った。
さっきまであれほどはっきり聞こえていた鳥の鳴き声が、今では自分からずいぶん遠く離れているように感じられた。それよりも心臓の音がドクンドクンと響き、やけにうるさく感じられる。
高校一年の時から俺たちは同じクラスに振り分けられ、高校二年に進級した後も、卒業するまで同じクラスだった。
だが、本当に言うなら、話す回数は少なく、普段もそれほど接点はなかった。せいぜいグループ活動か、あるいは課題を提出する時くらいだろう。
「自分でこんなことを言うのはちょっと恥ずかしいんだけど、私は逐幸が高校二年の頃から私のことを好きだったんじゃないかって感じてた。たぶん、そうだよね?」
その言葉を聞いた瞬間、俺の身体が不意に小さく震えた……しかも、その動きは止まらなかった。
「どうして、そんなふうに思ったんだ……?」
「半分は、いや、二割くらいは推測からだけど、全体としては大体八割くらいの確信があるかな」
ええと、それって基本的には確信してるってことだよな、端月さん?
「そうね。たぶん、視線かな。私たち、時々目が合ってたでしょう? その時のあなたの様子から、この人は本当に私のことが好きなんだなって感じてた」
端月は冷静な口調で言い、前方の枝先へ視線を向ける。純粋な瞳には、人を惹きつける光がきらめいていた。
「それから、もっと決定的な出来事──うん、あの時かな。ある日、私が文房具を忘れて落ち着かなくしていたら、あなたは一時間目が始まる前に気づいて、私が理由を答えた後も、気前よく文房具を貸してくれた」
あの時は本当に助かった──端月は小さくこの一言を付け加えた。
ああ……駄目だ。か、顔が熱くなってきた気がする。
自分の態度が、人の目にはこんなふうに見えていたなんて思わなかった。もしここに穴があったら、俺はきっとそのまま自分を埋めてしまうだろう。
「どうして、今このタイミングで告白することにしたんだ?」
俺が力の限り平静を装ってこの言葉を口にして、初めて、それがかえって自分の気持ちをさらに証明してしまっていることに気づいた。
そうだ。俺は繋端月という女子が好きなのだ。そして確かに彼女が言った通り、高校一年の時は単純に彼女は感じのいい人だと思い、一緒にいて楽だった。だが高校二年になって、自分勝手に彼女のことをもっと理解できるようになったと思い、それがそのまま好きな相手へと変わっていった。
あの時、俺はこんな気持ちを表に出すつもりはなかった。それなのに、それでも彼女には完全に見抜かれていた。今この質問をしたのは、一方では好奇心からであり、もう一方では俺自身がまだ混乱の中にいて、自分の気持ちを整理するために少し時間が必要だったからだ。
「その時の逐幸は、新しい関係を築けるような状態じゃなさそうだったから。もちろん、私自身もそうだった。勉強と向き合う必要があったし、目標にしていた学校に受からなかったら、とても困ると思ってた。結局最後まで、自分のことを優先してたんだね」
端月は、そよ風のように穏やかな笑顔を浮かべた。
「他の部分はひとまず置いておくとして、確かにあの頃の俺は、学校へ行くことを辛いことだと感じていた。不正確に言えば、自分自身とどう向き合うべきなのかに、少し戸惑っていたんだ。あの頃はクラスの雰囲気も重かった……似たような小さなグループ同士で互いを排除するようなこともあった」
高校一年の時に父さんが家を出てから、俺の気持ちはずっと不安定な状態にあった。簡単に言えば、俺は毎日どこか憂鬱な気持ちを抱えながら学校へ通っていた。だが学校では母さんや弟と向き合う必要もなく、家のことに向き合う必要もなかった。その点では、俺はむしろほっとしていた。
それに、俺たちの高校はもともと進学校だったので、勉強の成績を基準にしたり、あるいは人気の高さによってグループを作り、他の人を排除したりする状況が生まれやすかった。俺たちのクラスだけで言えば、クラスの有力者に気に入られなかったことで、何人もの同級生がクラスのグループから外された事件もあった。
「そう。だから私は決めたの。もし私たち二人が無事に志望校に合格したら、入学初日に告白しようって」
端月は平静な声で話していたが、俺にはその語尾が少し震えているように感じられた。




