第二章 両端(5)
「端月、ごめん。遅くなった。」
「……」
端月は返事をせず、顔を横に背けた。
「えっと、その、ごめん。さっき俺、スタッフだと勘違いされて、それで先輩たちのポイント巡回を手伝ってたんだ。」
「……」
端月は沈黙を続け、しばらくしてからようやく口を開いた。
「腕を組んで……まさか、それも仕事の一環だったの?」
やはり端月は、俺と先輩が腕を組んでいるところを見ていたのだ。彼女が不快に感じるのも当然だ。もし俺が端月とどこかの男が仲良さそうに腕を組んでいるところを見たら、俺だっていい気はしないだろう。
肝試しの活動説明の際にも、先輩が説明の中で同じグループの人と手をつないだり、腕を組んだりする必要があると言っていたので、端月もきっとこの決まりを知っているはずだ。だが、時には理屈では理解できても、不快に感じるときはやはり不快に感じるものだ。俺自身も、端月がほかの人と同じグループになったときにどのように接しているのか、意識的に考えないようにしていた。
今の俺にできることは、誠意を見せることだけだった。
「ごめん。俺が悪かった。君を不安にさせてしまった。」
俺はできる限り謝罪の気持ちを込め、腰を曲げて謝った。一秒ほど間を置いてから、続けて言った。
「えっと、その、埋め合わせと言えるほどのものじゃないけど、俺も端月と一緒に活動に参加したかったんだ。それで先輩たちに、好きな人と二人きりで体験させてもらえないかお願いしてみたら、先輩たちも快く承諾してくれた。一緒に遊べなかったのが本当に悔しくてたまらないんだ。俺と一緒に参加してくれない?」
俺は依然として俯いていたため確かめられなかったが、端月の気配がわずかに揺らいだような気がした。
俺はとても恥ずかしかったが、それでも意を決してもう一言付け加えた。
「ほかの人と身体を触れ合わせるより、俺は端月の手を握りたい。」
俺は前へ手を伸ばし、誘うように差し出した。
呼吸するたびに、何か重圧のようなものを感じた。俺は黙って端月の返事を待った。
およそ十秒が経った後、端月の指先がゆっくりと俺の手に触れた。
「……ごめん……ありがとう。」
柔らかな感触と、安心させてくれる温もりが次第に手のひらへと広がり、最後には俺たちの指が絡み合った。
俺は思わず顔を上げた。すると端月も視線を上げ、最初に唇をきゅっと結び、それから落ち着いた声で言った。
「逐幸と手をつなぐ……それは恋人である私だけの、専属の仕事。」
あまりにも愛おしくて、俺は危うく彼女を強く抱きしめそうになった。だが、今はまだ先輩たちやほかの学生たちがいるので、俺は頷いて言った。
「うん、ごめん。」
俺は手を握る力を強め、端月がさらに俺の指をしっかりと絡めてくるのも感じた。
「向こうへ行こう。」
「うん。」
俺たちは先輩たちのところへ戻った。湖櫻先輩は申し訳なさそうで、ようやく安心したような表情を浮かべ、さらに両手を合わせて俺たちに謝った。一方、先輩は無線機から届いた連絡を受けると、最後の一組が戻ってきてから出発するので、先に準備区域で待っているように俺たちに伝えた。
ほかの学生たちは、先に部屋へ戻って自由に休憩しているようだった。後ほど、まだほかの活動もあるらしい。
「さっきの人、なんていう名前?」
準備区域で、端月が気にしていないような声を出した。そして彼女が言っている「あの人」が誰なのか、ほかにいるはずもなかった。
「その人は奏 湖櫻先輩。同じ学科の二年生だよ。」
俺はおそるおそる答えた。頭の中には一瞬にしていくつもの答え方が浮かび、最後には上のような言い方を選んだ。
「……あなたたち、何を話していたの?」
どうやらこの彼女は、依然として気になっているらしい。俺は軽く話したが、これはただ少し現実から逃げているにすぎない。頭の中に恋愛コメディのさまざまな返答方法が浮かんだ後、俺はどうにか次のように答えた。
「えっと、先輩にそのまま二年生の授業内容を教えてもらったんだ。情報を得ておけば、これから対応しやすいと思って。」
「……それだけ?」
「先輩が俺の手伝いに感謝してくれて、授業を終えた教科書をどうするかという話になったとき、俺にそのまま譲ってくれるって言ってくれた。」
