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第6話 ラックの決意

人は、誰かとの出会いによって変わることがある。


今まで自分を守ることばかり考えていた少年ラック。


しかし、傷ついた少女・葵との出会いが、彼の心に大きな変化をもたらします。


誰かのために生きるということ。

誰かを救うために立ち上がるということ。


少年が初めて抱いた強い決意とは――。


第六話「ラックの決意」をお楽しみください。

「葵ちゃん……!


葵ちゃん!!」


ラックは何度も叫んでいた。


葵と初めて出会ったあの日から――。


夢の中で、あの衝撃的な光景が何度も繰り返される。


助けを求める少女の声。


倒れていた葵の姿。


そして、必死に自分へ助けを求めていたような瞳。


ラックの心から、その光景が離れることはなかった。


「やっぱり……。


あの夢に出てきた少女は、葵ちゃんだったんだ……。」


確信に近い思いが、ラックの中で日に日に強くなっていった。


しかし――。


葵にとってラックは、まだ出会ったばかりの少年だった。


もちろん、夢のことなど知るはずもない。


それどころか、葵自身が父親との関係で深く傷つき、心は限界まで追い詰められていた。


まるで、少し触れただけで壊れてしまいそうなガラス細工のようだった。


「僕に……何かできることはないのだろうか。」


ラックは、葵と出会った日からずっと考え続けていた。


どうすれば彼女を救えるのか。


どうすれば、あの悲しそうな表情を変えられるのか。


一日中考え続け、頭が痛くなるほどだった。


気がつけば――。


ラックにとって、葵という少女の存在は、日に日に大きくなっていた。


「葵ちゃんは……一体どんな子なんだろう。」


「父さんは、以前からダン親子のことを気にかけていた。


どうして、そこまで関わろうとしていたんだろう……。」


ラックは決意する。


「今度、父さんに聞いてみよう。」


「父さんとダンさんが出会った理由を……。」


ラックは、自分自身の力で葵を救いたいと思うようになっていた。


次にリムラ村へ行く機会があれば――。


その時、どうすれば葵を助けられるのか。


何度も。


何度も。


頭の中で考え続けた。


そんな時だった。


ラックは、ふと思った。


(僕は……いつから、こんなに誰かのことを考えるようになったんだろう。)


今までの自分は、決して特別な人間ではなかった。


普通の家庭に生まれ。


両親の期待を裏切らないように。


迷惑をかけないように。


ただ真面目に生きてきた。


優等生になりたいわけではない。


ただ、誰からも嫌われず、静かに平凡な人生を歩めればいい。


そんなふうに考えていた。


人の道を外れることだけはしたくない。


正義感だけは、人一倍強かったと思う。


でも――。


実際に誰かのために、自分から行動を起こしたことはなかった。


傷つくことを恐れていた。


失敗することを恐れていた。


だから自分自身を守るために、心に壁を作っていたのかもしれない。


しかし。


葵と出会ったことで、ラックの考え方は大きく変わった。


初めて思ったのだ。


誰かのために生きたい。


誰かを救うために、自分の力を使いたい。


そう、心から思えた。


「葵ちゃんのためなら……。」


ラックは拳を握り締める。


「僕は、どんなことでもする!」


「必ず君を助ける!」

第六話を読んでいただき、ありがとうございました。


今回は、ラックが初めて自分自身の殻を破り、誰かのために動こうと決意する回でした。


一人の少女との出会いが、一人の少年の人生を変えていく。


これからラックの旅は、少しずつ大きな運命へ向かっていきます。


次回もお楽しみに。

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