「……それだけ?」
俺は前方を見つめ、真っ黒な門の向こう側から最後のグループが早く戻ってくるよう祈った。
「ないよ、もう全部君に話したから。」
だが、俺が読んできた本によれば、ここまでしか話さないと困った状況に陥るような気がしたので、俺は続けて言った。
「それに実は、あのとき俺には先輩に話さなかったことがもっとあるんだ。彼女に話すつもりもない。」
この付け加えに対して、端月の表情がわずかに変化したように見え、それから言った。
「それって、どんなこと?」
「例えば、端月の可愛いところとか、もっと理解したいところとか、それから……」
俺は思わず言葉を止めた。すると端月は、困惑と続きを求める気持ちが入り混じった表情で、俺に先を言うよう促した。
「……君の、身体に触れたいとか、強く抱きしめたい、とか。」
頭の中には一瞬「胸」という文字が浮かんだが、俺はどうにか別の言葉に置き換えた。どうやらその間から俺の意図を感じ取ったらしく、彼女の頬も珍しく赤くなった。
「スケベ。」
幸いにもこのとき、前方の暗闇から最後のグループの輪郭が浮かび上がった。彼ら全員が戻ってきたことを確認すると、先輩は俺たちに中へ入っていいと伝えた。
そして彼が俺たちに通知した後、無線機越しに「これが本当の最後の組だから、ちょっとサービスしてやってくれ。みんな、任せたぞ」と付け加えたため、俺は思わず、これは何かの大盤振る舞いなのかとツッコミを入れたくなった。なんだかちょっと怖いぞ。
俺と端月は準備を整え、それから門の反対側へ足を踏み入れた。
ここの通路は、俺が先ほど歩いたスタッフ用の通路よりもさらに暗かった。両側の壁には窓が埋め込まれており、一定の間隔で設置された青藍色の蝋燭の明かりに照らされている。破損したガラスが不気味な光を反射し、空気には湿気と土が混じった生臭い匂いが漂っていた。空調が強く効いていて、これから直面する恐怖のためなのか、それとも温もりを求めているためなのか、自分でも分からないほど身体が震えた。
「逐幸、怖い?」
端月がそっと尋ねた。彼女の気分は少し良くなったようだった。少なくともこの瞬間まで、俺は妖怪や幽霊現象を恐れているというより、むしろ彼女と二人で築き上げた関係を、このまま失ってしまうことのほうを恐れていた。
俺は思わず肩の力を少し抜き、答えようとしたところで、端月が小さく笑い声を漏らした。どうやら俺が緊張して言葉が出ないと思ったらしい。
「俺はそんなに怖くない……えっと、そう答えたいんだけど……でも、もしこの後うっかり君に俺が慌てているところを見られたら、君も驚くだろうから、正直に認めることにする。」
まあ、情けないことではあるけど。俺は心の中でそう付け加えた。
「じゃあ、私たち二人とも同じだね。」
端月は身体を俺へ寄せたが、彼女の冷静な言葉からは、実際のところどういう状況なのか判断しづらかった。今、俺たちは手をつないでいて、端月も空いているもう一方の手を俺の腕に絡めている。腕には弾力のある感触が触れているのを感じ、端月の体温も伝わってきた。
「私も……怖いと思う。だから、ずっと私のそばにいて。」
その言葉から、端月も俺と同じように、何かをきっかけに二人の距離が次第に離れていくことを恐れているのだと感じた。
俺が答えようとしたとき、前方にぼんやりと人影が浮かんだ。
その人影は俯きながら手に編み棒とマフラーを持ち、呟いていた。
「一回、二回、三回、四回、十回……あら、数え間違えた。最初に百回以上斬ったから、分からなくなっちゃった。もう一度数え直しましょう。私が数え終わったら、そろそろこのマフラーであなたたちを包めるわ。」
声がとても不明瞭だったため、俺たちが近づいてから、ようやくそれが老婦人の声だと判断できた。
彼女は背中を丸め、鮮やかな赤いコートを身につけ、乱れた髪で下にある目を覆っていた。
「……」
俺は思わず端月の名前を呼ぼうとしたが、残念ながら声がまったく出なかった。一度このルートを通った端月でさえ、硬直した表情を浮かべていた。
俺は老婦人のそばにある通路を指差した。端月は頷き、俺たちは互いに寄り添いながら、その狭い隙間へと進んでいった。
そのとき、左側の壁からシュッという音とともに──何かが伸びてきた。
それは木の枝のように干からびた手だった。
次の瞬間、耳元に轟音のような雷鳴が響いた。一瞬の稲妻に照らされ、閉じられた窓だと思っていた場所に、二つのまばゆい光が浮かび上がった──それは明かりではなく、一対の赤い目だった。
その人物の口元からは赤い血が跡を残して流れ落ちていた。ペタッ、ペタッという音は後方から聞こえてきた。
そしてそのとき、後ろから何者かの気配がした。だが俺は本能的に、絶対に後ろを見てはいけないと感じた。
俺と端月は互いの手を強く握り、身体を縮こまらせて表面積を減らし、できる限り元の歩調を保ちながら前へ進んだ。速度を上げれば、あれらの注意をさらに引いてしまうのかどうか分からなかったからだ。
そして、立ち止まることなどもちろん今は選択肢になかった。
「恨めしい……ああ、恨めしい……全部、あなたのせい──今度こそ……あなたを、ふふ、ふふふ……」
老婦人の声がまだ響いている中、どこからともなくまた悲痛な女の声が聞こえてきた。
俺たちはその突き出た手のひらを回り込んだ。そして最も近くを通ったとき、手のひらは壊れたロボットのように不規則に回転した。
俺は思わず目を見開き、反射的に息を止めた。ようやくその狭い通路を通り抜けると、俺たちは真っ暗な部屋へ入った。
まるで俺たちを迎えるかのように、部屋の反対側でもう一つの明かりが灯った。だが、そのとき──誰かが俺の肩に触れ、強く掴み、さらに筋肉そのものをねじ切ろうとするかのように回した。
「う、うあ、あ、あああああああああああ──!」
俺は一瞬で全身に氷水を浴びせられたかのように身体が冷え、悲鳴を上げた。端月でさえ、普段なら絶対に聞くことのないような叫び声を上げた。
俺は思わず腕を回すようにして、少し身体を横にした端月を抱き寄せ、二人で一緒に早足で前へ進んだ。幸いにも、この動作によって俺の肩に乗っていた腕も振り払うことができた。
「端月、さっきもう遊んだんだよな? 次は何が出てくる?」
俺たちは板張りの床へ上がったが、ある曲がり角に近い場所で、喪服のような白い服を着た女性を見つけた。
「逐幸、いなかった……今の人、前に来たときは……出てこなかった……」
まるで泣き出しそうに、端月は震える声で言った。
「……あはは、ようやく一緒に遊んでくれる人が来たの? お姉ちゃん、嬉しいな──!」
白衣の女性は一歩、二歩と足を進めながら俺たちに近づき、その間も無邪気で軽快な口調で先ほどの台詞を口にしていた。だが、彼女が俺たちの目の前まで来た瞬間、突然別の顔に変わったかのように、狂気と悪意に満ちた歪んだ笑顔へと変わった──
「ノコギリ、もう用意してあるよ。あなたたち、私と一緒に遊んでいきなよ。絶対に逃がさないからね、このクソガキども! 一人も残さず、みんな殺してやる──あははははは!」
俺と端月の両脚はほとんど自分で制御できなくなっていたが、どこから湧いてきたのか分からない力で、俺はさらに端月を強く抱きしめ、動線の出口へ向かって速度を上げた。その途中で、どうやら一瞬だけあの女の幽霊の肩にぶつかったようだった。
このまま何かの呪いに取り憑かれたりしないだろうか? 俺の頭にはその考えだけが浮かび、俺たちはそのまま一つ、また一つと次のポイントを突破していった。
まるで終わることのない恐怖が俺たち二人に襲いかかってきた。首に落ちてきた水滴は、小さな氷の塊をぶつけられたかのようだった。呪いのようなうわ言が頭の中を取り囲む。俺たちは互いに寄り添いながら、ようやく出口らしき場所へたどり着いた。
「逐幸、だ、め、そっちは歩いちゃ……!」
端月のかすかな声が俺の胸元から聞こえてきたような気がしたが、彼女の言葉に込められた警告を理解したときには、もう遅かった。
通路の脇にあったゴミ箱なのか箱なのか分からない物から、突然影が飛び出した。
その黒い影が突然何かを伸ばし、俺の頬に触れた──
……!……!……!
ざらざらした手のひらが俺の顔を撫で、正体の分からない液体まで顎へと流れてきた。俺の思考は一瞬でショートし、その後はただ身体だけが足を踏み出した──




